EU、ロシア産アルミ地金の輸入禁輸を検討、外電 中国産酸化チタンには反ダンピング課税
欧州連合(EU)欧州委員会が、ウクライナ侵攻に伴うロシアへの追加制裁として、ロシア産アルミニウム地金の輸入禁止を検討しているもようだ。ロイター通信が1月14日、EU外交筋の話として伝えた。EUは1月9日には中国産チタンの反ダンピング(不当廉売)課税を決めたばかり。中国やロシアに対し厳しい姿勢が目立ってきている。
■中東などからの輸入元置き換え進み禁止にめど
報道によると、欧州委員会は1月14日にこの件に関する会合を開いた。ロシアによるウクライナ侵攻が丸3年を迎える2月に追加制裁を実施することについて話し合い、議論の対象にアルミ地金が上ったという。EUは既にアルミ線やアルミ缶などのアルミ製品についてはロシアからの輸入は禁止している。また、米国と英国はアルミ地金の輸入も2024年にすでに禁止した。EUもロシア産アルミ地金の輸入禁止を検討したが、一部加盟国の反対で実現しなかった経緯がある。
ただ、欧州のロシア産アルミの輸入は製品も含めて過去2年間で減少しており、中東などからの輸入元の置き換えも進んだことで、輸入禁止に踏み切れるめどが立ってきた模様だ。ロイターが関係者の話として伝えたところでは、輸入禁止は段階的に実行される見通しという。
■中国産二酸化チタンは最大32.3%のダンピングマージン
一方、欧州委は1月9日にはホームページ上で、「中国産二酸化チタンに対する反ダンピング(不当廉売)課税を決定した」と発表していた。
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EU内の二酸化チタン産業に対する損害を防ぐためとし、中国産二酸化チタンを対象に11.4%-32.3%のダンピングマージンを課す。EUは2024年7月に中国産二酸化チタンに対する暫定的な反ダンピング措置を導入しており、暫定期間は6カ月だった。
中国産の二酸化チタンを巡っては、生産能力の拡大に伴うデフレ輸出が世界的に問題視されている。特に欧州は税率や運賃、為替などの影響で他国への転売拠点にもなっており、弊害を指摘する声が多かった。
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(IR Universe Kure)
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