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ジェイ・イー・ティ(6228)24/12H1説明会メモ  新規にニュートラル

24/12期レガシー半導体回復遅れ14%減収44.1%営利減予想に減額、25/12期急回復期待

株価1678円(9/28) 時価総額226億円    発行済株13470千株      

PER(24/12期DO予:24.4X)PBR(1.77X)配当24/12予17円  配当利回り:1.0%

 

要約

・24/12H1はレガシー半導体の不振が影響し15.0%減収43.4%営利減と計画未達で着地

・24/12期レガシー半導体回復遅れ14%減収44.1%営利減予想に減額も受注の回復の動き

・中計で26/12期に売上高115億円、営利9億円目標は前倒し達成期待

 

24/12H1は風力発電所大型解体工事進捗、非鉄金属市況高で31.8%増収89.9%営利増

 

 09年1月に民亊再生手続きを行ったエス・イー・エスが前身企業。09年4月に液晶、半導体設備の製造販売を行う韓国ZEUSが全額出資し同社を設立、5月に岡山工場などを事業譲渡で引き継ぎ事業を展開している。バッチ式枚葉洗浄装置中心に中国、韓国中心にレガシー半導体向けを主力事業とする。半導体洗浄装置においては日系が70%シェア、スクリーンと東京エレクトロンが2大メーカー。同社の売上の大半がバッチ式洗浄装置で、バッチ式ではシェア11.4%、枚葉式で0.3%シェアを有する。

 

 同社のバッチ式洗浄装置の特長は高温高粘度処理に強く、主力であるRCA洗浄(SC-1洗浄、DHF洗浄、およびSC-2洗浄の3種類の洗浄液からなり、SC-1洗浄は主にパーティクルと有機物を、SC-2は金属不純物を除去する一般的な洗浄方法)よりも硫酸洗浄(有機物除去に効果があり、リソ工程におけるレジスト剥離などに用いられる)、リン酸洗浄(窒化膜等の除去)などに強みを持つ。競合の2社は先端プロセス向に枚葉式洗浄装置を広く展開しており、A社(スクリーン)はRCA洗浄で強みを持ちシェアも高いが、同社主力ユーザーとあまり競合していない。B社(東京エレクトロン)は同社主力ユーザーにアプローチしているが、特定分野での競合に止まり、硫酸洗浄、リン酸洗浄では優位性がない模様。

 

 24/12H1は売上高99.68億円(期初計画比6.32億円未達、15.0%減)、営業利益5.87億円(同0.33億円未達、43.4%減)、経常利益5.20億円(同0.10億円未達、44.96%減)、税引利益2.97億円(同0.33億円未達、54.0%減)と、レガシー半導体の不振が影響した。

 

 地域別では最大の中国が50.30億円(同期比7.2%減、前期比37.1%減)と、主力のファンドリ大手のSMIC向けなどが低迷。韓国向けはサムスン電子向け中心に45.16億円(同期比9.9%減、前期比11.9%増)と、前下期比ではHBM投資の活発化でDRAM向け回復が寄与も、同期比では減少を余儀なくされた。台湾向けはさらに厳しく1.43億円(同期比87.2%減、前期比85.1%減)とレガシー向けファンドリの低迷が直撃した。

 

 装置売上仕向け先で23/12H1が開示されておらず、増減率は不明も、ファンドリの構成比が劇的に低下、これはSMIC、台湾OSAT向けの大幅減少が響いている模様。メモリはDRAMの挽回でファンドリ向けの落ち込みほどではないとみられる。

 

 利益面では材料価格が10%程度上昇、加えて中国では新興メーカーとの競争激化も加わり、減収影響も厳しく、大幅減益に。

 

24/12期レガシー半導体回復遅れ14%減収44.1%営利減予想に減額も受注の回復の動き

 

 24/12期会社予想は上期に収益が減額着地となったこと、加えてレガシー半導体の回復が遅れていることから、期初計画を減額、売上高214.80億円(期初計画比42.0億円減額、14.0%減)、営業利益14.60億円(同12.80億円減額、44.1%減)、経常利益13.50億円(同12.50億円減額、44.8%減)、税引利益9.00億円(8.40億円減額、45.5%減)予想とした。今年度から受注の開示がなくなったことで、受注の変化がわからないものの、韓国メモリーメーカー向け、米国ファンドリ向け、中国ファンドリ向けで洗浄装置立上げが遅延、新規受注も後ずれしている。またサムスンの最先端ロジック半導体のファンドリ事業の拠点となるテキサス州テイラー工場向け洗浄装置を既に受注しているが、こちらも納期ずれが懸念される。足元でDRAMについてHBMの増産に絡んで受注が回復傾向にあること、またサムスン向けにSiC製造装置の受注を獲得、サムスンとしてパワー半導体へも進出を目指す中で今後の継続受注の可能性もでているものの、全体を押し上げるには力不足とみられる。なお、受注残高が依然として多くあり、メモリ向けの売上計上への寄与は来期にずれるとみられ、レガシーロジック半導体向けの低迷影響が響く模様で、24/12期は会社減額修正並みの収益に止まるとみられる。

