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ファナック(6954) 25/3Q2決算電話会議メモ ややネガティブからニュートラルへ

25/3期予想を上期増額加味し0.9%減収6.3%営利増に増額も再増額で増収増益確保へ

株価3887円(10/25) 時価総額38692億円 発行済株995418千株

PER25/3期DO予(29X)PBR(2.12X)配当還元率60%   配当利回りDO予2.1%

 

要約

・25/3Q2は2.1%減収も25.6%営利増とFAの持ち直し等で利益上振れ、受注は9.8%増

・25/3期予想を受注回復から見直し0.9%減収6.3%営利増に増額修正、再増額も期待

・26/3期はFA中心に売上拡大、ロボットも回復期待で増収2ケタ営利増益期待

 

25/3Q2は2.1%減収も25.6%営利増とFAの持ち直し等で利益上振れ、受注は9.8%増

 

 10/25に25/3Q2決算発表、同日電話会議が開催された。25/3Q2は売上高1929億円(7/29予想期28億円増額、同期比2.1%減、Q1比1.1%減)、営業利益426億円(同70億円増額、同25.6%増、同29.3%増)、受注高1857億円(同9.8%増、同6.2%減)と収益上振れて着地した。但しBBレシオは0.96再度1割れとなり力不足の展開に。

 

 地域別売上をみると、欧米が減少、日・アジアが増加、中国は同期比増、前期比微減に。米国は505億円(同期比7.2%減、前期比12.9%減)。主力のロボットが337億円(同期比9.2%減、前期比16.4%減)と調整が継続。欧州も363億円(同期比13.1%減、前期比11.4%減)とロボットが190億円(同期比12.0%減、前期比1.0%減)と低迷した。一方、中国は436億円(同期比4.2%増、前期比1.5%減)。NC化率を高める政策実行に伴い古い設備の廃棄奨励などで補助金政策の実行が寄与、FAが186億円(同期比2.3倍、前期比14.1%増)と伸張、ロボマシンも130億円(同期比54.8%増、前期比15.6%減)と一時的に盛り上がった。一方でロボットは113億円(同期比54.8%減、前期比2.6%減)と在庫調整が進捗も、EVの不振、電子、インフラ向けも低調で回復が遅れている。日本は293億円(同期比11.0%増、前期比15.8%増)とロボマシンの伸び悩みを除き回復基調、特にロボットは76億円(同期比28.8%増、前期比20.3%増)と20/3Q3の80億円以来の数字に急回復している。FAも117億円(同期比8.3%増、前期比3.5%増)と工作機械受注底打ちから緩やかな回復に。

 

 製品別売上では最大部門のロボットが790億円(同期比17.7%減、前期比6.1%減)と低迷が続く。米国が337億円(同期比9.1%減、前期比16.4%減)、欧州190億円(同期比12.0%減、前期比14.4%減)と、在庫調整が継続も一般産業、自動車向けの受注残の消化が進み大きな落ち込みにはなっていないが、中国はEV、スマホ不振等も重なり大幅減となり全体を押し下げた。一方FAは514億円(同期比19.3%増、前期比7.2%増)と、24/3Q3ボトムに回復、23/3Q4の582億円以来の500億円超に回復した。中国でNC化促進政策の効果などで上伸、日本も工作機械受注ボトムうちなどが寄与している。ロボマシンは278億円(同期比11.2%増、前期比4.8%減)と50%弱を占める中国のNC工作機械化促進が寄与も、効果は一時的の懸念もある。

 

 一方、受注面で見ると、地域別では国内を除き同期比増加も前期比はいずれも減少している。中国は463億円(同期比32.6%増、前期比6.2%減)と、24/3Q3ボトムに回復、同期比ではNC化促進などでFA、ロボマシンなどが伸長した模様も、EVの伸び悩みなどでロボットの不振が影響、25/3Q2ではQ1比で一服状況に。ただ、BBレシオは1を上回っており、足元では受注の回復が見込まれている様子。米州は451億円(同期比3.3%増、前期比5.6%減)と金利高などの影響もあり、円安でも伸び悩む。受注残の消化が進む中で受注の伸びが低く、BBレシオは24/3Q1以降1を下回った状況が続いている。欧州も米州同様で、設備投資の伸び悩みが影響、BBレシオは23/3Q4以降1を割り込んでいる。日本は302億円(同期比2.3%増、前期比12.7%増)、BBレシオも25/3Q1より1を上回っている。省人化投資などで受注増となっており23/3Q2の356億円以来の300億円超えとなっている。

 

