インドネシアのエネルギー・鉱物資源省(MEMR)は7月3日、ホームページ上で、「同国内の採掘業者に課している『企業の作業・予算計画(RKAB)』の有効期限を現在の3年間から1年間に短縮することを計画している」と発表した。供給過剰による価格下落に対応し、生産の管理を厳格化する。
■緩すぎる規制が価格下落の一因に
同国の下院で提案された内容について、同省として承認した。発表資料によると、同省トップのバーリル・ラハダリア氏は7月2日の議会で「石炭と鉱物の両方の鉱業ガバナンスを改善する必要がある」と述べた。特に石炭はインドネシアが世界生産の5割を握るが、RKABの期限が長すぎることが供給過剰とそれに伴う価格低迷の一因になっているとした。鉱物関連のRKABの見直しも検討している。
■23年に1年→3年に変えたばかり
インドネシアは世界最大のニッケル生産国。足元では単純な資源国から製造立国への脱皮を目指し、ニッケルを巡っても加工業の発展に力を入れる。一方で管理システムの改革も進め、2023年9月にそれまで1年ごとだったRKABを2024年分から3年ごとの発令に変更した。RKABは審査に時間がかかるとして関連企業から不評だったため、改善を目指した。
しかし、制度変更後はシステムの混乱から、発令が一段と遅れる現象が発生した。このため、2024年には、インドネシアは自国内に豊富な資源がありながら、フィリピンからニッケル鉱石を輸入する羽目に陥った。今回、再度RKABの期限を変更すれば、再び混乱が起きる可能性がある。
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(IR Universe Kure)