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26/3期半導体向け微粒子計測機が好調で3.7%増収9.1%営利増予想は連続最高益増額期待

2025/09/19 22:09
6823リオン  26/3Q1WEB決算メモ        ポジティブ継続    26/3期半導体向け微粒子計測機が好調で3.7%増収9.1%営利増予想は連続最高益増額期待 株価2665円(9/19) 時価総額329億円    発行済株12336千株 PER(26/3DO予:9.8X)PBR(1.04X)配当(26/3DO予)75円 配当利回り:2.8% 要約 26/3Q1は半導体製造工場の増設、環境機器の販売好調で4.3%増収20.0%営利増 同社は補聴器、医用検査機器、音響・振動計測器、微粒子計測器(パーティクルカウンタ)の4製品群を軸に事業展開、主要製品の全てが日本国内でトップシェアを誇る。 26/3Q1は売上高66.29億円(4.3%増)、営利8.29億円(20.0%増)、経常利益8.53億円(19.4%増)、税引利益5.95億円(48.5%増)と半導体向け微粒子計拡大、環境機器販売好調で収益拡大が続いた。 セグメント別では微粒子計測事業が売上高24.95億円(7.5%増)、営利6.21億円(16.4%減)となった。同部門は半導体を中心にエレクトロニクス分野向けが90%を占め、半導体の微細化、高精度化などに伴い微粒子計測の需要が高まり、増収が続いている。ただし利益は設備増強投資負担増や研究開発費が嵩み、減益を余儀なくされた。 医療用機器事業は売上高28.99億円(0.5%増)、営業利益2.22億円(6.5倍)となった。売上面では補聴器が23.97億円(0.1%増)と全体は低調も発売を開始したリオネット2(耳掛けタイプ)が寄与し横ばい、機器更新が低調で5.02億円(3.74%減)となった。利益面では新製品の試聴器コストが一巡し収益性が急回復した。 環境機器事業は売上高12.35億円(10.4%増)、営業損失0.13億円(0.74億円改善し赤字縮小)となった。国内では騒音計、振動レベル計の新製品販売で増収、海外もアジアや欧州が設備投資回復傾向で増収となった。利益は業務改善などの推進で赤字縮小に。 26/3期会社予想3.7%増収9.1%営利増に変更なく微粒子計の拡大で連続最高益更新予想 26/3期会社予想に変更はなく、売上高289億円(3.7%増)、営利44億円(9.1%増)、経常利益44億円(7.1%増)、税引利益31.5億円(10.1%増)予想を据え置いた。 事業別では微粒子計測事業が売上高103億円(7.9%増)、営利28億円(0.8%増)予想となっている。現状、先端半導体向け液中微粒子計測機が堅調に推移、利益では増収効果で設備増強投資負担、研究開発比負担をカバーし微増益予想。医療機器事業は売上高127億円(1.4%増)、営利12.0億円(10.1%増)予想。この要因の中では補聴器で新製品の投入効果が寄与、販促費増の一巡から増益予想に。環境機器事業は売上高59億円(1.7%増)、営利4.0億円(2.5倍)予想となっている。国内においては新製品効果が大きく、利益面でも新製品開発費増一巡で大幅増益に。 但し、全体を通じては収益性の高い微粒子計測事業の寄与が大きく、その他事業も新製品販売の諸経費増を補い増益確保で連続最高益更新予想に。 中計計画で28/3期売上高3074億円、営利48.5億円目標は先端半導体増で前倒し達成期待 同社は毎年中計をスクロールしており、28/3期に売上高307億円、営業利益48.5億円を目指す計画となっている。過去の中計推移比較では、医療機器事業が未達成、一方で微粒子計測事業が26/3期売上高87.5億円→103.0億円、27/3期96億円→107.5億円、利益も26/3期23億円→28億円、27/3期25.5億円→28.5億円に増額修正としており、毎期増額で推移している。 この背景にはAI半導体中心に先端半導体の拡大に伴い、中心機種となる液中微粒子計などが液体中の粒子管理において、品質や歩留りの向上に欠かせないものとなっているため。清浄度とレベル変化は微粒子濃度、粒径分布を計測しはじめて知ることができ、測定データに基づき適切な処置と管理を行うことが可能となる。