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先端パッケージを支えるガラスコア基板#3

 ガラスコア基板/インターポーザも実用化に向けて、半導体企業の対応も活発化している。本稿では半導体企業の動向を中心にまとめていく。

 

【参考記事】

先端パッケージを支えるガラスコア基板#1
先端パッケージを支えるガラスコア基板#2
 

 

 

1.Intelが口火

 

 ガラスコア基板、ガラスインターポーザは、2023年9月18日にIntelが行った発表を機に注目を集めることになった。同社は、ガラス基板技術の開発を進めており、10億米ドル以上を投資して、米アリゾナ州Chandolar工場にガラス基板を用いた半導体パッケージの研究開発ラインを構築したことを発表した。

 

 Intelは、2.5Dパッケージン「EMIB(embedded multi-die interconn。ect bridge)」や、3Dパッケージの「Foveros」「Foveros Direct」などを開発している。さらに2030年以降に向けたブレークスルーとして、基板材料を有機基板からガラス基板を置き換えることを決めた。半導体技術開発で大きな影響力を持つintelの発表は、ガラス基板への影響力を一気に高めることにつながった。同社ではなお、ガラス基板の量産適用については、で2025年以降の量産を予定しているプロセスノード「Intel 18A」の次の世代になるとしている。

 

 これを契機に、AMD、韓国Samsung Electronics、SkHynix、さらに2.5D、3Dパッケージに力を入れる世界最大の半導体企業TSMCもガラス基板、開発に力を入れていくことを明らかにしている。

 

 Samusnghaは2024年にガラス基板の基礎となる生産ラインを建設し、2026年には量産を開始する計画である。日本企業では、ラピダスがガラスインターポーザを積極的に取り入れていくことを明らかにしている。同社は政府から後工程向けとして2024年度に最大535億円の支援を受け、チップレット集積や2.5次元/3次元実装などの要素技術を開発進めている。


 千歳工場に隣接するセイコーエプソンの千歳事業所内にクリーンルームを設け、自動化ラインを設け、開発の拠点とする。2024年に着工した。クリーンルームを整備した後、2025年4月から製造装置を導入し、2026年4月に開発を始める。開発した技術を千歳工場に移管した上で、2027年以降の生産開始を目指す。

 

 チップレット集積型の製品を顧客が設計しやすくするためのデザインキットやテスト技術を開発し、量産に向けて千歳工場へ移管する。同ラインでは大型のパネル基板を用いるガラス製インターポーザを利用したパッケージ技術開発に力を入れていく。同社の小池社長は「ガラス・インターポーザでは大型パネルを使用することで、シリコン・インターポーザと比較して収量を大幅に拡大(10倍以上)でき、大幅なコスト低減を次元できる」としている。

 

各国のガラス基板支援

 

 各国政府もパッケージ技術開発に力を入れており、様々なプロジェクトを進めている。日本政府では前述のラピダスへの投資のほか、パッケージ技術の開発プロジェクトの支援を行っている。

 

  米国政府は2024年5月、韓国SKグループ傘下の化学メーカーSKCの米国子会社AbsolicsにCHIPS and Science法(CHIPS法)に基づいて最大7500万ドルの補助金を支給することを発表した。

 

 対象は、Absolicが米ジョージア州コビントンに半導体先端パッケージング用ガラス基板技術の開発・製造を行うことを目的として建設する12万m2の施設。Absolicsは、2021年にSKCが米国に設立した半導体材料メーカー。2022年末に後工程製造装置への進出を狙うApplied Materials(AMAT)が4000万ドルを出資、SKCとのジョイントベンチャーとなっている。

 

 今回の補助金は、工場建設の総投資額約3億ドルの1/4にあたる。ジョージア工科大の3Dパッケージング研究センターとのコラボレーションが開始されている。このほか米国では、Apple、TSMC、米国OSAT大手のAmkor Technologyの提携が注目される。Amkorはアリゾナ州に20億米ドルを投じてパッケージング工場を建設し、TSMCが近隣に建設中の半導体工場をサポートする。この協調の最大の顧客の一つがAppleである。

 

 なお、アブソリックスはCHIPSプラス法に基づく半導体の先進パッケージング研究プロジェクトでも、1億ドルの助成対象に選定されている。同社はこの助成金を活用して、ガラス素材と基板分野で学術機関や大企業、中小企業、非営利団体など30以上のパートナーと提携し、最先端の技術開発を行う予定。基板・素材先進研究技術(SMART)パッケージングプログラムを通じ、ガラスコアパッケージングのエコシステム構築を目指す。

 

 また、韓国の大手メモリメーカであるSK hynixはインディアナ州の先端パッケージング施設に39億米ドルという大規模な投資を発表している。同社は、AIチップの性能を高速化する高帯域幅メモリ(HBM)の生産で世界をリードしている。

 

 

柴田浩一

 

 

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