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【年末企画・レアアース】下落、供給過剰を意識 中重希土類が2ケタ値下がり

 2024年のレアアース価格は下落した。磁石向け材料の軽希土類に電気自動車(EV)失速の影響が出た。中重希土類は世界の製造業の回復遅れを背景に需要が鈍り軒並み2ケタの値下がりとなった。中国をはじめ各国で生産拡大が続き、構造的な供給過剰が意識された。

 

■中国価格は年間16%下落、軽希土類中心に増産続き供給超に

 レアアースの世界の生産量は2022年時点で約30万トンだが、そのうち6割強の20万トンを中国が占める。かつては中国の生産量が9割弱だった。2011年の中国の輸出規制を経て各国がレアアース生産に乗り出し続けており、結果として近年は潜在的な供給過剰状態にある。

 その中国も2024年は相変わらず増産だった。中国政府が8月までに発表した2024年のレアアースの生産枠は年間27万トンで、2023年よりも6%程度増えた。主に軽希土類の生産枠を拡大した。

 

関連記事:中国、2024年1回目のレアアース生産枠13万5000トン 前年比12%増、軽希土類増やす | MIRU

関連記事:中国2024年2回目のレアアース生産枠13万5000トン 1回目から横ばい、軽希土類重視 | MIRU

 

 中国はレアアースの生産も行っているが、消費国(加工国)としても世界最大だ。ただ、その勢いは言うまでもなく陰りが見える。国内景気の低迷が影響し、加工を含む消費活動が停滞気味だった。中国税関総署が12月10日に発表した中国の2024年1-11月の貿易統計で、レアアース輸入総額は前年同期比28.3%減、輸入量は22.7%減だった。

 

関連記事:中国のレアアース輸入額28.3%減 1-11月、減少率やや悪化 内需さえず価格もじり安 | MIRU

 

 内需不振が響き、中国ではレアアース価格が値下がりした。中国のレアアース業界団体である中国稀土協会が12月2日に発表した11月のレアアース価格指数は172.4と、年間で16%下落した。

 

中国レアアース指数の推移

(出所: 中国稀土協会)

 

■ランタン過去最安値、ジスプロシウムは34%値下がり

 こうした状況を背景に、鉱種別にみてもレアアース価格はさえなかった。まず軽希土類では、超硬向け需要の多い金属ランタンが12月5日に仲値$3.2/kgを付け、年間では14.0%の値下がりとなった。既に過去20年間での最安値圏にある。

 

金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)

 

電池向け磁石の原料として注目が高い金属ネオジムは12月13日に年初から8.8%安い$70.25/kgを付けた。3月には$60ちょうど近辺に下げ、2020年夏以来の安値を付ける場面があった。

 

金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

 

 

 中重希土類は軽希土類にまして傷が深い。金属ジスプロシウムは12月13日に$290/kgを付けた。年間の下落率は34.4%。2019年5月以来の安値水準にある。金属テルビウムも年初よりも25.2%安い$980/kgに下げた。2月に$1000の節目を割り込んでから心理が悪化し、7月に二番底。秋以降はやや持ち直したとはいえ、年初の水準には戻せなかった。

 

金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)

金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

 

■マレーシアも増産意欲、需要喚起なるか

 

レアアースの国別埋蔵量と生産量

(出所:JOGMEC) 

 

 国際希土類産業協会(REIA)のNabeel Mancheri,氏は、2024年のレアアース市場についてかねて「需要は比較的安定しているが、供給が過剰だ」と話す。

 レアアース自体の埋蔵は世界に分布しており、採掘時の放射能の問題をクリアすれば比較的容易に生産できる。足元ではマレーシアなどの生産拡大方針も伝わり、各国が参戦すれば供給増加を止めるのも難しい。いかに需要を喚起できるかが2025年のカギとなりそうだ。

 

関連記事:マレーシア、鉱物開発法を見直しへ レアアース産業の発展視野、高官明かす | MIRU

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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