バナジウム市場近況2025#3 小幅上昇、中国春節の終了で取引活発化 上値は限定
2025年3月初めまでのバナジウム価格は小幅に上昇した。中国の春節(旧正月)連休が明け、製鉄所の稼働が始まって鉄鋼添加剤としてのバナジウム調達の動きが活発化している。ただ、一部の製鉄所はすでに在庫が十分で急いで調達する動きは限られることから、価格上値のペースは鈍い。
■五酸化バナジウム2ヵ月ぶり高値、フェロバナジウムも2月初めの水準に
Ferroalloy.netは2月28日付の週刊レポートで、「在庫の乏しい中小型の製鉄所はバナジウムを調達しているが、在庫が十分な大手はまだ様子見だ」と指摘。一方で生産者側も「更なる値上がりを待っている」として、市場はやや膠着気味だと指摘した。
過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)
五酸化バナジウムは2月27日に仲値$4.615/lbと、2024年12月下旬以来ほぼ2か月ぶりの高値を回復した。1月下旬に節目の$4.5台を回復。その後は小幅に弱含む場面も交えたものの次第に値を上げ、$4.6台を回復した。ただ、長期の水準としてはなお2016年秋以来の安値圏で推移している。
過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)
鉄鋼向けのフェロバナジウムも2月27日に仲値$24.1/kgを付けた。こちらは2月5日以来の高値水準。2月は月半ばに$23台に落ち込んだが、この水準では割安感に注目した買いが入った。長期では、2022年3月の$60超えをピークに、じりじりと下落している。
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2月27日
住友電工は、2月25日から27日まで米サンディエゴで開催の国際展示会「Energy Storage North America(ESNA)」で、先進的なバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)を発表した。
関連記事: 住友電工 ESNAで革新的なVRFBを発表 | MIRU
2月26日
オランダ特殊金属加工のAMGクリティカル・マテリアルズ(AMG Critical Materials)が自社ホームページ上で発表した2024年12月期決算のうち、傘下のAGMバナジウムの売上高は前の期比11%減の6億2900万ドルだった。調整済みEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は5%減の7600万ドル。本業のもうけを示す営業利益も9%の減益だった。期間内のバナジウム価格の下落が響いた。一部はクロム販売の好調で相殺したが、減収は免れなかった。
AMGクリティカルの2024年12月期は売上高が前の期比11%減の14億3900万ドル。最終損益は3300ドルの赤字で、前の期の1億ドルの黒字から赤字転落した。
プレスリリース: AMG Delivers Strong Full Year 2024 Earnings - AMG Corporate
(IR Universe Kure)
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