11月28日15時半、大阪チタニウムテクノロジーズは今月10日に発表した26/3期2Q決算を受けて説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明は川福社長が行った。
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<25年度 上期決算実績>
〇上期実績(資料2ページ)

全社の事業概況としては、航空機需要が成長軌道へ移行していることや、世界的なチタンのサプライチェーン再編の影響が継続していることから、スポンジチタンの需要は堅調に推移している。一方で、一般産業用途向けは、中国経済の低迷を受け、取引先や最終需要化での在庫調整が継続している。また、原燃料価格はピークアウトする中で、労務費の上昇や物価高騰によるインフレの問題も継続している。このような状況の中、マイナス面では、輸出向け価格、販売価格の低下や国内向け需要低迷による減少があり、プラス面では、輸出向け数量が堅調に推移したことや円安効果などがあり、その結果、25年度上期の業績は、売上高269億円、営業利益40億円、当期利益25億円となった。
●チタン事業
スポンジチタンの輸出向け売上高は前年同期比で26%増加し、国内向け売上高は前年同期比で58%減少した。営業利益は、プラス面としては、主原料価格の低下や創業改善があり、マイナス面としては、国内向け数量減に伴う減産やインフレとコスト悪化があった結果、トータルでは前年同期比で41%減少した。
●高機能材料事業
前年同期では、半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンのスポット受注の効果が含まれていたがが、半導体市場における調整局面は現在も継続しており、今期は販売数量減少となり、売上高は前年同期比8%減少した。一方、プラス面では、チタン粉末TILOPとその他製品において、特別仕様の高付加価値品の受注増といった売上構成の改善効果があり、営業利益は前年同期比6%増の7億円とった。
〇営業利益増減内訳(同4ページ)

