アドバンテスト(6857) 25/3Q2WEB決算説明会メモ ややネガティブ継続
25/3期SoCテスタ増額で31.6%増収,営利2倍予想に大幅増額修正、26/3期も収益上伸へ
株価8745円(11/1) 時価総額70000億円 発行済株766141千株
PER(25/3期DO予47X)PBR(13.6X)配当(25/3DO予)72円 配当利回り0.8%
要約
・25/3Q2はSoCテスタ大幅増で63.8%増収、営利3.0倍と大幅上振れ着地
・25/3期SoCテスタ増額で31.6%増収,営利2倍予想に大幅再増額修正も再々増額期待
・26/3期も生成AI関連増でさらに収益拡大し最高益更新続く
25/3Q2はSoCテスタ大幅増で63.8%増収、営利3.0倍と大幅上振れ着地
25/3Q2決算が10/30に開示され、WEB説明会が同日行われた。25/3Q2は売上高1905億円(7/31予想比372億円増額、同期比64%増)、営利635億円(同279億円増額、同3.0倍)とHPC、AI関連先端プロセス向けにSoCテスタが伸長、収益大幅上振れ着地、四半期ベースで過去最高を記録した。また営業利益率30%超えは23/3Q2以来となる。
セグメント別では半導体・部品テスト事業が売上高1455億円(同期比79%増)、営利622億円(同期比2.9倍)となった。SoC(System on Chip)テスタが1095億円(同期比75%増、前期比58%増)と本格拡大に。HPC、AI関連先端プロセス向けが伸長、車載等回復、レガシー向けの低調も全体として急拡大。メモリテスタも360億円(同92%増、同13%増)とHBM中心に高性能DRAM向け需要が大きく寄与した。メカトロにクス製品も172億円(同38%増、同20%増)とテスタの増加に伴い増加した。サービスその他は277億円(同22%増、同18%増)に。サービス部門が145億円(同19%増、同7%増)と累積台数増で堅調な伸び、システムレベルテストも132億円(同19%増、同7%増)とQ1ボトムにハイエンドSoC向けが増収に転ずる。
次に地域別では台湾が731億円(同期比3.8倍、前期比76%増)と主に米国の複数ファブレスがHPC/AI関連半導体の品質保証強化から、ファウンドリ・OSAT向け売上が伸長。韓国は450億円(同期比72%増、前期比35%増)とDRAMを中心にHBMメモリテスタ売上増加に加え、HPC/AI関連でSoCテスタ売上も増加。
利益面では高機能SoCテスタ構成比の上昇、円安効果もありMIX良化、総利益率が同期比7.9ポイント、前期比2.4ポイントアップし57.8%となり、販管費ではQ1比でほぼ横ばいとなり営業利益率でも同期比15.3、前期比でも10.8ポイントアップし33.4%と、23/3Q2の31.1%以来の30%越え、23/3Q1の32.9%をも過去最高レベルの営利率で大幅伸長となった。
25/3期SoCテスタ増額で31.6%増収,営利2倍予想に大幅再増額修正も再々増額期待
上期増額着地、HPC/AIの好調持続を受け5/3期予想を再度上方修正し、売上高6400億円(7/31予想比400億円増額、31.6%増)、営業利益1650億円(同270億円増額、2.0倍)予想とした。
部門別売上で半導体システムを4700億円(同350億円増額、42%増)予想とした。内訳はSoCテスタ3240億円(同320億円増額、32%増)、メモリテスタ1460億円(同30億円増額、70%増)を見込む。先端半導体テスタ事業についてテスト量の増加が顕著で想定以上に高機能SoCテスタの引き合いが旺盛となり、通期でコンピューティング・通信無向けが85%(24/3期は60%)まで高まり、伸び率は87%達する見通しに。またメモリテスタではHBM増産、次世代品投入などに向けこちらも能増体制が整ったことで増額、DRAM向け比率が95%(24/3期は90%)まで高まり、伸び率も79%増となる見通し。テスタ需要については7月時点想定よりもSoCテスタでは0.3B$引き上げ、メモリテスタも下限を0.1B$、上限を0.1B$引き上げた。SoCテスタは先端プロセス向けでプロセスの複雑化、長時間化などで需要が拡大、成熟プロセスの低迷を補い大幅な需要増を見込む。メモリテスタではHBM増産、次世代HBMなどの拡大が牽引する見通しを反映させている。なお2025年については2024年以上の拡大を見込む。
メカトロ関連も650億円(同20億円増額、23%増)とテスタ需要増額に伴い増額修正した。サービス他は売上高1050億円(同30億円増額、3%増)予想に。内訳はSLTが490億円(同20億円増額、7%減)と民生用機器需要の伸び悩みを見込み、保守サービスは設置台数の増で560億円(同10億円増額、13%増)を見込む。
全体として売上面では高機能SoCテスタ市場の大幅増額、メモリテスタもHBM向けに能力増強が進む見通しで、現在のAI半導体、HBM投資増など追い風が増しており、下期に更なる収益の上振れが見込まれる。収益性も会社側は下期横這いとしているが売上増額、円安効果継続で収益の再増額修正が見込まれる。
26/3期も生成AI関連増でさらに収益拡大し最高益更新続く
26/3期は生成AIの急速な普及に伴うAI半導体、AIデータセンタ需要の高まりなどから、半導体の複雑性の新たな波がテスト項目とテストタイムの長時間化を牽引する形となっており、しかも品質保証や信頼性の強化などの側面もあり、高機能SoCテスタ拡大の伸長が続こう。加えて成熟プロセス向けも車載半導体、産業機械向けの回復が見込まれる。またメモリテスタもHBM向けがHBM3からHBM3E、さらにはHBM4へと進化しスタック数増加などのアーキテクチャーの変化も加わるなどに加え、NANDフラッシュ向けでも次世代型の拡大で需要拡大が見込まれる。このため26/3期も収益拡大が続こう。
株価は25/3期再増額修正を受けて株価が高騰、10/31には9310円の最高値更新となった。現在、会社修正予想EPS165.01円に対しPER53倍となっている。今後、再増額修正含みではあるが、東京エレクトロンのコンセンサス28倍、ディスコのコンセンサス32倍に対し割高感がある。またエヌビディアのコンセンサス49倍に対しても割高となった。今回、自己株500億円(または900万株)上限に自己株式取得を予定とするなど、好材料を織り込んだとみられる。前回の評価は大きく誤った形となったが、好材料出尽くし感もあり、この水準でややネガティブと考える。
*東京エレクトロン(8035)、ディスコ(6146)、レーザーテック(6920)との比較
*テラダイン(TER)、KLA(KLAC)、NVIDIA(NVDA)、TSMC(TSM)との比較
(H.Mirai)
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