ウクライナ戦争下のロシア鉱山業・見えない新規開発の行方
ロシアでは2020年、世界で11位の鉱山業への投資が$407億計画されていた。当時、世界一の鉱山業投資国の中国の投資額は$2134億で、ロシアの5倍の規模が計画されていたが、ロシアでは12もの銅、ニッケル、金、銀、PGMの鉱山プロジェクト開発が盛んに行われていたという。
ロシアでは世界規模の鉱山会社として、①KAZ Minerals②Baikal Mining③Nornickel④Polyus⑤Kinross Gold⑥Polymetal Intl.――の6社が主要な活動を行っている。2024年時点でみると20年に行っていた開発活動の大半が終了していると思われる。24年時点で継続している鉱山開発活動は20年の12案件から僅か4案件へ激減している。
2024年12月号のE&MJ(Engineering & Mining Journal)誌によれば、ロシア政府は2030年までにレアメタルとレアアース(REE)生産量を700%へ増加する政策を表明している。さらに2024年7月にプーチン大統領は、REEの海外依存度を90%から僅か15%まで低下させると説明していると伝えている。
ロシアの世界におけるREE鉱石賦存量は世界第2位で2200万トンとの情報があるが、資源の賦存地域はシベリアや極東へ偏在している。さらにロシアの中央銀行のコマーシャルローン金利は21%まで上昇しており、開発が進むことに疑問を呈している。
一方で2024年の世界の鉱山開発の国別順位ではロシアは、2020年世界11位から、世界第7位(①中国、②カナダ、③米国、④印度、⑤豪州、⑥アルゼンチン、⑦ロシア)まで上昇し、総開発計画は$161億となっている。クラスター爆弾と戦車の材料の鉄鋼生産に傾斜した開発になっているかも知れない。
(Katagiri)
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