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三和油化工業(4125) 25/3期決算説明会メモ 電池、半導体の低調でニュートラル継続

2025/06/03 11:10

25/3期2.6%増収34.7%営利減と低迷、26/3期6.0%増収19.6%営利増予想は減額懸念

株価1496円(6/2) 時価総額64億円 発行済株4318千株

PER(26/3期DO予:10.1X)PBR(0.52X) 配当43円  配当利回り:2.9%

 

要約

・25/3期は2.6%増収ながら34.7%営利減と半導体、電池等の成長期待分野低迷で利益低迷

・26/3期会社予想6.0%増収19.6%営利増予想も、前期一時費用除くと3.8%営利増予想

・新中計で大幅減額し28/3期売上高210億円、営利17億円目指すも未達リスクあり

 

5/3期は2.6%増収ながら34.7%営利減と半導体、電池等の成長期待分野低迷で利益低迷

 

 蒸留・高純度化技術で廃油等の再生・再資源化に強味を持ち、一方で電池・半導体向け化学製品も手掛ける。

 

 

 25/3期決算が5/13に開示され、5/20に説明会が実施された。25/3期は売上高160.40億円(期初計画比9.60億円未達、2/13再減額修正予想比4.70億円増額、2.6%増)、営業利益8.36億円(同4.64億円未達、同2.86億円増額、34.7%減)、経常利益8.97億円(同4.33億円未達、同2.87億円増額、34.0%減)と24/3期期の最高益から一転、2期連続大幅減益と低迷した。

 

 

 事業別ではリユース事業が売上高39.72億円(期初計画比2.72億円上振れ、2/13再減額修正予想比0.28億円増額、28.8%増)。溶剤系再生製品が数量・単価ともに上昇、一部顧客の工場において稼働が向上したこともあり、再生製品数量が2.60万トン(25.1%増)となり、売上高が数量の伸びを上回った。

 

 

 リサイクル事業は売上高55.55億円(同2.95億円未達、同10.05億円増額、1.4%減)。廃棄物由来燃料の引合い増で再生燃料の販売数量が14.15万トン(5.5%増)となったが、引取単価が高い難処理物の収集量が減少し売上減に。

 

 化学品事業は売上高31.75億円(同8.75億円未達、同1.75億円増額、10.7%減)に。これは半導体関連顧客の回復遅れによりファインケミカル製品が伸び悩み、電池業界の不振で製品・商品販売量が74.21トン(21.3%減)と大幅に減少、単価が市況高でアップも売上高は減少。

 

 自動車事業は売上高23.84億円(同0.16億円未達、同0.34億円増額、0.5%増)と、自動車生産の回復が不正問題による減産影響もあり7162トン(8.4%減)と減少。一方、原料価格上昇で販売単価は上昇し微増収に。

 

 同社は中期経営計画で成長期待分野として半導体、電池、電子部品、これらの引取廃棄物の再資源化分、解体・清掃作業等の5項目を伸ばすとしている。この分類では25/3期について、全体では40.20億円(期初計画比10.60億円未達、11/8減額修正予想比3.30億円未達、前期比1.2%減)となった。既存事業が120.20億円(同1.0億円増額、同1.03億円未達、前期比4.0%増)と単価上昇もあり増収を確保した事に対し、計画未達成の主要因となっている。特に電池に関して大きく未達となっている他、半導体も伸び悩み、再資源化が思うようにできなかったと見られ、利益面でも足を引っ張る要因となった模様。

 

 営業利益の増減分析では増収効果で4.07億円増も、原材料、運送コスト高4.90億円、人件費等固定費増2.33億円、加えて退職給与会計基準変更で1.27億円の一時費用が発生し大幅減益を余儀なくされた。

 

26/3期会社予想6.0%増収19.6%営利増予想も、前期一時費用除くと3.8%営利増予想

 

 26/3期会社予想は売上高170億円(6.0%増)、営利10.00億円(19.6%増)、経常利益10.60億円(18.1%増)税引利益7.40億円(24.9%増)予想と、関税政策などの影響も考慮し緩やかな収益拡大を見込む。但し25/3期は会計基準変更の一時費用1.27億円が含まれており、実際には3.8%営利増にとどまる予想に。

 

 事業別では強みのあるリユース・リサイクル事業で収益を確保しつつ、半導体産業の回復、電池産業の成長に備える方針。

 

