イスラエルに本社を置く船社ジム(ZIM)は、コンテナ船運航社としては世界で現在9位だが、8月に入り、投資家に対し、イスラエルが所有、管理、または運航する船舶の入港を禁止するトルコ政府からの通知を受けたとの報道だ。
トルコは昨年、パレスチナ過激派組織ハマスとのガザ戦争を理由に、年間70億ドル(約1兆円)を超えるイスラエルとの貿易を中断した。
トルコ政府がイスラエル関連の船舶の入港を禁止したという未確認の報道が、8月に入ってから1週間ほど出回っていたが、トルコの地元メディアやロイター通信によると、港湾当局は船舶代理店や船会社の代表者に対し、トルコとイスラエル間の直接の船舶入港の禁止を口頭で伝えていたという。
イスラエルのハイファ港に本社を置くZIMは、米国証券取引委員会(SEC)に対し、「トルコの現地代理店を通じてトルコ港湾局から、トルコで施行された新規制により、イスラエル関連事業体が所有、管理、または運航する船舶はトルコの港湾に寄港できなくなるという通知を受け取った」との報道。
本処置の影響
ニューヨーク証券取引所に上場するZIMは、トルコ港湾局から受け取った通知で、この規制は「即時発効」したと述べ、8月22日に受け取った通知を受け、ZIMはトルコの港湾に寄港予定だった自社運航船舶の一部の航路を変更したとも発表した。
更に、投資家に対し、この新規制は同社にとって財務上の脅威となる可能性があると警告している。「新規制が変更されない場合、当社の財務および事業業績に悪影響を与えることが予想される。」とZIM担当者は述べ、また「当社は現在、この規制による潜在的な悪影響を軽減するための緩和策を検討中。」とも述べたと報道されている。
報道されている通りの禁止措置が全面的に実施されれば、イスラエル関連船舶のトルコ港湾への入港、トルコ船籍船舶のイスラエル港湾への寄港が禁止され、トルコからイスラエルへ軍事貨物を輸送する船舶も停止されることになり、今後の影響が懸念されるところだ。
今後について
報道されている内容はすべて、ガザ地区での停戦が実現するまで有効とされており、最終的にはガザでの停戦が合意されない限り、イスラエルとトルコ間の船舶往来は実現されないであろう。
両国は比較的友好関係にあるとされていたが、それでもイスラエルの昨今のガザ侵攻にはトルコも堪忍袋の緒が切れたということであろう。
(IRuniverse H.Nagai)
世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。