世界的な鉱業・資源企業のBHP社は9月17日、豪州クイーンズランド(QLD)州中央部ボーエン盆地にあるサラジ鉱山の複合施設の一部であるサラジ・サウス(Saraji South)コークス用炭鉱を2025年11月から保守・維持状態に移行し、 750 人の人員削減を行うことを発表した。ロイター通信が17日に報じたのをはじめ、大手メディアが伝えている。
サラジ鉱山複合施設は、BHP社と日本の三菱商事の子会社である三菱開発(Mitsubishi Development)が50:50で権益を所有するBHP三菱アライアンス(BMA)の名の下運営されている、5つのボーエン盆地鉱山のうちの一つ。同鉱山複合施設は、2025年6月までの1年間で820万トンのコークス用炭を生産したとのことだ。
今回の操業一時停止および人員削減の決断は、“QLD州政府の持続不可能な石炭ロイヤルティと市場環境の複合的影響”によるもの。BMAのAdam Lancey 資産会長は、「BMAの共同所有者として、BHPと三菱開発は操業停止や雇用喪失を望んでいない」と前置きした上で、上記の理由から「これらの決断は不可避なものである」と述べている。
なお、同地域で人員削減などを行なっているのはBHP社だけではない。豪州大手メディアのニュース.com.auは22日、このあたりに切り込み、“QLD州の複数の石炭会社がボーエン盆地で人員削減を行っている理由とは”という題の記事を掲載。
“QLD州の収益性の高い鉱業部門で人員削減の波が押し寄せている”として、BHP社のほか、モランバ近郊のグロブナー鉱山とブリスベン本社から約300人の人員削減を実施することが明かされたAnglo American社や、最近の経営破綻によりバートン鉱山複合施設での約500人の雇用の危機に瀕している中小企業Bowen Coking Coal社などの名を挙げている。同紙によると、クイーンズランド資源評議会のCEOはこうした事態を重く捉えており、現状には改善の兆しが見えないとして、警鐘が鳴り響いていると語っている。
(IRUNIVERSE A.C.)