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住友電工:データセンタ関連事業の成長戦略

2025/11/14 06:32
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住友電工:データセンタ関連事業の成長戦略

 11月13日に開催した住友電工の説明会の続き「データセンタ関連事業の成長戦略」について担当役員2名から説明があった。説明に使われた資料は同社のHPからダウンロードできる。

 

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 ⇒「住友電工:25年度上期の業績と年間の見通し

 

<情報通信事業部門>

〇業事業セグメント別売上高(資料2ページ)・・・図表が多いため資料を見ながら

 資料の左の棒グラフが全社の売上推移、中央の緑色が情通セグメントの売上高になる。右はその情通セグメントの内訳グラフで、1番下の濃い青が光ファイバ・ケーブル・コネクタ製品を使う情報通信事業本部の通信・光機器。その上の水色がデバイス製品を扱う電送デバイス。

 25年にかけて売上を伸ばしているが、井上社長の説明にあったように、データセンタ市場での伸びが主要因となっている。

 

〇DC市場における同社関連製品(同3ページ)

 中央にDCを含むネットワークの図があるが、その左側にデバイスの関連製品、右側が光ファイバ・コネクター関連製品を示している。

 左側、デバイス製品は、自社製造のインジウムリン(InP)とのガリウムヒ素(GaAs)の基盤を基にレーザーチップを製造し、トランシーバーメーカーに販売するサプライチェーンが主体。

 一方、右側の光コネクタ製品や光ケーブルは、最終顧客であるデータセンタ事業者への直接納入が主体だが、コネクタ等部品での販売も増加している。

 右上の海底ファイバ/アンプも、DCの国際間接続で需要が伸びている。

 1番下中央にある青枠は、今後期待できる光電融合製品としてCPO用主要部品を挙げている。

 

〇2030年にむけての DC 市場成長の変化(同4ページ)

 青い大きな矢印の上にDC市場の推移を示しているが、ご存じのように、22年のChat GPTの出現以降、成長が加速している。特に、米国ハイパーDC各社が争うように大型設備投資計画を公表。

 下の棒グラフは世界のファイバ購入額予測を示しているが、予想成長率が24年時点の年20%から1年で29%に伸びている。

 上の矢印に戻ると、当初、LLMは、ラーニングモデルは最初の学習のステージに限られ、それに使われるGPUと高速処理装置の需要も一定期間の頭打ちとの予測もあったが、AIエージェントやマルチモーダルなどLLMの進化が予測され、これら製品の高レベルの需要の継続もしくは拡大が見込まれている状況。

 

〇生成AI 進展によるDC向け光ファイバ関連製品動向(同5ページ)

 右上の図内ではいわゆるスケールアウト、スケールアップの進展により、光配線の増加が加速されることが予測されている。ここでは、各部品の小型化、高密度化、低ロスのニーズを継続し、チップの近傍にまで光技術を採用するCPOなどの導入も進んでいくことが予測されている。

 また、図の下に示すDC間の需要に関しては、生成AIの社会実装進展に伴い、ユーザー近傍への立地が求められ、DCの建設が進んでいるが、DC電力消費量増大も深刻化しており、ワット・ビット連携と言われるように、電力消費集中回避の意味でも分散立地が進みつつある。

 このことにより、DC間の距離が離れ、一方でデータ量は増加するため、DC間の光ケーブルとして多芯化/低ロスのニーズが増大している。

 

〇DC棟内に用いる光配線製品(同6ページ)・・・同社の主力製品

 DC構内を用いる光配線製品。左の図は同社主力製品の多芯コネクタ付きケーブルだが、この主要部品である多芯のMTフェルールでは、従来のMPOに対し、さらに高密度化したMMCフェルールが同社の主力製品になっている。記載のように、縦断比3分1のサイズに2段配列にすることで心数を2倍とし、6倍の高密度となっている。

 この設計そのものは標準規格だが、同社は、この小型フェルールの各種寸法の高精度化を独自の高度成形技術により実現させた上で、同様に高い断面形状精度を有するファイバを採用する、いわゆるすり合わせの技術によって従来品と同等レベルの低損失接続特性を実現し、他社とは差別化を図っている。

 右は、同社のコノクタ生産能力の推移。昨年のIR説明会では26年度で23年度比6.6倍ちょっと伝えていたが、これを約2年前倒しで実現し、26年の生産量は前回提示した数量の5倍になる計画で今増産を進めている。

 

〇DC間に用いる光ケーブル(同7ページ)

 DCの分散立地傾向が強まり、DC間の距離が伸びる一方で、生成AI、DC間の接続の多容量化も進むことで需要が拡大している。要求ニーズにも変化があり、1つが多芯神化。従来は最大で864f程度だったのですが、2倍の1,728fを既存の管路に敷設する、つまり、従来ケーブルと同等の経緯で同等の圧送敷設特性を実現するという厳しい性能が要求されている。この厳しい状況に対して、右側に記載をしているケーブル断面設計の改良では、到底及ばず、新たにごく極細径間欠ファイバの採用により、この性能を実現している。ファイバを細径化すると、一般的には、従来ファイバとの接続が困難になるなど、互換性が保てないケースも多くあるが、同社は、ユーザーの強い要望もあり、従来ファイバとの接続等、互換性を維持した極細径ファイバを開発し、その課題に対応している。また、DC間距離の長距離化により、低ロス化のニーズも高まっている。同社が海底ファイバで培った低ロス技術を導入した対応製品を開発中。

