レアメタル系スクラップ市場近況2025#2 ニッケル由来のアイテムが下落、回復の兆しも
ニッケル相場の下落を受け、ニッケル由来のアイテムを中心に全体的に相場が下落した。ただLMEニッケルの動向を見ると直近では、相場がプラス転換しており、相場の回復も期待されるところだ。なお、1月20日に発足した米国のトランプ政権の影響は「現時点ではまだ見られない」(流通筋)とのことだ。ただし、積極的に政策の変更を打ち出しているため、安堵はできない状況といえる。
【チタン】
・純チタン板スクラップ(新断)「⤵」:350~370円/kg。前月から10円下げ
・合金6-4チタンダライ粉「⤵」:140~160円/kg。前月から10円下げ
・合金6-4チタンスクラップ「⤵」:190~200円/kg。前月から10円下げ
・フェロチタン「⤵」:実勢はキロ当たり5.7ドル/kg前後。前月から0.6ドルほどの下げ
前月に続き海外市場でフェロチタンの流通量が増加傾向にあり、純チタン板スクラップなども続落円となった。国内市場では来月以降も相場価格の下降が継続するとみられる。関係筋によれば「今月以上の下げ幅になる可能性が高い」という。
【工具類】
・ダイス鋼MIX「→」:25円/kg。前月から横ばい
・SKD61「→」:55円/kg。前月から横ばい
・ハイス(ミックス)「→」:360~390円。前月から横ばい
・ハイス(一品もの)「→」:290~320円。前月から横ばい
・超硬スクラップ「→」:3000~3400円。前月から横ばい
旧正月前の影響もあり、市場の動きは少なく横ばい傾向が2024年下旬から続いている。前月に200円上昇した超硬スクラップの相場も同様に横ばいとなった。
【モリブデン系】
・酸化モリブデン「⤵」: ポンド当たり22ドル前後で推移するも下げ含み。仲値は前月から0.7ドル下落して21.05ドルが目安。
・フェロモリブデン「→」: 49ドル/kg前後で推移。仲値は49.7ドルが明安。前月上旬から比較すると、横ばいだがやや下げ含み。
・モリブデン新切れスクラップ「→」:3350~4350円/kg。前月から横ばい。
酸化モリブデンは前月から比べるとやや下降、フェロモリブデンは変動がありつつも現状はほぼ横ばい。モリブデン新切れスクラップも前月から相場に変動はほぼみられない状況だ。
【タンタル】
・タンタライト「⤵」:76~78ドル/lb。前月から3ドルの下げ
・金属タンタル「⤴」:296~306ドル/kg。前月から1ドルの上げ
・五酸化タンタル「⤵」:240~258ドル/kg。前月から約45ドルの下げ。
・タンタルスクラップPIN「→」:高値28,000円/kg、安値26,000円/kg。前月比横ばい。
・タンタルターゲットスクラップ「→」:20,000円/kg前後。ほぼ横ばい。
全体的には大筋で横ばい傾向にある一方、五酸化タンタルは2024年11~12月まで上昇傾向だった相場がマイナスに転じた。今後の動向が注目される。
【ステンレス 、耐熱系】
・SUS304「⤵」:155~165円。前月から10円下げ
・SUS310「⤵」:390円/kg前後。前月から5円下げ
・SUS316「⤵」:240~290円。前月から5円下げ
・SUS330「⤵」:500~550円/kg。前月から5円下げ
・SUS430「→」:66~74円/kg。前月から横ばい
・42アロイスクラップ「⤵」:670~730円/kg。前月から10円下げ
ニッケル相場の下落の影響を受ける形で、前月同様に5~10円程度の下げが目立った。前月と異なる点でいえば、為替が短期的に円高傾向にあり、ニッケル相場の影響による下落幅を若干緩和しているとみられる。
【ハイニッケル合金系】
・インコネル718「⤵」:670~900円/kg。前月から30円下げ
・インコネル625「⤵」:940~1040円/kg。前月から100円下げ
・インコロイ800「⤵」:480~520円/kg。前月から30円下げ
・ハステロイX「⤵」: 700~780円/kg。前月から55円下げ
・ハステロイC「⤵」: 890~990円/kg。前月から100円下げ
ニッケル相場の下落の影響からマイナス傾向が継続している。軒並み前月よりも下落幅が大きくなった。アイテムに含まれる原料の組成比率により30~100円の差がみられる。
【その他】
・キュプロニッケル(9/1)「→」:660~730円/kg。前月から横ばい
・キュプロニッケル(7/3)「→」:730~770円/kg。前月から横ばい
・コバール「⤵」:275~335円/kg。前月から10円下げ
・カーペンタ―「⤵」:330~390円。前月から10円下げ
・ステライト(Co50%他)「⤵」:320円前後。前月から10円下げ。
ニッケル相場の影響を受け、若干のマイナスとなったアイテムがある一方で、キュポロニッケルは横ばいに。ニッケル相場の影響は同様に受けているものの銅相場の上昇を受けて相殺されたとみられる。
(IRuniverse K.Kuribara)
関連記事
- 2025/06/16 動き出す「金属盗対策法」――指定金属切断工具の隠匿携帯には罰則
- 2025/06/16 LME Weekly 2025年6月9日-13日 米中貿易交渉の進展期待も中東情勢緊迫化でCu Ni下落、Al続伸
- 2025/06/15 非鉄各社26/3期新前提とのギャップについて(6/13時点)
- 2025/06/14 日本製鉄: USスチール買収計画、トランプ大統領パートナーシップ承認
- 2025/06/12 インドネシア ガグ島のニッケル鉱山、観光と環境への影響懸念で操業停止
- 2025/06/12 2025年通年のニッケル鉱価格は高水準を維持する
- 2025/06/12 タングステン輸出入Report#123フェロタングステン輸入 2025年輸入大幅増加
- 2025/06/11 民間航空機受注納入統計(25年4月)
- 2025/06/11 Project Blue Critical Materials Forum 「シリコンの行方」
- 2025/06/11 工作機械工業会受注速報 25年5月受注は3.4%増1287億円、8ヶ月連続同月比増