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3月の世界経済 好材料見つけにくい・川上氏 好調の米国に陰り、関税応酬も重荷

 金融アナリストの川上敦氏のセミナー「Chuck Kawakamiの金融経済Now」の最新オンラインライブが3月4日に行われた。3月の世界経済について川上氏は「独り勝ちと見られていた米国の労働市場に陰りが出てきた」と指摘。「日欧はさえず中国も悪いとあり、好材料が見つけにくい」と話した。(図表はすべて「Chuck Kawakamiの金融経済Now」から)

 

■米労働市場に陰り、リセッションでもおかしくない

 国際通貨機関(IMF)の2024年10月予測値で米国の2025年の経済成長率予測は前年比2.77%成長と、日本(0.32%)などを尻目に独り勝ちの様相だ。しかし、川上氏はその米経済も「ゆっくり落ちてきている」と指摘。実際の雇用者数の増減がマイナスになった月が出てきているとして、「雇用者数の減少や求人の減少がみられ、景況感も強くない。企業が『儲からないなあ』というムードになっていることが考えられ、リセッション(景気後退)に入ってもおかしくない」と述べた。

 

1月までの米労働市場(000人)

 

■日本の消費者は将来に期待せず、中国は政府頼み

 米国以外で元気な地域は更に少ない。まず日欧は低空飛行を継続している。

 川上氏は日本については「GDPは全然ダメ。名目だけ上がっているが、前年比ではあまり変わらない」と悲嘆する。「輸出数量や融資の水準が戻っていない。雇用者数が実質で増えたのは喜んでもいいが、賃金は2024年通年ではマイナスだった」と話し、「消費マインドが鈍い。収入横ばいでインフレになっているので家計が厳しく、将来に期待していない数字だ」との見方を示した。

 

日本の消費マインド

 

 欧州も「日本並みの低空飛行」と厳しい。川上氏は「雇用も消費者心理も悪い。金融緩和の割に伸びない。逆に言えば、金融緩和の効果などこんなものだということかもしれない」と話した。

 金融政策が空振りなのは中国も同じだ。川上氏は「卸売物価指数(PPI)が2年以上前年割れしているので、消費者物価指数(CPI)も伸びようがない」と、「実質的なデフレ状態が続いている」と見る。政府主導でのテコ入れが続くが、実質的な政策金利とされる最優遇貸出金利(ローン・プライム・レート、LPR)は据え置きのままで「本当にテコ入れする気があるのかやや疑わしい」と苦笑した。

 しかし、川上氏は中国については「貿易収支は過去最大。特に米国以外が伸びていて興味深い」と指摘。「中南米からの鉄鋼輸入が増えている。造船などに使っているようで、これは景気持ち直しの証左ではある。ただし、一時的なスマッシュヒットなのか継続的な景気回復の兆候なのかはわからない。日本も過去の停滞の中で、幾度かそういう局面はあった」 と話した。

 

中国の貿易黒字は過去最大規模

 

■関税応酬、米返り血で円高に?

 為替は強弱材料が交錯する。まず、米国は10年物国債の長期金利が下がっており、これは労働市場の悪化を織り込み始めたとみてドル安を示唆する材料。川上氏は「米ドルも一番強かったのは2020年だったと言える」と説明する。一方、円はネット建玉で売りポジションが優勢で、こちらは円安示唆となる。

 

ドル円建玉ポジション

 

 川上氏は足元で激化する各国の関税の応酬について、「最終的に日本円にとってはプラスだ」と喝破する。「トランプ米大統領が関税を仕掛けるほど、特に消費財で輸入に頼る米国は輸入インフレの打撃を受けることになる。インフレが低い方が通貨は上昇するので、米ドルの下落要因となり、相対的に円は上昇することになる」と説明した。

 ただ、川上氏は「関税自体は世界経済に対してはもちろんあまり良くない。米国も返り血が大きすぎる。例えばUSスチールの案件なども含めて、最終的には軟化する可能性がある」と見ていた。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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