 

〇DC市場新たな要求への新製品対応(同8ページ)

 サーバ管及びGPUの相互光接続で導入が期待されているCPO関連製品。電力消費の抑制、処理の高速化等で採用が必須されているCPO関連製品として、光IC接続部品や各種コネクタを開発中。先に説明した多芯高密度コネクタの技術がここでの必須となる。光IC接部品では、特にボリュームゾーンと目指している多芯化に適した設計、製造技術が評価され、NVIDEAのシリコンフォトニクスエコシステムの1社として選定されている。また、右側、DC棟内で増大する光配線の高密度化の既存シングルモードファイバの限界を突破するマルチコア光ファイバについては、すでに実績のあるファイバに加え、実用化の1つのハードルとなっていたトランシーバとの接続に対し内蔵可能な分布型の3D導波路を自社開発することにより、実導入に向けて大きく踏み出すことができた。周辺機器として、融着機及び多芯マルチコネクタ接続技術を有しており、トータルソリューションを対応できるのが同社の強み。

 

〇DC棟内に用いる光デバイス需要の変化(同9ページ)

 左側の図は、24年度で見た光トランシーバの市場の変動変化。24年度時点では、26年まではAIDCの投資が進み、その後緩やかな成長に変わっていくという見通しだった。一方、25年度、現状の見通しでは、これが26年度以降も持続成長を行うというような見通しに変化している。

 具体的には7%から16%という変化が生じているという見通し。この背景としては、AI系DC内光配線が高速化していくと。現状は800ギガが主流となりつつあるが、これが1.6テラ、3.2テラになるという中でこれが加速していく見通しとなっている。これに伴いサーバ内の配線が電気から光へ移行していくという見方が強くなってきたから、このような変化が生じているという今の見方。

 

〇DC棟内に用いる光デバイス

 大きく2つ。EMLとCWレーザだが、EMLはチップ内に変調器をインテグレート、集積化した構造で、チップ単体で動作が可能。これは、現在の主流で、今後1.6テラ以上で使われる1波200ギガでも需要がある。また、CWレーザは、変調機を外付けするという構造で、こちらは光源とシリコンの変調機で構成されており、今後この集積化が可能になるということで、主にCPO等で主流になると見られている。

 同社の特徴としましては、EMLでは小型設計となっているということと、CWレーザでは高出力化で先行している。

 また、双方4インチの量産プロセスを実現しており、今後、コスト競争力、生産能力の増大に有利な状態となっている。

 右側がDC用光トランシーバ市場を表しているが、25年で年間約5,000万個のトランシーバの市場があるということに対して、30年では約2億個に近づくとみられている。

 この中で、400G、800G、1.6テラ、3.2テラと進んでいくが、右下にあるようにEMLとCWレーダの比率に関しては、EML今主流で76%になっているが、28年にはこれが逆転していく見通し。

 

〇DC間に用いる光デバイス(同11ページ)

 DC間の通信は、電力調達用地確保の観点から、DCを分配する動きがある。このDC間は波長多重のコヒーレント光通信で接続されており、デバイスとしては波長可変光源を採用している。この左の下にあるように、同社はこのDC間通信に波長可変光源のモジュールを提供している。同社の特徴としては、放出力、低消費電力で、今後、右にあるように、800Gが立ち上がってくるが、ここで必要な19.5dBmに対応するデバイスを今後提供する計画がある。

 

〇光デバイスとInP 基板の生産能力(同12ページ)

 光デバイスと、これに使われますInP基盤の生産能力の増強が必要になっており、現在活動を進めていく。左側が、DC棟内に使われるEMLおよびCWレーザ全体の生産能力の増強の計画。23年から28年に関し、約12倍の生産能力を進めていく。また、次世代技術への対応としては、一波200字の対応するEML、また高出力のCWレーダ、これを重視していく。

 右側がInP基盤の生産能力。今般、DC需要の高まりに伴い、やはりInP基盤に対する需要も大きく高まっている。それに伴い同社としては、23年から28年に比較すると2.4倍の生産能力の増強を現在進めている。

 同社の特徴としては、4から6インチのInP基盤を量産で提供する大口径の生産能力を持っている。また、高品質でのInP基盤の製品への提供も可能となっている。

 

〇進化する情報化社会と同社の対応(同13ページ)

 以上の状況を踏まえて、進化する情報化社会への投資への対応ということで、現在、社内総合力を継承して、高い技術力とソリューション力で成長を目指すということで事業を進めている。

 具体的には、左上にあるように、AI間のDCの需要をとおして、製品としては、マルチコアファイバケーブル、CPO、DC棟内もしくは棟間デバイスを提供して生成AI実装社会にサポートするという1つの点と、右下にあるように、来たるオール光電地球ネットワークをサポートするべく、記載の製品を提供していく。

 そして、左下にあるように、志地に代表されます次世代無線通信に対して、同社の強みであるGaNデバイスの製品を提供していく。高い技術力とソリューション力で成長を目指していく。

 

 

(IRuniverse 井上 康 )

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