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第10回バッテリーサミット報告③LabBase奥田氏、日産奥井氏、日本電解藤原氏「明日の電池産業を見据えて」

 IR Universeは9月12日、学士会館(東京都千代田区)で「第10回バッテリーサミット」を開催した。報告の第3回では、LabBaseの奥田悠太氏、日産自動車の奥井武彦氏、日本電解株式会社藤原英道氏の講演を紹介する。明日の電池産業を見据え、希望の感じられる各講演となった。

 

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■現場と人事が一体となって理系新卒の採用を 奥田氏

 コーヒーブレイクの後の最初の登壇者は人材紹介ベンチャーのLabBase就職事業本部の奥田氏。同社は理系人材に特化した人材紹介業で、今回は特に未来を担う理系新卒の企業への就職について、15分間と短い時間ながら紹介した。

 

LabBase奥田氏

 

 奥田氏は、「現在の日本の理系新卒の採用には様々な壁がある」と説明。⑴バッテリー領域を含め人材需要が拡大しているにもかかわらず理系人材の人数が不足⑵企業イメージと募集職種のギャップ⑶候補者見極めなどのアプローチが難しい――などの問題が発生している。この中で、例えば⑵は「車を作ろうと自動車メーカーに入社したのに電池生産に回された」などのミスマッチがある。

 奥田氏は、こうしたミスマッチは、LabBaseのシステムで解消できると話す。同社は理系学生の研究プロフィールをもとに学生にスカウトを行うため、企業側は自社の需要にドンピシャな学生にアプローチすることができるためだ。

 奥田氏は「大手就職ナビサイトでは出会いづらい学生に出会うことができる」と話し、「特にバッテリー領域は需要過多が状態している。現場と人事が一体となった採用を考えなければならない」と述べた。

 

演者紹介: 第10回BatterySummit 講演者紹介 株式会社LabBase LabBase就職事業本部 奥田悠太氏 | MIRU (iru-miru.com)

 

■正極材のダイレクトリサイクルに注目 奥井氏

 続いて、日産自動車総合研究所 電気自動車(EV)システム研究所から、奥井武彦課長代理が講演した。注目の日産EVのリサイクルが議題とあり、耳をそばだてた観衆が多かった。

 

日産自動車の奥井氏

 

 奥井氏は、バッテリーにおける資源循環について「バッテリーは車を動かすだけではない」と指摘。中古バッテリーの用途として、そもそもリユースとリサイクルがあり、駐車場での充電設備や電車の線路切り替え装置など、様々な用途があると話した。

 リサイクルするにあたっては、もとの電池をそのまま使えるほど効率は良く、分解して成分を抽出・ろ過して電池に仕立て直すという工程を踏めば踏むほど再利用の道のりが遠くなる。そこで、リチウムイオン電池(LIB)のリサイクルに当たり、同社では「正極活物質の構造を維持したまま回収・再利用する『ダイレクトリサイクル』のポテンシャルが高い」(奥井氏)とみているという。これはLIBから活物質を分離した後で不純物を除去し、再生処理を経てLIB構造に再利用するものだ。

 ダイレクトリサイクルを行うにあたっては、まず中古電池の正極の状態を推定する技術が必要であり、その後、解体や分離、不純物の除去などもそれぞれ技術が必要になる。正極活物質の再生に当たっては、不純物の残留状態などにより処理後の特性が大きく変わるなどの問題もある。奥井氏は、利益団体である同社としては「低コストで再生できる点も重要だ」とも話した。

 

演者紹介: 第10回BatterySummit 講演者紹介 日産自動車株式会社 総合研究所 EVシステム研究所 奥井 武彦氏 | MIRU (iru-miru.com)

 

■負極材の重要材料・電解銅箔 藤原氏

 続いての日本電解株式会社の藤原氏は、電解銅箔の機能性と蓄電池への応用について話した。

 

日本電解の藤原氏

 

  日本電解は銅箔製品を生産しており、製品の一部はリチウムイオン蓄電池などに用いられる。電解銅箔とは伝導率が良く、機械的物性の制御性に優れる。特に電池生産に当たっては、アルミが正極、銅が負極環境での安定性が高く、電解銅箔は特に負極集電体用として重要な材料となっている。

 

 銅箔の生産方法には圧延法と電解法があり、圧延法は用途が幅広いのが特徴だ。対して電解法は工程が短くオンデマンド製造に対応できる。厚さなどを均一に整えるのが容易で、アプリケーションの設計も容易い。藤原氏は日本電解として次世代の電池ニーズに対応するため、「添加剤を入れるなどの工夫も凝らし、変形しやすくしつつ強度も高めるなどの努力をしている」と説明。結晶の方向を見極めて変形しやすくしつつ、ハイブリッド化による高耐食性の実現などに力を注いでいるとした。

 

 藤原氏は講演の冒頭に「バッテリーとは少し領域がずれるのですが」と前置きしたが、実は非常に重要な内容だった。バッテリー生産の縁の下の力持ちでもある銅箔の重要性に、観客もうなずいていた。

 

演者紹介: 第10回BatterySummit 講演者紹介 日本電解株式会社 藤原 英道氏 | MIRU (iru-miru.com)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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