三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修) 及びマイクロ波化学株式会社(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:吉野 巌)は、マイクロ波を活用した環境負荷の低い革新的な炭素繊維(CF)製造に関する実証設備を2023 年 12 月に三井化学名古屋工場内(愛知県名古屋市)に完工した。
既に 2024 年 1 月より試運転を開始しており、引き続き、両社で量産化技術の確立に向けた検討を進め、2024 年度内を目標に CF サンプルの供給開始を目指している。
実証設備導入にあたり、マイクロ波化学は CF 製造工程 における耐炎化プロセスと炭化プロセスの両工程を一貫してマイクロ波で焼成する「Carbon-MXTM」技術による焼成ラインの機器一式を三井化学に供給し、三井化学は当該技術を含む全体プロセスを構築した。
同技術は、対象を内部から加熱できるマイクロ波の特性を生かすことにより、無駄な加熱を徹底的に排除した革新的なプロセス。従来法と比較し、加熱処理時間が大幅に短縮されるため、焼成プロセスのラインが短くなり、設備をコンパクトにすることが可能だ。
また、装置自体の温度が高温にならないた め、装置コスト、エネルギー消費、さらには安全面でもメリットが見込まれル。現時点の両社の見込みでは、エネルギー消費量が約 50%削減され、将来的にマイクロ波を発生させるための電源を再生可能エネルギーに変更することで 90%以上の CO2 排出削減が期待できる。
両社は、今後も LCA(Life Cycle Assessment)を通しバリューチェーン全体での低炭素化を目 指し、モビリティ分野など今後 CF が適用される産業においてカーボンニュートラル推進のニーズに応えていく。
(IR universe rr)