日本アビオニクス(6946)25/3H1決算メモ ややポジティブからややネガティブに変更
25/3期防衛関連伸び21.8%増収19.4%営利増予想と続最高益更新
株価(11/22)2570円 時価総額435億円 発行済株16765千株
PER(25/3DO予13.9X)PBR(3.11X) 配当(25/3予)6円 配当利回り:0.2%
要約
・25/3H1は5.0%増収26.2%営利増、受注は反動減で2.4%減も受注残23.5%増と豊富
・25/3期21.8%増収19.4%営利増予想で防衛関連続伸し連続最高益、接合機器も受注急回復
・防衛力強化、接合機器も電池・モータ寄与で27/3期売上高300億円、営利40億円目標
25/3H1は5.0%増収26.2%営利増、受注は反動減で2.4%減も受注残23.5%増と豊富
防衛用表示機器などの情報関連システムと赤外線サーモモジュールや精密接合機器の電子機器を2本柱に事業展開。25/3H1は売上高91.06億円(5.0%増)、営利11.48億円(26.2%増)、受注111.41億円(2.4%減)受注残164.71億円(23.5%増)と収益上伸に。
セグメント別では情報システムが売上高70.70億円(0.8%増)、営利12.68億円(7.2%増)、受注92.99億円(7.3%減)、受注残154.67億円(21.4%増)。同社は防衛庁向けの各種装備品を供給、防衛予算の伸びと積極的な提案活動が寄与、受注は24/3H1に大型受注があり一時的に反動減となったが、豊富な受注残高から売上確保、利益は増収効果、効率化で営利率が2.4ポイントアップし19.3%となった。
電子機器は売上高20.35億円(23.1%増)、営業損失1.19億円(同期比1.53億円赤字縮小し、赤字半減)、受注18.42億円(33.6%増)、受注残10.04億円(67.6%増)となった。中心となる接合機器は売上高16.12億円(41.8%増)と中心となる輸出(電子機器輸出のかなりの比率を占める)が11.26億円(56.8%増)となっており、特に中国(台湾企業の中国現地工場向け)向けなどで伸びたとみられる。国内中心の赤外線センサを中心とするセンシング部門は売上高4.23億円(17.9%減)とコロナ特需の剥落などで減収に。利益面では増収効果もまだ稼働率が上がっておらず赤字縮小に止まっている。受注は設備需要の持ち直しやターゲットとする市場への拡販で順調な回復をみせた。
25/3期21.8%増収、19.4%営利増、18.4%経常増予想で防衛関連続伸、接合機器も回復へ
25/3期会社予想に変更は無く、売上高220億円(21.8%増)、営利26億円(18.4%増)、経常利益25.5億円(18.4%増)、税引利益19億円(11.6%減)予想を据え置いた。
部門別では情報システムが175億円(19.3%増)、電子機器45億円(32.8%増)予想となっている。基本的に防衛予算の拡大、一方で電子機器がスマホの低迷、EVの伸び悩み、半導体関連の回復遅れなどが影響する想定。
現状、情報システムが防衛関連で下期型であり、電子機器は受注回復もあり、会社計画並みの収益が見込まれる。
防衛力強化、接合機器も電池・モータ寄与で27/3期売上高300億円、営利40億円目標
同社は中期経営目標として27/3期に売上高300億円、営利40億円を掲げた。売上の中身は開示していないが、基盤事業の情報システムが防衛整備計画拡大を背景に順調な拡大、電子機器25/3H1以降、再拡大する計画。
情報システムについては防衛予算が拡大、スタンド・オフ防衛・統合防空ミサイル防衛・無人アセット防衛など、将来の防衛装備品の開発・装備化に重点配分されており、研究開発予算が急増している。このような状況を踏まえ、同社は防衛庁が掲げる防衛力強化に従い、主要7事業についてターゲットを設け、受注獲得に注力する。
電子機器では、接合機器について4工法技術を元に、EV関連では電池、モータ、自動車用ハーネス、通信では水晶デバイス、レーザダイオード対応、半導体ではパワーモジュール向け等で事業拡大を目指す。
具体的に接合機器ではスマートフォンなど底這いから在庫調整が進みつつあり、AI機能搭載スマホも登場、ミリ波対応を含め受注が拡大、高シェアの水晶デバイス真空/窒素封止向けシーム溶接機の需要回復が見込まれる。またシーム溶接機は水晶以外にレーザダイオード(光デバイス)封止や全固体2次電池封止、発熱対策としてのべーバーチャンバ―の封止にも対応が広がろう。
サーモグラフィーについては非発熱向けで、ネットワーク監視のサーモカメラの拡大、ドローン搭載の遠隔監視、加えて医用サーモカメラの発売も行い、緩やかな回復が見込まれる。
全体として情報システム、電子機器事業で新規分野の拡大が期待され、中期経営計画の達成が期待される。ただし、情報システムについてはトランプ大統領就任で米国システムの採用要求に屈するリスクもあり、この点には注意を要しよう。
株価は従来低PERで推移も、事業の再構築から収益急拡大、加えて防衛関連予算の大幅増などから急騰、7/17には1996年高値2400円を抜き2756円の高値をつけた。その後一次下落したが、8/2の25/3Q1決算発表を機に8/5の全体市場下落の後、再度上昇し10/2には2971円の高値を付け、その後も2600円前後で推移している。現在25/3期会社予想EPS120.31円に対しPER21.4倍はスタンダード東証スタンダード電機平均PER12.9倍に対し割高となっている。今後、防衛関連での予算上乗せの可能性もあり27/3期中計予想も達成可能とみられるが、トランプ政権による米国製防衛システムの押し売りリスクもあり、株価急騰した事も考慮し、ややポジティブからヤヤネガティブに変更する。
(H.Mirai)
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