新着情報

2025/06/16   東京製鐵 2025...
2025/06/16   中国の研究者、塩湖...
2025/06/16   東邦亜鉛、豪Abr...
2025/06/16   動き出す「金属盗対...
2025/06/16   中国経済、5月は不...
2025/06/16   三菱ケミカル 三菱...
2025/06/16   アルミ合金&スクラ...
2025/06/16   レアメタル千夜一夜...
2025/06/16   レアメタル千夜一夜...
2025/06/16   元鉄鋼マンのつぶや...
2025/06/16   豪Livium社 ...
2025/06/16   政府系科学機関CS...
2025/06/16   環境大臣政務官が、...
2025/06/16   アーバンエナジーの...
2025/06/16   電子部品輸出入Re...
2025/06/16   光ファイバ輸出レポ...
2025/06/16   産業用電子機器輸出...
2025/06/16   LME Weekl...
2025/06/16   東京製鐵の鉄スクラ...
2025/06/15   非鉄各社26/3期...

アドテックプラズマテクノロジー(6668)25/8Q1決算メモ ポジティブ継続

25/8期半導体製造装置、ディスプレイ成膜装置向け受注増で8.0%増収27.2%営利増予想

株価(1/10)1323円     時価総額113億円   発行済株8,586千株

PER(DO25/8期予:7.8X) PBR(0.93X)配当予22円 配当利回り1.7%

 

要約

・25/8Q1は15.3%増収、営利2.0倍と海外半導体メーカー向けの拡大で大幅収益回復

・25/8期半導体製造装置、ディスプレイ成膜装置向け受注増で8.0%増収27.2%営利増予想

・26/8期は半導体事業で新製品効果が本格寄与、収益本格回復期待

 

 

25/8Q1は15.3%増収、営利2.0倍と海外半導体メーカー向けの拡大で大幅収益回復

 

 25/8Q1決算が1/10に発表され、売上高27.72億円(15.3%増)、営業利益3.56億円(2.0倍)、経常利益5.62億円(2.7倍)、税引利益3.70億円(3.2倍)、受注27.12億円(67.3%増)と半導体製造装置向け回復で収益大幅回復に。

 

 部門別に半導体・液晶関連事業が売上高25.29億円(10.4%増)、営業利益3.25億円(61.7%増)、受注高24.73億円(69.3%増)、受注残高47.88億円(18.4%減)に。顧客所在地別売上ではAMATが中心の米国向けが4.01億円(7.8%増)、中国含むアジア向け10.90億円(27.8%増)とHBM関連など好調で伸長した。一方、国内は9.02億円(3.8%減)と低調に推移した。利益面では増収効果に加え、ベトナム工場で板金加工などの内製化の取組み効果が出始め、収益性が向上した。受注はQ4で伸び悩み微増となったものがQ1では海外中心に回復、加えてディスプレイ向け成膜装置メーカー(オプトランと推定)の受注も獲得した。

 

 IDX部門は売上高2.42億円(2.1倍)、営業利益0.14億円(0.58億好転し黒字転換)、受注2.39億円(48.7%増)、受注残9.69億円(7.1%減)。医療装置向け納期期ずれ発生も、官公庁向け出荷、シリコンウエハ引上用装置向け電源及び保守サービス等が伸びて黒字転換。

 

25/8期半導体製造装置、ディスプレイ成膜装置向け受注増で8.0%増収27.2%営利増予想

 

 25/8期会社予想は売上高122億円(8.0%増)、営利18.9億円(27.2%増)、経常利益18.0億円(11.6%増)、税引利益13.0億円(7.1%増)予想を変更せず。

 

 現状、半導体製造装置向け受注推移は、スタートした9月が堅調も10月は若干下回る推移、Q1はQ4比横ばい推移としていたが、会社想定通り24.73億円(24/8Q4比1.6%増)に。光学系はアップル向けにiPhone17で蒸着装置向けに受注を獲得も、納入は26/8期になるとのことで、売上は会社計画並みが見込まれる。一方、受注は先端半導体製造装置向けMark5が日米トップに採用の方向など、新規投入効果が期待できるものの、本格的な売上寄与は26/8期になるとみられる。利益面では部材価格高騰影響を受けた受注残高の減少、ディスプレイ向け以外の新規受注は短納期で収められることもあり、値上げ効果も出る見通しで利益率の改善が進む売上では会社計画並み、営業利益も予想並みが見込める。

 

 IDXも受注が回復基調にありQ1で医療向け納期遅れはQ2以降に納入されるとみられ、全体として増収増益、営利黒字転換が見込まれる。受注面でバイポーラ電源などの新製品獲得が見込まれるが売上寄与は来期以降とみられる。

 

 現状、25/8期は会社想定並みの売上、営業利益確保も可能とみられ、円安継続で経常利益は上振れが見込まれる。受注は下期本格回復し通期では30%程度の伸びを確保しよう。