グレーの棒グラフは悪化要因、薄赤色が好転要因を示している。24年度上期の営業利益は63億円。チタン事業において、国内向け販売数量の大幅な減少、輸出においては、可年度の交渉でコストアップとして原燃料価格変動の転嫁を実現してきた価格フォーミラーに適用しているチタン鉱石のインデックス価格が低下したことによる販売価格の下落といった数量及び価格影響等が大きく、数量価格影響▲11億円の悪化となった。また、今年度上期は平均為替レートが1ドル146.2円となったが、前年同期の為替レートは1ドル153.9円だったので、前年代比で円高に触れた。このことから、為替差▲10億円が生じた。そのほか、インフレ進展による資機材価格の上昇や人件費の増加等で▲9億円の悪化、戦略在庫済みが完了したことによる生産数量の減少による操業度低下影響▲5億円により、大きく収益が悪化することとなった。原料価格下落等による調達コスト改善効果+8億円や研究開発費の研修ずれ+3億円のプラスも含め、合計▲24億円の悪化となった。
また、高機能材料事業は、マイナス面としては、半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンのスポット受注がなくなったことによる影響。プラス面としては、チタン粉末TILOPとその他製品での特別仕様の高付加価値製品の受注増といった売上構成の改善効果の結果、1億円の改善となった。以上の結果、全社営業利益は、前年同期比では▲23億円悪化の40億円となった。
〇事業セグメント別業績(同5ページ)
売上高は、チタ事業が前年同期比10億円増収の236億円、高機能材料事業が前年同期比3億円減収の33億円となった。結果、25年度上期の全社売上高は269億円となった。
営業利益は、先ほど説明した増減分析の通り、チタン事業では前年同期比で▲24億円悪化の33億円、高機能材料事業は、+1億円改善の7億円となった。
〇B/S、キャッシュフローとD/Eレシオ
資料の6-7ページを参照。
<25年度業績見通し>
〇業績見通し(同9-10ページ)
チタン事業に関する取り巻く環境認識は、民間航空機需要は中長期的には堅調な成長が見込まれる。これを受け、各航空機メーカーが製造機数を段階的に高める計画であることや、エンジン向けは、新規需要に加えてMRO需要の増加があり、民間航空機向けチタ需要に関しては持続的な成長が見込まれる。一方、足元では、航空機サプライチェーン内での在庫調整により、チタ需要が一時的に鈍化している。また、一般産業向けチタ需要に関しては、中国経済の影響により、引き続き低迷している。なお、原燃料価格はピークアウトして、足元は一時的に南下しているが、資機材の価格や人件費については年々上昇しており、収益を圧迫している。
こうした環境を受け、同社の主な取り組みとしては、過年度の戦略在庫済みにより販売財源は一定数の確保ができていることから、スポンジチタン製造の稼働率は販売数量見合いを継続している。ただし、需要反転の機械損失を抑制するために、フル稼働が即時対応できる体制は維持している。今後も、事業継続可能な収益性を確保するため、合理化の徹底とともに、販売価格の適正化によるマージン確保を継続していく。なお、中長期的な需要増加に対応すべく、スポンジチタンの生産能力増強工事は、事前工事を含め、計画通り進めていく。
次に、高機能材料事業に関しては、取り巻く環境認識として、半導体関連のデジタル市場は依然として調整局面にある。生成AI等の一部用途では回復しつつあるものの、スマートフォン、パソコン、EVといった関連製品の需要は現在もなお停滞していると認識している。また、欧米を中心に積層造形市場は段階的に成長しているものの、すでに拡大している医療分野における競争は激化しており、加えて、航空機分野の市場形成、拡大には遅れが見られているとの認識。
こうした状況の中、半導体分野は、高品質戦略製品を武器に、高純度チタン製品のシェアを維持拡大していく。また、積層セラミックコンデンサー向け需要を着実に補足することによって、高純度支塩化チタン製品の拡販に努める。さらに、チタン合金粉末TILOP事業での航空防衛向けの重点取り組みといった基盤強化や販売網の拡充によって、事業成長を加速していく。加えて、新規事業の創出と萌芽に継続して取り組んでいく。
〇25年度業績見通し(同11ページ)
今年度下期の為替レートは、期初で想定した通りの1ドル145円で業績を見通している。前年度対比で、売上高は、▲29億円減収の490億円を想定。営業利益は、上期決算実績と同様に、この後増減内訳を説明するが、▲51億円減益の50億円を見込む。為替影響等を見込んだ営業外損益を合計した経常利益は▲43億円減益の48億円を想定。また、チタ能力増強工事に伴う工場内レイアウト変更といった事前工事に関わる廃却・撤去費等の特別損益を含めた税前利益は31億円、法人税等を考慮した当期利益は22億円を見込む。
〇営業利益増減内訳(同12ページ)
25年度下期見通しにおける営業利益を、上期実績からの増減内訳にて説明する。25年度上期の営業利益は40億円。上期で計画していた補修費や開発費の計上が下期へずれ込んでおり、その結果、上期では経費発生が抑制された。下期では、これらの経費の裏返り等もあり、▲18億円の悪化となる。また、上期では、輸出契約における25年1-12月の契約分の単価が25年度の期中で決着したことにより、仮単価の訴求が含まれている。下期には、これらの生産減が含まれないことから、▲7億円の悪化となる。そのほか、数量構成影響で▲4億円、また、下期の為替前提は1ドル145円としており、上期実績比では為替レート差として▲1億円の悪化となる。結果、合計▲30億円が上期対比で悪化となり、全社の下期営業利益は10億円を見込む。
なお、前回公表からの変化については資料の13ページを参照。
〇セグメント別業績見通し
売上高については、チタン事業が前年度比▲30億円減少の422億円、高機能材料事業が前年度比+1億円増収の68億円を見込む。結果、今年度の全社売上高は490億円を想定。
営業利益については、先ほどの増減分析のとおり、チタン事業では前年度比▲50億円悪化の40億円、高機能材料事業は前年度比▲1億円悪化の10億円を見込む。
〇配当について(同15ページ)
安定性に配慮しつつ、25%から35%の配当性向を株主還元の方針としている。今年度の配当に関しては、上期の業績実績及び下期の業績見込み並びに今後の安定性等を鑑み、中間配当5円、期末配当は10円とし、年間配当金は1株当たり15円として、前回公表から据え置く。
上期の業績は当初計画を上回っているが、足元下期から年度末にかけて、為替動向や航空機メーカーを中心としたチタンサプライチェーン内での在庫調整の影響等を注視し、同社業績を精査して、これらの状況を踏まえた上で、今後、株主の皆様への還元を判断していく。
<中期経営課題とその対応>
〇課題と基本方針
現在、中期経営課題の基本方針として、事業セグメント課題として、チタン事業、高機能材料事業でそれぞれ1つずつ、全社共通課題として4つの合計6つを掲げて鋭意取り組んでいる。
事業セグメント課題として設定した生産能力増強と収益構造の強化によるチタ事業の持続的成長を説明する。また、同社IR活動の取り組み状況についても説明する。
●民間航空機の動向(同18-19ページ)