 製品別受注ではロボットが663億円(同期比6.3%減、前期比15.5%減)と不振が目立つ。中国でのEV投資の減退影響、欧米でも自動車向けの受注一服などの中で在庫調整も遅れていることが響いている模様。またロボット工業会の統計で業界との比較では、ファナックは業界数字を上回る推移を続けてきたが、7~9月の直前期では工業会受注が同期比9.4%増に対し劣後、同社は生産調整の影響が出ているとみられる。FAは494億円(同期比15.5%増、前期比9.9%減)とQ1で大きく伸長したもののQ2では伸び悩んだ。中国のNC化推進特需が一服、国内工作機械受注もここにきて伸び悩みもみられることが影響しているとみられる。またBBレシオも25/3Q1で23/3Q1の1.02以来1を上回り1.14となったがQ2は再度0.96と1割れとなり、回復の遅れが気がかりな状況にある。

 

 利益面では上振れとなったが、これは収益性が最も高いとみられるFAの構成比が同期比4.8ポイント向上し26.7%になり、一方でロボットが7.8ポイント下落し40.9%となったことが指摘できる。減収でも総利益率が同期比5.7ポイント、Q1比で5.0ポイント向上し39.7%となったことが大きい。但し、未実現利益が半期ベースで同期比131億円、Q1比Q2で93億円プラス寄与となっており、これを差引くと実質的にはQ1とQ2の総利益率は0.1ポイントの改善に止まっており、本格的な利益率改善とはなっていない。

 

25/3期予想を受注回復から見直し1.4%減収0.8%営利増に減額修正、再増額も期待

 

 会社側では上期の収益上振れを考慮し、下期をほぼ7/29のQ1時予想を踏襲、上期増額分を上乗せする形で上方修正した。具体的に25/3期予想を売上高7878億円(期初計画比414億円増額、7/29予想比35億円増額、1.4%減)、営業利益1508億円(同298億円増額、同78億円増額、6.3%増)予想とした。部門別、市場別予想の開示はないが、ロボットは中国での在庫調整の進展で緩やかな回復、FA、ロボマシンは中国の政策支援効果などが継続するとみられる。利益面ではFAが計画比増額となったことで収益性の改善がなされ、下期には新製品投入効果もあるとみられ、下期も利益増額が見込まれ、25/3期収益は多少の増額が期待される。

 

26/3期FA中心に売上拡大、ロボットも回復期待で増収増益期待も収益性向上は限定的

 

 26/3期は自動車ではEVに対する設備投資の見直しなどの影響が懸念されるが、一方でHEVや高効率エンジン車等への投資が期待でき、緩やかな設備投資増が見込まれる。加えて半導体設備投資の本格回復、世界的に省人化、自動化投資のニーズの高まり等で在庫調整一巡もあり、ロボット需要の回復が見込まれる。FAは中国の工作機械NC化率75%への推進特需が剥落するとみられるが、国内の工作機械受注の回復が期待でき、欧州は低調懸念も、全体では拡大が見込める。ロボマシンも工作機械受注の回復、射出成型機も反発が期待され、全体では増収となろう。なおFAの拡大は中級クラスについて新興国中国メーカーなどの国産化影響などもあり過去のような急拡大は見込みにくく成長の中心はロボット事業となる見通し。同社ではロボットについて新機種、新機能の製品をこの1年でも多数投入、ロボット事業での更なる拡大を目指している。ただし、CNC装置のように規格化されたシリーズ展開する製品とは異なり多品種投入となることもあり、ロボットの売上高比率が高まることでMIX悪化が継続する見通し。売上拡大は見込めるものの、総利益率の改善は小さいとみられ、売上増に伴い収益拡大が期待されるものの収益性の向上は限定的とみられる。

 

 株価は4/24の24/3期発表当日以降の5/20には4748円を付けたが、その後は設備投資不透明などで下落、7/29の25/3Q1決算発表時に通期増額としたことで7/30に4549円まで戻したが相場急落で8/5には一気に3624円まで暴落、その後も回復の鈍い動きが続いている。現在、会社修正25/3期予想EPS142.99円に対しPER27.2倍は、同社高値平均PER40倍より割安も、プライム電機平均PER23.8倍に対し若干割高であり、ロボットの安川電機の17.3倍と比較して割高感がある。日本を代表するハイテク株ではあるものの、CNC装置で稼ぎ出した高収益体質から、ロボット売上構成比の高まりでMIX変化から収益性の大幅回復は期待しにくい。同社の成長スピードは半導体製造装置メーカーの成長スピードに劣後すると判断、25/3期再増額修正期待もややネガティブからニュートラルに変更するにとどめる。

 

 

 

(H.Mirai)

 

  

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