日本トムソン(6480)25/3H1決算メモ ややポジティブ継続
25/3H1半導体向け不振で6.2%減収41.1%営利減、25/3期0.1%減収17.8%営利減予想に
株価486円(11/15) 時価総額357億円 発行済株73501千株
PER(25/3DO予24.0倍)PBR(0.43X)配当25/3期予19円 配当利回り:4.0%
・25/3H1は6.2%減収41.1%営利減と中国不振、工作機械向け等不振で低迷続く
・25/3期半導体製造装置等の回復遅れ0.1%減収17.8%営利減に再減額修正
・中計2026で25/3期~27/3期平均の営利90億円目標達成はハードル高く見直し必要
25/3H1は6.2%減収41.1%営利減と中国不振、工作機械向け等不振で低迷続く
直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等に強味。11/11に25/3H1決算が行われ、11/14にWEB説明会が開催された。25/3H1は売上高267.05億円(期初計画比2.95億円未達、8/8修正予想比0.95億円未達、同期比6.2%減)、営業利益12.02億円(同2.98億円未達、同2.02億円増額、同41.1%減)、経常利益11.00億円(同7億円未達、同7億円未達、同63.4%減)、税引損失0.76億円(同7.76億円未達、同4.76億円未達、同16.62億円悪化し赤字転落)と収益低迷が続いた。さらに生産高は226.99億円(同期比13.4%減)と低迷、但し受注高は268.79億円(同期比21.7%増)、と回復している。
地域別で米州を除き減収。日本は130.99億円(期初計画比4.01億円未達、8/8予想比1.01億円未達、2.9%減)とマウンタ需要などは増加も、精密機械、工作機械向けが減退。中国は景気減速で34.54億円(同3.54億円上振れ、同0.54億円上振れ、15.9%減)、欧州も31.73億円(同2.27億円未達、同0.27億円未達、9.1%減)と医療、一般機械が減少、その他地域も24.86億円(同2.14億円未達、同1.14億円未達、23.6%減)とシンガポール、インド向けが低迷した。一方米国は44.91億円(同1.91億円上振れ、同0.91億円上振れ、8.8%増)と半導体製造装置、ロボット、一般機械向けが増加、円安も寄与し増収に。
業界別では直販分が13.911億円(2.5%減)で、工作機械向けが12.07億円(22.1%減)と大きく減少、一般機械向けも58.29億円(6.1%減)と油圧、精密機械向けが低迷も、エレクトロニクス向けが46.02億円(9.6%増)とマウンタ、電機機械向けが増加した。一方、市販と輸出を加えた合計で127.94億円(9.9%減)と、円安でも海外向けが販売減、国内代理店の在庫調整の遅れの影響も出ている。
利益面では円安効果で為替差益12.46億円のプラス効果も、実質減収影響8.69億円、稼働率低下による原価高影響が13.25億円有り、売上総利益率が06ポイント悪化し32.8%に低下した。販管費は人件費増も、売上減で販売費等が減少、諸経費増で1.11億円のプラス効果となったが、2ケタ営利営利減に。なお期末が円高に振れた影響で為替差損が3.02億円(24/3H1は為替益7.22億円)計上されたため経常減益率が高まった。
25/3期半導体製造装置等の回復遅れ、0.1%減収、17.8%営利減に再減額修正
25/3H1の収益低迷を受け、25/3期会社予想を再減額修正、売上高550億円(期初計画比30億円減額、8/8減額予想比10億円、0.1%減)、営利26億円(同17億円減額、同5億円減額、17.8%減)、経常利益28億円(同21億円減額、同13億円減額、38.1%減)、税引利益9億円(同22億円減額、同12億円減額、66.3%減)予想と再減額し、大幅営益予想とした。
地域別では日本が 274億円(同8億円減額、同3億円減額、2.5%増)と一般機械、工作機械向けなど低調で半導体向け堅調も微増収予想。海外は米国が89億円(同1億円減額、同変化なし、7.0%増)と医療、ロボット、半導体製造装置向けなど総じて堅調で円安も寄与し増収確保見通し。一方、中国が70億円(同2億円減額、同3億円減額、2.4%減)と下期回復基調も年度では減収予想に。欧州は63億円(同11億円減額、同3億円減額、8.63%減)と期を追うごとに悪化、中国除くアジアも54億円(同8億円減額、同1億円減額、8.7%減)など停滞見通し。
仕向先予想の開示はないが、半導体製造装置、電子部品実装機の受注回復がここにきて表れつつあるが、工作機械向けなどは底バイ見通しで、受注回復効果は下期以降にずれ込み、Q3、Q4と緩やかな回復に止まる予想で、本格回復は来期にずれ込む見通し。
利益面ではQ1に棚卸資産の評価減による原価高も、Q2は逆に戻し益があり多少多めに営業利益が出た形で、Q3、Q4はQ2比で多少減少するとみている。実質的な売上では減収影響で2.18億円、実質減収影響で原価高となる売上原価高影響9.33億円、販管費も下期は営業活動費増などが影響し2.04億円お減益要因としており、為替影響で7.91億円プラスも、全体で営業減益予想としている。現状、実質的な売上面では会社想定並みにとどまるものの、通期で1$=145円前提を変えておらず、今回の再減額修正見通しに対し、為替分だけ増額が見込まれる。
中計2026で25/3期~27/3期平均の営利90億円目標達成はハードル高く見直し必要
同社は中計2026を策定、3カ年平均営業利益90億円目標、期間中に23/3期営利94.59億円超え達成を掲げ、ROE8.0%を目標とした。
現状、半導体生産の回復が想定よりも遅く、工作機械なども受注回復が遅れている。また中国経済の不透明感が増しており、25/3期の再減額修正となった。今後、中国などでも競争激化から収益性の回復が従来のように進まない可能性もあり、中計見通しは早くも達成が難しい状況に陥っている。26/3期には半導体産業がAI中心に大きく拡大が見込まれるものの、中計達成の見直しが必要となろう
株価は業績低迷を受けて下落、再減額予想と類似企業のTHKも減額修正しており、冴えない状況が続いている。現在25/3期会社再減額修正予想EPS13.04円に対しPER36.8倍はプライム機械平均PER16.6倍に対し割高、THK33.8倍と、減額修正で両社ともプライム平均で割高となっている。但し同社はPBRが0.45倍、配当利回り4.0%予想となり、Q2受注が同期比15.3%増と回復基調にあり、26/3期は半導体製造装置向けなどの伸長で収益急回復が見込まれ割高感が薄れよう。説明会で中計見直しも実行する可能性を表明しており既に中計減額の悪材料を織り込んだとみられ、ややポジティブ継続としたい。
(H.Mirai)
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