インド、ロシア産アルミの輸入30倍増 24年10月、EUは禁輸計画も抜け道に?
インドがロシア産アルミニウムの輸入を大幅に増加させていることが明らかになった。欧州連合(EU)はウクライナ侵攻に伴うロシアへの追加制裁としてアルミ地金の輸入禁止を検討していると伝わるが、原油や天然ガスと同様に、インドや中国が経済制裁の抜け道となる可能性がある。
インドの国旗
(出所:Wikipedia)
■アルミ輸入全体も大幅増、ロシア産はワイヤーが人気
ロシアメディアのRIAノースボスチが1月16日に、インドの統計データを分析した結果として伝えた。それによると、インドのロシア産アルミの輸入額は2024年10月に約570万ドルで、前年同月の30.2倍に増えた。このうち9割超が厚さ7mm超の非合金アルミニウムワイヤーだったという。
インドは経済発展中で、アルミ需要は増えている。報道によれば、インドは10月のアルミの輸入全体が前年の4倍程度に増えていた。中国産が多くを占め、ほかに米国やアラブ首長国連邦(UAE)、マレーシアなどから輸入しているという。ロシアの順位は輸入元国家別では25位で高くはないが、前年の83位からは大幅に上昇したとも伝わった。
■原油の二の舞てせ制裁は無効化か
一方のEUを巡っては、ロイター通信は1月14日、追加の対ロ制裁としてロシア産アルミ地金の輸入禁止を検討していると伝えた。、
関連記事: EU、ロシア産アルミ地金の輸入禁輸を検討、外電 中国産酸化チタンには反ダンピング課税 | MIRU
ウクライナ侵攻に伴う対ロ制裁では、原油やガスなどをはじめとしたロシア産エネルギーへの経済制裁が2022年の侵攻当初から行われたものの、結局はインドや中国が廉価で購入の上で一部を西側へ迂回輸出するなどの動きとなり、西側による制裁は事実上無効化された経緯がある。同様のことはアルミニウムでも発生する可能性が出てきている。
アルミ需要の大きなインドがロシア側と価格で折り合えば、輸入を増やす可能性は高いだろう。EUによる輸入禁止だけならば供給減となりアルミの国際価格の押し上げ要因になるが、ことはそう単純にはいかない可能性がある。今後のアルミ相場を見る中で、中印とロシアの動きにも留意する必要がありそうだ。
(IR Universe Kure)
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