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Fe scrap watch2025#3 トランプ関税は結果的には原料相場にプラス?の不思議

 鉄スクラップは下級くず(H2)と上級くず(新断)とでは市場環境が異なっている。

 上級くずは国内外で需要あるが、下級くずは引き合いは弱い。

 こうした状況下、東京製鉄は久々にホットコイルをはじめとした一部品種の鋼材価格の値下げに踏み切った。

https://www.tokyosteel.co.jp/salesprice/

 

 この鋼材価格の値下げからすると、スクラップについても下げ圧力がかかる可能性がある。

 為替の円高、輸入鋼材の影響からくる減産、国内受注の低下、と鉄鋼市場環境は一言でいって冴えない。

 従ってスクラップ原料需要もいまひとつなのだが、先日の関東鉄源ではバングラデシュのメーカー1社が購入を決めたのみで全体市況に影響を与えるものではなかった。

 

(関東鉄源輸出テンダー価格と東鉄岡山海上H2価格の推移)

 

(ベトナムの輸入スクラップ価格と為替円ドル相場の推移)

 

 輸出ではベトナム向けのみが好調。昨年の日本からの鉄スクラップ輸出先でもトップは260万トンでベトナム向けだった。韓国向けは155万トンまで減少。

 「この韓国向けの減少はしばらく続きます。韓国メーカーにスクラップのバイイングパワーはない」と韓国トレーダー筋。

 

(日本の鉄スクラップ輸出向け先)

(出典:鉄源協会資料)

 

 製品面ではかなり中国品のディスカウント品が出回っている「東鉄としては、直接的に中国品とバッティングしている訳でもないが、間接的な影響がかなりあるから、鋼材の値下げに踏み切った」と鋼材扱い筋は話す。

 国内では折からの人手不足もあり新規発注は少ない。つまり生産は伸びない。名古屋では中部鋼鈑は爆発事故の影響はいまなお続いており、生産はきわめて低い。

 従って、スクラップ発生少なくともメーカーでは事足りている需給バランスがいまも続いている。

 「鉄鋼製品の加工問屋もばたばたつぶれてますが、スクラップディーラーもつぶれる時代に入ってます」と先の鋼材扱いディストリビュータ氏。

 輸出スクラップはベトナム頼り。ベトナムがこけたら需給バランスは崩れます。

 

 また米トランプ政権がアルミ、鉄鋼製品に25%の輸入関税をかける(すべての国に)と発表して以降、米国内のホットコイル価格は急騰している。

 一部は再びトン当たり1,000ドルを超えているという。これを甘受するストンロングな米経済が続けば、不振の韓国でも米港向けのホットコイル輸出を続けられる。

 「中国は500ドルでホットコイルを出してますが、関税かけられても750ドルなので許容範囲。関税をかけることによって製品価格は上がり、周りまわって原料価格にもプラスに働く可能性がある」と鋼材トレーダー氏は鉄鋼経済学を語る。なるほど、そう考えられないこともない。そして再びドル高円安、となれば、またまたスクラップ相場の強力な下支えとなる。

 ベトナム向けの鉄スクラップ相場は目下のところHMSベースで360ドル前後だが、これが上昇し、為替が再び円安にシフトすれば、まさかの強気シフト?

 日米金利差は縮小しているとはいえ、まだ2%はある。投資家にとってはドル買い円売りをまだ続けられる環境。

 米国経済は関税効果?でさらにインフレが進むことになる。これを抑制するための利上げ、がまたあるかどうかは難しいところではあるが。

 

 一般的にはドル安円高が進むとみられているが、為替も水物だ。どう変わるかわからない。今後の為替相場にも大注目だ。

 

(最近1年間の米国内ホットコイル価格の推移)

(過去1年間の為替円ドル相場の推移)

 

 

(IRUNIVERSE YT)

 

 

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