 一応、全事業で増収を図る予想となっているが、成長5分野では45.2億円(12.2%増)計画も半導体・電池・電子部品について横ばい予想で、解体・清掃事業等のエンジニアリング部門の強化でカバーする計画となっている。また既存事業では124.80億円(3.8%増)と緩やかな拡大を想定している。

 

 

 営業利益の増減要因では成長分野の売上増で4.80億円、既存分野の増収で4.79億円の増益を見込む。一方、外注加工費増、サンワマテリアルソリューションズの工場建設に伴う減価償却費増など原価高7.63億円を減益要因として見込んでいる。

 

 

 現状、電池については不透明感が強く、売上横ばい見通しは減額が懸念される他、電子部品もMLCCなど伸び悩むと見られ、自動車も関税影響を受けて減収懸念がある。更に世界的な景気減速から製品単価上昇が期待できないと見られる。エンジニアリングについては特定建設業ライセンスによる大型解体案件があるとのことで大幅増収確保も、全体として会社予想未達懸念がある。

 

 

新中計で大幅減額し28/3期売上高210億円、営利17億円目指すも未達リスクあり

 

 同社は「社会から必要とされる環境リーディングカンパニー」を目指すとして2023年にグランドビジョン2030を掲げ、31/3期には事業規模倍増の売上高350億円、営業利益42億円を目指すとしていた。この中で当初24/3期~26/3期の中期経営計画を立案、26/3期売上高230億円、営利26億円としていたものが、成長分野として期待していた半導体、電池、電子部品がいずれも計画を大きく下回る推移となったため、修正中計で26/3期に売上高190億円、営利17億円、更に再減額し26/3期売上高170億円、営利10億円予想と再々減額した中計となっている。新たに減額した26/3期予想をスタートとして、今回は28/3期に売上高210億円、営利17億円予想とした。成長5分野は旧修正中計予想である27/3期105.50億円予想を53.10億円まで減額、28/3期予想においても63.50億円にとどまる予想とした。基本的にレガシー半導体の不振継続、中国中心に電池材料、電子材料の大幅な見通し変化が響き、大きく前提条件が崩れてしまった。但し同社は半導体、電池、電子部品とも中期的な成長は確実に見込めるとして31/3期予想は変更しないとした。この実現に向け、26/3期は半導体向けに本社工場に蒸留塔を増設、また出雲村田製作所MLCC増設設備投資(470億円投資)を睨み溶剤廃液処理受託再生対応など積極的な設備投資を実行、26/3期下期には電池向け再資源化設備増強が本格始動する見通し。また半導体アイランド化となっている九州地区ではエア・ウォーターマテリアルと合弁でリユース・リサイクル事業を行う新工場を60億円かけて建設、蒸留塔新設も行っている。

 

 現状、半導体について先端分野は活発もレガシー分野は回復が遅れ、パワー分野では低迷継続の状況。またEV化についても日産が九州での電池工場見送りや国内外でBYDを除くと軒並み投資減額、先送りとなっている。これに伴い化学材料メーカーも稼働率低下、設備投資の先送りなどの動きが見られる。更にトランプ関税や中国景気の低迷なども不透明要因となっている。このため、26/3期同社収益予想も減額懸念があり、27/3期についてもレガシー半導体の回復は緩やかな動きにとどまる懸念があり、EVについて本格回復は更に先延ばし状況が懸念される。これらの状況から、同社新中計予想について再度減額の可能性が懸念される。

 

 

 株価は過去最高益を達成した23/3期に対し24/3期が大幅減益となり、25/3期も減額修正が続いたため一本調子の下げとなり、25年4/7には1080円の安値を付けた。その後は5/13の25/3期決算で利益上振れ着地、26/3期増益予想としたことで多少上昇に転じた形となっている。現状、26/3期会社予想EPS171.38円に対しPER8.7倍は東証スタンダード化学平均PER16.8倍に対し割安、買収が回避された大阪油化工業は純損失予想のため比較にならない。26/3期予想については自動車、電子部品、電池に関して売上未達懸念があり、会社予想未達犬猿があり、更に中計予想も達しのハードルは高いと見られる。このため低PER,PBR0.52倍と割安放置銘柄ながら、自社株買いも終了しており、ニュートラル継続としたい。

(図表は決算説明資料等より添付)

 


 

(H.Mirai)

 

 

 

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