 

中計で27/12期に売上高300億円、営利45億円目標は変更せず

 

 同社は中長期経営計画として、27/12期に売上高500億円、営業利益45億円、更に33/12期には売上高500億円、営利100億円を経営目標として掲げている。23/12期に売上高244億円、営利22億円が未達で終り、24/12期も大幅収益悪化となる見通しながら、中長期計画の変更はしないとした。この背景には半導体生産の急回復が有り、加えて韓国ではHBMの増産に合わせてDRAM投資も本格化が見込めること、中でもSKハイニックスにHBMで後れを取っていたサムスンの逆襲のための大型投資の実行が期待される。

 

 加えて注目されるのは開発から20年を経過した主力機種であるバッチ式BW3000の後継機としてのバッチ式BW3500の投入が始まったこと。バッチ式洗浄装置は標準的な装置前面に搬入搬出機器を配置したタイプ(I-Type)と同社独自の装置前面に搬入機器、装置後面に搬出機器を配置したタイプ(F-Type)の2種のタイプを有する。特にF-Typeは、洗浄槽の設置数を変更することで時間当たりのウエハ処理枚数を最適化する等、カスタマイズが可能。また必要な部分にのみ薬液を供給するため薬液消費量を削減できウエハごとに個別洗浄できるため、汚染リスクが低く、薬液供給量やタイミングを細かく調整でき多様なプロセスに対応可能となっている。今回投入したBW3500は改善点としてフットプリントの削減で装置面積が15~16%、装置全長で20%削減、さらにモジュール構成を追加することでより高精度なプロセスにも対応が可能となったとのこと。このバッチ装置は今後レガシー半導体の中心的なデザインルールとなる28nm以上のプロセスに対応、既存のユーザーである中国SIMCグループは足元で売上が急拡大、利益面では設備投資拡大で赤字継続も、設備投資について大型投資継続をアナウンスしている。また韓国サムスン(既存製品で累計400台以上を納入)も先端デバイスの設備増強だけでなく既存機種の更新の実行で販売拡大が期待される。さらにRCA洗浄において他社製品からの切替も視野に入れているとのことで25/12期は売上急回復が見込める。但しここにきて宮城に進出を計画していたSBIと納入実績のある台湾力晶積成電子製造(PSMC)との共同出資した半導体ファウンドリ設立に向けた準備会社JSMCの提携解消が報じられ、ユーザー拡大では多少の悪影響もあり得る。

 

 また現在ほとんどシェアを有していない枚葉洗浄装置においては、独自のハロゲンランプを利用した高温硫酸(SPM)洗浄向けにHTS-300を投入している。この装置はハロゲンランプを使用し、処理温度を他社方式よりも高め200~240℃とすることで、霧状にしたケミカル材料を利用することでプロセス時間を短縮、しかもミスト状のため、薬液使用量も大幅削減(1/20)可能な装置となっている。環境問題で薬液の削減が求められる中で、同社装置の優位点があるとみられ、現在11億円程度の売上高にとどまっている枚葉洗浄装置においても、一定の需要拡大が期待される。なお現在、硫酸以外のプロセス対応も実行、日本で高温リン酸洗浄対応の横展開も図っていく。さらに4月にはトピックスとしてリン酸エッチング処理についてラピダス社から開発業務の受託を獲得している。これはラピダスが多品種少量生産で2nm対応するために全枚葉式を採用するにあたり、技術提供先のIBMがリン酸エッチング処理について枚葉式装置を保有しておらず、別途開発が必要となったため。現在、研究開発段階(α機)を終了、試作装置に関する研究開発(β機)段階に進行しており、2027年に量産ラインへスタートに合わせ納入を目指す計画となっている。

 

 上記のような環境を踏まえ、全体として半導体設備投資の回復の中で、レガシー半導体についても在庫調整が進行、25/12期には中国を含めて回復が見込まれ、主力機種の更新需要のもりあがりもあり、27/12期中期経営計画の達成は可能とみられる。

 

 株価は4/3にラピダスへの開発機受託の話題もあり急騰、4/9には4965円の上場来高値更新となったが、その後は業績悪化から下落、8/9の減額修正を受けて8/13には1412円の上場来安値となり、その後も反発が弱い状況が続いている。現在、会社24/12期減額修正予想EPS68.65円に対しPER24.4倍はスタンダード機械10.7倍、洗浄装置最大手のスクリーン13.8倍に対して割高、東京エレクトロン26.5倍に対しやや割安な水準にある。東京エレクトロンは別格として、増額修正で最高益更新のスクリーンに対し見劣りする。但し、主力ユーザーへの納入期ずれ影響もあり、25/12期は大幅収益回復が見込まれ、PERも割高感が解消されると判断、悪材料出尽くしとして株価は新規にニュートラルと評価したい。なおラピダスが改めて前向きの話題が出た場合には株価反騰も期待される。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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