 

26/8期は半導体事業で新製品効果が本格寄与、収益本格回復期待

 

 26/8期はアドテックプラズマ単体として、半導体事業は最大手ユーザーであるALD最大手ASM向けの拡大に加え、ロジックではTSMCの熊本工場などの設備投資本格化もあり、ロジック向けの急回復が見込まれる。またメモリ向けではマイクロンが北広島を含め国内で5000億円投資を実施、25/8期下期から国内向けも受注回復し、26/8期は大幅回復見通しにある。具体的には東京エレクトロン向けやアプライドマテリアルズ向けなどにエッチング用RF電源の新機種がベトナム工場拡張で対応が可能となり、26/8期に新機種向け大型受注獲得が視野に入る。現在、次世代エッチング技術として東京エレクトロンが2023年にリリースし、2026年から量産予定のクライオジェニックエッチングに注目が集まる。同技術は従来のドライエッチングに比べて極低温プロセス(マイナス数十度にも至る極低温プロセスで、ウエハ温度を従来よりもずっと低く保つことが可能となり高速かつ精密なエッチングを実現)、高アスペクト比(深さ10μm以上の穴を、従来比2.5倍の速度でまっすぐにエッチング加工でき、400層を超える積層構造にコンタクトホールを形成することが可能)、低消費電力(従来比40%以上の低消費電力化)、環境負荷低減(CF系ガス使用を91%削減、HFガスに置き換え80%以上のカーボンフットプリント削減)など。この技術は主に3D NAND型フラッシュメモリの製造に有効も、エッチングが必要なすべてのデバイスに適用可能性がある。そしてこのクライオジェニックエッチングに求められるRF電源の性能として、高精度なプラズマ制御(安定したエッチングレートと均一性の実現のため、RF出力の安定性、周波数制御、インピーダンスマッチングなどが重要)、高速な応答性(プロセス変動に迅速に対応し、プラズマ状態を最適に維持する)、低消費電力(大量生産におけるランニングコスト削減に貢献できる)、高信頼性(長時間安定稼働)などが求められる。この点でMarkVは、フルデジタル高速制御で従来機種比較1000倍の毎秒100万回の制御が可能、精緻な電力制御で電源の設定条件を守り安定性も向上しており、東京エレクトロン以外でもラムリサーチが2024年8月に極低温絶縁膜エッチング技術の第3世代「Lam Cryo 3.0」を発表、今後、クライオジェニックエッチング用に本格採用が期待される。

 

 またIDXは民生用に直流バイポーラ電源の品揃えを強化、30KW製品が25/8期に光学系に採用され、26/8期には本格量産で売上拡大が見込まれる。さらに一度断念していたクリーニングなどで利用されるリモートプラズマ電源ではリモートプラズマ電源大手と協業して参入を図る。同社はRFで一般的に採用されている13.56MHzではなく、2.45GHzのマイクロ波を使う。RFと比較し、高プラズマ密度で加工性が高く、電子温度が低く、ウエハへのダメージが小さい利点から、半導体の微細加工、加工ダメージ低減、スループット向上などで期待が高まる。具体的には2024年12月にリモートプラズマ用マイクロ波システム開発が完成、26/8期後半に量産開始、27/8期に本格拡大を目指す。さらに同社はマイクロ波を利用したオートチューナーについて韓国メーカーへ出荷を始める。オートチューナーとは製造装置やプロセスの最適化を自動で行うシステム。同社はプロセス条件に応じて最適なマイクロ波パラメータをリアルタイムで調整し、均一で高品質な処理を実現。オートチューナーメーカーとしてはスイスのCoMET、MKS Instruments、Advanced Energyなど世界でも数社しか手掛けておらず、評価機を韓国メーカーに納入、市場は小さいが量産納入が期待される。

 

 全体を通じ、先端半導体製造装置向けの拡大に加え、次世代光学薄膜製造装置向け、IDXのマイクロ波技術の応用拡大などで、26/8期には収益上伸が期待され、27/8期には再度最高益更新の期待がある。

 

 株価は7/12のQ2発表時の増額修正を受け大きく上昇、9/30には2022年12月高値2066円を抜いて2184円の高値を付けた。しかし10/11の本決算で7/12修正予想に対し未達成、しかも25/8期予想がコンセンサスに達せず期待外れとなったことで10/10の終値1918円から急落、その後12/24には安値1182円まで下落し、年初来安値を更新、現在は多少戻した状況にある。現状、25/8期会社予想EPS152.01円に対しPER8.7倍は東証スタンダード電機平均PER13.6倍に対し割安感がある。また高周波電源国内最大手のダイヘンの15.8倍に対し割安、京三製作所7.2倍と似通った水準。25/8Q1で受注が同期比増と明確になり、円安から経常利益増額が見込まれる。最高益更新については27/8期にずれるとみられるものの26/8期は収益大幅上伸するとみられ、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る