2025年10月27日~11月3日のバッテリー業界では、悲喜こもごものニュースが交錯した。まず「悲」は日本ガイシのNAS電池撤退。米GMの電池工場リストラのニュースも流れた。一方、「喜」は、三菱ガス化学や出光興産、ホンダなど日本勢による活発な海外への出資が続いたこと。太陽電池の実験の話題も相次いだ。
IR Universeは2026年3月17-18日、東京・浅草で、「第13回Battery Summit」を開催する。
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<国内>
●日本ガイシ、NAS電池事業から撤退 リチウムイオン電池と競争激化

日本ガイシは10月31日、自社ホームページ上で、「大容量蓄電池『NAS電池(ナトリウム/硫黄電池)』事業から撤退する」と発表した。以後、新規受注を行わない。
同社は2002 年 に世界で初めてNAS電池を商用化し、独自技術製品として事業を展開してきた。しかし、リチウムイオン電池との競争激化などにより採算が合わなくなった。販売終了に伴い180億円の特別損失を2026年3月期決算に計上する。
プレスリリースNAS電池の製造及び販売活動終了に関するお知らせ
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●PFU、リチウムイオン電池見地のAIエンジン発売
リコー傘下のイメージスキャナー大手PFU(本社:石川県かほく市)は10月31日、自社ホームページ上で、「リチウムイオン電池を検知するAIエンジンの2商品目を発売する」と発表した。廃棄物の処理場で活用し、モバイルバッテリーによる火災を防ぐ。

(出所:PFU発表資料)
プレスリリース: PRESS RELEASE | 年間1万件超の廃棄物処理施設の火災を防ぐ AI×X線でリチウムイオン電池を見抜く「Raptor VISION BATTERY」を提供開始 | PFU
●モバイルバッテリーの小型リサイクル法への採用、実現に向け準備加速
政府は10月31日、モバイルバッテリーなどの4製品を、小型家電リサイクル法の回収対象に加える方向で調整に入った。日本経済新聞などの一般紙が同日伝えた。
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●パナエナジー、米ブラウン大と電池劣化で協力 親会社は電池不振で減益

パナソニックホールディングス(HD)傘下のパナソニックエナジーは10月30日、自社ホームページ上で、「米ブラウン大学(本部:ロードアイランド州プロヴィデンス)と、リチウムイオン 電池の劣化メカニズム解析に関する共同開発を開始した」と発表した。電池劣化の解析手法を確立する。
一方、親会社のパナソニックHDは同日、2026年3月期連結業績予想を下方修正した。従来予想から、売上高は1000億円減の7兆7000億円(前期比9.0%減)、営業利益は500億円減の3200億円(同25.0%減)、最終(当期)利益も500億円減の2600億円(同29.0%減)にそれぞれ引き下げた。米電池事業の低迷を見込む。
同社の2025年9月中間連結決算の実績は、売上高が前年同期比10.1%減の3兆8205億円、営業利益は23.6%減の1650億円、最終利益は24.6%減の1424億円だった。
●三菱ガス化学、エネコートの太陽電池に材料提供
三菱ガス化学(本社:東京・千代田)は、10月29日、京都大学発スタートアップのエネコートテクノロジーズ(本社:京都府)が開発するペロブスカイト太陽電池に、高機能ポリマー部材を提供すると発表した。
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●出光、蘭物流電動化スタートアップに出資
出光興産(本社:東京・千代田)は、10月27日、子会社を通じ、物流・配送の電動化事業を展開するオランダのスタートアップであるマックスウェル・アンド・スパーク(Maxwell and Spark B.V、m+s、本社:ロッテルダム)に出資したと発表した。
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●YKK、自社のガラス窓でペロブスカイト太陽電池を実験

YKK AP(本社 : 東京・千代田)は10月28日、自社ホームページ上で、「自社が入居する大阪市のビルでガラス型ペロブスカイト太陽電池を用いた建材一体型太陽光発電(BIPV)の実験を始めた」と発表した。発電性能などを確認する。
プレスリリース:ガラス型ペロブスカイト太陽電池を用いた建材一体型太陽光発電の内窓を系統連系(商用の送配電網に接続)した実装検証を開始 | YKK AP グローバルウェブサイト
●日揮、JR東海、PXPがルコパイライト太陽電池で共同実験
日揮ホールディングス(HD)は10月27日、自社ホームページ上で、「JR東海およびスタートアップのPXP(相模原市)と共同で、カルコパイライト太陽電池の実証実験を始めた」と発表した。JR東海が相模原市で運営するビジネス交流拠点「FUN+TECH LABO」(ファンタステックラボ)に電池を設置した。
共同実験の体制

(出所:日揮の発表資料)
プレスリリース: 20251027_11j.pdf
●ホンダ、インド小規模電力のOMCパワーに出資


ホンダは10月27日、自社ホームページ上で、「インドのスタートアップ、OMCパワー(OMC Power Private Limited)に出資した」と発表した。金額や出資比率は非公表。
OMCパワーはインド地域内の電力供給を賄うミニグリッド(小規模電力網)事業を展開する。ホンダが供給する電動二輪向け電池と装置を、OMCパワーが2026年1月から非常用電源としてリース販売する。巨大な人口と経済発展で電力需要が急激に増加するインドで、電池を再利用しつつ、電力の安定供給を後押しする。
プレスリリース:インドで無停電電源装置のリース事業を展開するOMCパワーに出資 | Honda 企業情報サイト
<海外>
●ベトナム砂電池のアルテルノ、つくばに拠点設置

ベトナム系の蓄電池スタートアップであるアルテルノ(Alterno)は10月31日、茨城県つくば市に拠点を設置した。共同通信ワイヤーを通じ同日発表した。
同社は砂の蓄熱力を利用して熱エネルギーを貯蔵、分配する「サンドバッテリー(砂電池)」のシステムを開発する。農業向けなどに需要がある。日本拠点の設置に当たっては、茨城県スタートアップ・ビザ制度などの支援を受ける。
●米GM、EVや電池工場などで3300人リストラ
米ゼネラル・モーターズ(GM)は、米中西部ミシガン州やオハイオ州など米国の複数の電気自動車(EV)や電池工場を対象に、合計3300人の人員削減を行う。ロイター通信が10月29日に同社発表として伝えた。
●英豪リオ、モンゴルの銅鉱山で電動トラック試用
英豪資源リオ・ティントは10月27日、中国国有電力の国家電力投資集団(SPIC)と共同で、モンゴル共和国南部のオユトルゴイ銅鉱山でバッテリー交換式トラック技術の試験運用を開始したと発表した。
関連記事:Rio Tinto 中国の大手電力会社とモンゴルの銅鉱山でバッテリー交換式トラックの試験運用開始
●中国で「2025年新エネルギー電池産業発展会議」開催

(出所: ソウ荘市は天改革委員会ホームページ)
中国山東省ソウ荘市で10月22-23日、「2025年新エネルギー電池産業発展会議(2025 New Energy Battery Industry Development Conference)が開催された。
(IR Universe Kure)