同社のスポンジ需要の主力分野である航空機市場において、民間航空機の運航機数に関しては、今後安定して成長し、44年には24年度対比で倍増すると同社は推測している。増加の内訳としては、運航機数の拡大で約2万4,000機、リプレース需要で約1万9,000機の合計約4万3,000機が今後の20年間で新たに必要とされるものとみている。
また、エアバス社、ボーイング社の主要航空機製造会社2社における民間航空機の契約受注残についても、足元ではコロナ禍前よりも増大しており、今後も民間航空機需要は着実に成長していくものと想定している。
民間航空機の生産機数については、エアバス社でのエンジン供給不足といったサプライチェーン上の問題や、ボーイング社における品質問題、約2ヵ月7間にわたったストライキ影響等により、一時的な成長の鈍化・停滞が生じており、その結果、足元ではサプライチェーン内の在庫調整も当初想定よりは長引いている。しかしながら、10月17日に米国連邦航空局が737maxの生産制限について月間38機から42機までの引き上げを承認していることや、ボーイング社においては787型機の生産工場の拡張が計画されているなど、26年以降は主要航空機製造会社2社ともに増産が見込まれる。
したがって、足元のサプライチェーン内の在庫調整は、今後改善されるので、一過性の問題であると見ている。
●⺠間航空機向けチタン展伸材需要(同20ページ)

運航旅客機数の増加により、エンジン向けのメンテナンス、リペア、オーバーホール、いわゆるMRO需要が増加していることや、今後、中期的には民間航空機の生産機数の増加が堅調に推移するとみており、民間航空機向けチタ需要は継続的な成長が見込まれる。一方で、ボーイング社の品質問題やストライキ影響、エアバス社でのエンジン供給不足による生産機数の増産スピードが計画費で遅延が見られ、足元ではチタンサプライチェーン内における在庫調整局面が顕在していると想定している。したがって、足元の民間航空機向けチタン展伸材需要については、現状が継続しているが、これは一時的なものであると想定しており、生産機数の増加に伴って在庫調整の適正化が進み、需要回復が期待できる。
同社は、昨年意思決定したチタ生産能力増強設備を計画通り戦力化することで、在庫調整完了後に今後伸びゆくチタン需要を着実に補足し、持続的な成長を追求していく。合わせて、チタンの安定供給を通じて国際貢献を果たしていく。
●成長戦略の取組み(同21ページ)

同社チタン事業の成長とチタン業界発展への貢献の観点から、本社尼崎工場における既存のインフラを最大限活用し、スポンジチタンの生産能力を4万トンから5万トンへ増強することを24年9月に決定した。現在、事前工事や工場内レイアウト変更は計画通り進捗しており、来年度から新工場建設に移行する予定。また、チタン事業の持続的成長と高機能材料事業の拡大による事業ポートフォリオの変革を柱とした、26年度を起点とする中期経営計画を現在作成中であり、来年度の公表を予定している。
〇IR活動の取り組み(同22ページ)
足元で取り組んでいる中期経営課題の取り組み状況を取りまとめ、統合報告書を作成中であり、来月の12月には公開する計画。
次に、従来の機関投資家への決算説明会に加え、個人の投資家を対象としたウエブでの会社説明会も先月の10月に実施した。アーカイブ映像は同社HPに掲載している。
(IRuniverse 井上 康 )