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険しくなるルワンダへの視線 コンゴ鉱物は誰のもの? 争奪戦に思惑と緊張

 アフリカ中部の国ルワンダに対する世界の視線が厳しさを増している。隣国コンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)の鉱物を狙って、コンゴ東部での紛争を支援しているとの指摘がある。コンゴの鉱物を巡っては米国や中国などの大国の思惑が交錯する上、ルワンダの隣国アンゴラやブルンジも緊張し始め、アフリカ中部全体が不安定化しつつある。

 

■コンゴ、ルワンダ、米中、欧州…動き目まぐるしく

 

 

 3月に入ってからのコンゴとルワンダを巡る情勢はめまぐるしかった。時系列では以下である。

 

3月9日 米とコンゴが希少鉱物の共同開発で協議との外電報道

3月16日 コンゴのチセケディ大統領と米ジャクソン議員が会談

3月17日 欧州連合(EU)がルワンダに制裁措置、ベルギーとルワンダが断交

3月18日 コンゴのチセケディ大統領とルワンダのカガメ首相がカタールで首脳対談

3月22日 コンゴ資源チェマフ・リソーシズ、中国兵器工業集団への資産売却計画の難航を通達

3月24日 アンゴラ、コンゴ紛争での調停役を撤退へ

3月25日 ブルンジ大統領、英BBCにルワンダの脅威語る

 

 事態を整理しなおす。緊張の発端は、反政府武装勢力「M23(3月23日運動)」が1月、東部の都市ゴマを制圧したこと。当然、政府軍は反政府組織の制圧に乗り出し、現地は戦闘地域と化した。この反政府組織をルワンダが支援しているとされ、コンゴとルワンダの対立が強まり、コンゴ政府を支援する欧州はじめ西側諸国とルワンダとの対立も強まっている。

 

■米支援求めコバルトを輸出停止、価格急反発

 

コンゴ地図と主要鉱山

(出所:JOGMEC)

 

 コンゴ東部は鉱物資源が豊富とされる。確かに東部は錫鉱山などが多く、地域の政情不安定化で錫価格は3月半ばに一時急騰した。

 

関連記事:錫価格が乱高下 2週間で2割上昇、コンゴ鉱山の停止でミャンマー供給増観測を相殺 | MIRU

 

  一方で世界トップレベルの生産量を誇る銅とコバルトの鉱山は南部に集中しており、「紛争が激しい地域とは場所が違う」(コバルトを扱う外資系商社の担当者)としてコバルト相場には影響しないとの見方が多かった。

 それが一転、コバルト価格に影響し始めたのは、コンゴが2月下旬にコバルトの輸出を禁止してからだ。コバルト価格はベンチマークのLGコバルトが3月11日に仲値$12.5/LBに急反発した。

 

過去3か月間のLGコバルト (Co99.3%)($/LB)価格の推移

 

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 コバルトは、中国企業の増産で低迷していたのにかねて米国が不快感を示しており、紛争解決に米国の支援を得たいコンゴ政府が輸出停止に踏み切ったとの憶測がある。米中のコンゴを舞台とした対立は、地元企業の資産売却計画の難航などあちこちで顔を出している。

 

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■「アフリカの優等生」ルワンダ、鉱物狙い攻撃的に

 今後の焦点はコンゴからルワンダに移りつつある。ルワンダは1994年の大量虐殺を経て経済発展を遂げ、「アフリカの優等生」と呼ばれた。現在も近隣諸国に比べむしろ裕福だ。しかし、力を付けるに従い近隣諸国の鉱物資源を支配しようとする姿勢が目立ち始め、コンゴの紛争でも反政府組織への支援が指摘されてきた。

 米国は2月下旬、ルワンダ政府高官らに制裁措置を発表。3月に入ってからのEUやベルギーの動きは米国に続いた動きだった。

 

 周辺国の危機感は強まっている。国の北側をルワンダ、西側をコンゴに接する小国ブルンジのエヴァリスト・ンダイシミエ大統領は英BBCに対し「ルワンダがブルンジを攻撃しようとしていることを知っている」と話したと伝わった。

 同大統領は、「(ルワンダは)コンゴでやっているのと同じことを(ブルンジに)しようとしている」とも述べ、次のように話したという。「コンゴの紛争が終わらないのは、反政府勢力、民兵、外国の政党が国の貴重な資源を支配しようと競い合っているためだ。コンゴの危機は人々ではなく、鉱物の問題だ」

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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