これらの計測を行う装置として最も普及しているのが、パーティクルカウンタ(気中用、液中用)である。具体的には半導体用高純度化学薬品やフォトレジストなどの液体塗布材料中に含まれる粒子管理や、超純水、洗浄用化学薬品(例:酸、アルカリ、有機溶剤、フッ化水素酸)などの洗浄工程に関わる粒子管理に用いられる。またCMP用のスラリー中の粗大粒子の管理や、表面付着粒子の管理など、生産ライン内や受け入れ時の検査などにも必要。一方、気中微粒子計は空気中の微細な粒子を計測し、クリーンルーム、エアーシャワー、ミニエンバイロンメント(FOUP:front opening unified podなど)などの微粒子管理やフィルタ性能試験等の清浄度管理に用いられている。現在、微粒子計測器の90%はエレクトロニクス関連が占め、残りはライフサイエンス向け。現在、微粒子計測市場は世界市場として300億円、日本は半導体薬液で高いシェアを有することから同社の液中微粒子計測器の世界シェアも高い(同社のほかにParticle Measuring Systems、TSI、3社が主要プレイヤーで同社は日本、アジアで強い)。 現在、回路が3次元的に積層される先端半導体では、各層でのわずかな汚染が製品全体の不良につながるため、気中だけでなく、製造に使用する薬液や純水中のパーティクル(液中パーティクル)の管理も極めて重要。リアルタイムでパーティクルを計測し、異常を検知することで、迅速に原因を特定し対策を講じ、歩留まりの向上と生産性の安定化を図っている。様々なセンサの情報を含めて統合処理を行う清浄度多点監視システム(環境モニタリングシステム)の重要性が高まり、同社は気中測定、液中測定両機種を手掛けているだけに、先端半導体の設備投資活発化で更なる需要拡大が期待される。なお同社はNEDOのBeyond 2nm及び短TAT半導体製造に向けた技術開発にも参画、先端半導体の拡大とともに中計を上回る収益拡大が見込まれる。 医療機器事業は前中計予想26/3期127億円(前中計は132.5億円)に対し未達で推移している。同分野の中で補聴器市場は日本市場に特化、トップシェアを有する(世界補聴器市場は5グループで90%シェアを有する)。現在国内補聴器出荷台数(日本補聴器工業会調べ)は2023年で65.2万台と過去最高を記録したが、2024年は64.1万台(1.7%減)となっている。国内は高齢化の進展と経度難聴者層をはじめ補聴器使用者層の増加に伴い、中期的に伸びが期待されるが、景気低迷と物価高の中で多少購買意欲が減退している状況にある。ただし日本は補聴器装着率が米国の30%に対し15%と低く、今後、自治体の補助制度も拡大(24年1月現在238自治体が採用していたが25年8月現在で400自治体に急拡大とのこと)、さらに見かけ上ワイヤレスイヤフォンと似たデザインの耳掛け型の比率が高まって着実な伸びが期待される。同社はデジタル信号処理技術の向上により、音の再生帯域拡大や微調整が可能で、自然で豊かな音を実現できる“リオネットエンジン2" 搭載の「リオネット2シリーズ クオリエンス」を発売、緩やかながら需要拡大が続こう。 環境機器も計画に対し未達で推移しているが、これは欧州、中国の不振、国内では能登震災影響で本来設置すべき震度計の予算が後ずれしているため。国土強靭化政策により中計予想は未達ながら、大きな差にはならないとみられる。 全体として26/3期、27/3期についても微粒子計測器中心に会社予想に対し上振れし、中計の前倒し達成が期待される。 株価は収益拡大を受けて緩やかな上昇を続けているが、26/3Q1で26//3Q2が営業減益に転ずる見通しとなることから伸び悩んでいる。現在会社予想EPS255.70円に対しPER10.4倍は東証プライム電機平均PER18.2倍に対し割安である。主力の半導体製造用液中微粒子計の拡大が続いており、26/3期収益予想の上振れが期待され、27/3期も連続最高収益、中計の前倒し達成が期待され、先端半導体関連銘柄としてポジティブ継続と評価したい。 *図表は会社説明会資料、インベスターズガイド、日本補聴器工業会より掲載、チャートはヤフーから掲載 26/3Q1は半導体製造工場の増設、環境機器の販売好調で4.3%増収20.0%営利増
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