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為替相場推移 TTS 3か月
タングステンAPT(EU Freemarket) 1年
純タングステンススクラップ(USD/Kg cif Japan) 1年
(輸出分析)
■数量では、
3月単月は48トンと、前月119トンから大幅減少(前月比40%)。2月までの回復基調から一転し、再び低水準に落ち込んだ。前年同月比でも29%と下回り、短期的には明確な減速局面に入っている。
主要仕向け地別では、
台湾は21トン(前月22トン)とほぼ横ばいで、当月最大の仕向け先に浮上。
中国は23トン(前月ゼロ)と新たに出現し、数量を下支え。
一方で、
ドイツ(前月51トン)・米国(同9トン)・韓国(同37トン)はいずれもゼロとなり、前月までの主力が一斉に剥落。
オーストリアも引き続き実績ゼロ。
「その他」は4トン(前月ゼロ)と小口ながら計上されたにとどまる。
総じて3月は、特定地域(台湾・中国)への限定的な出荷に依存する構図となり、2月までの分散的な回復は持続しなかった。仕向け地の入れ替わりが極端で、スポット案件主導の不安定な輸出構造が一段と鮮明になっている。
なお、1〜3月累計は347トン(前年比101%)と前年並みを確保。内訳ではドイツ(51トン)・米国(54トン)・台湾(151トン)が一定の柱となっているが、中国は24トン(前年比48%)と弱含み、韓国も59トン(同78%)と伸び悩み。全体としては数量を維持しているものの、特定月に集中する断続的な出荷に依存する構造は変わっていない。
足元のタングステン市場は、APT価格の急騰を背景にスクラップ需給も引き締まり方向にあるが、輸出数量に関してはその影響が直ちに安定的な増加には結びついていない。むしろ、価格高騰下での調達・販売のタイミング調整が強まり、月次の振れを拡大させている可能性がある。
したがって短期的には、数量は回復基調を維持しつつもボラティリティの高い展開が続く見通し。構造的な需要の強さというよりは、案件ベース・価格連動型の不安定な輸出環境が継続する局面といえる。
(表―1、グラフ―1)。


(輸出分析・金額)
■金額では、
3月単月は5億72百万円と、前月5億95百万円から微減(前月比96%)。数量が大幅減となる中でも金額の落ち込みは限定的で、単価上昇を伴う構造にシフトしたことがうかがえる。前年同月比では106%と小幅ながらプラスを維持し、基調としては底堅さを保っている。
仕向け地別では、
中国が4億24百万円(前月ゼロ)と突出して増加し、単月の大半を占める主導的存在に急浮上。
台湾は69百万円(前月85百万円)と減少(前月比82%)しつつも、引き続き一定規模を維持。
一方で、
ドイツ・米国・韓国はいずれも実績ゼロとなり、前月までの主力が一斉に剥落。
「その他」は79百万円(前月ゼロ)と新規計上され、補完的ながら寄与。
総じて3月は、中国向けの単発大口案件に強く依存する構図となり、数量減にもかかわらず金額は維持された。前月までの「韓国・ドイツ主導」から一転し、仕向け地の主役が短期間で入れ替わる不安定な構造がより顕著になっている。
なお、1〜3月累計は19億94百万円(前年比184%)と大幅増。台湾(6億26百万円)、中国(4億29百万円)、韓国(3億77百万円)、米国(3億円)がそれぞれ寄与し、表面的には回復が鮮明。もっとも、その内実は各月ごとに異なる国向けの大口出荷が積み上がった結果であり、持続的な需要回復というよりは案件主導の積み上げとみるべき局面。
足元のタングステン市況はAPT価格の上昇を背景に高値圏を維持しているが、輸出金額は数量ではなく「どの国に、どのタイミングで出るか」に強く依存する状態が続いている。短期的には、高単価案件の有無によって金額が大きく振れる構造が継続し、安定的なトレンド形成にはなお時間を要する見通し。
(表―2、グラフ―2)。


■平均FOB単価は、
2月の4,996円/kgから3月は11,923円/kgへと急騰し、前月から大幅な上昇となった。■輸出FOB単価
3月の輸出FOB単価は上昇し、前月から一段と切り上がった。従来は円高局面での上昇=市況要因主導と整理してきたが、3月は円安への再転換が確認されており、為替による押し上げ効果が明確に加わった局面となっている。
もっとも、内訳をみると韓国向けなどの高単価案件や仕向け地ミックスの変化が引き続き大きく影響しており、単純な為替要因だけでは説明できない。したがって3月は、
「円安による名目押し上げ+高単価案件によるミックス上昇」
という二重構造での単価上昇と整理できる。
背景には、APT価格が引き続き高値圏で推移し、中国の供給制約や鉱石価格の上昇が継続する中で、高品位材・特定用途向けの高単価案件が顕在化したことがあるとみられる。従来は段階的に転嫁されてきた上流コストが、3月は一部で一気に輸出単価へ跳ね上がる形で反映された格好。
仕向け地別では、
中国向けが18,443円/kgと突出した水準で出現し、当月の平均を大きく押し上げた。
台湾向けは3,305円/kgと低位にとどまり、対照的な価格差が鮮明。
米国・韓国・ドイツ向けは当月実績がなく、比較対象は限定的。
数量構成では、3月は中国向け23トン、台湾向け21トンが中心となり、数量自体は低水準(48トン)ながら、中国向けの極端な高単価案件が平均値を大きく歪める構造となった。2月にみられた韓国向け主導の構図から一転し、仕向け地の変化がそのまま単価の急変につながっている。
したがって3月は、
「なお上昇する価格」かつ「数量減・単価急騰」という、典型的なタイト需給局面の様相を示した月といえる。ただし、この水準は市場全体の均衡価格というより、特定案件によるスパイク的上昇の色彩が強い。
足元の市況は確かに強いが、炭化タングステンやフェロタングステンなどでは依然として需要の弱さも指摘されており、輸出FOB単価は今後も仕向け地構成と案件内容に大きく左右される不安定な高値圏での推移が続く公算が大きい。
(グラフ―3)。

主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(輸出・タングステン系)
足元のタングステン市場は、
2026年2月の急騰(APT約1,900ドル)→3月の加速(同2,400ドル)→4月の過熱圏(3,000ドル超)での一服という流れを経て、
「上昇トレンドを維持しつつ、変動が極端に大きい局面」へ移行している。
今回の輸出統計(3月)を重ねてみると、この構図はより明確。
数量は48トンまで急減する一方、中国向け高単価案件(FOB約1.8万円/kg)が突出し、金額・単価はむしろ維持・上振れ。
すなわち、
「数量は不安定・価格は上振れ」という典型的な供給制約主導相場が、統計にもそのまま現れている。
■構造面(強気の前提)
構造的な強気要因は依然として崩れていない。
・中国の輸出制約(実質的な供給コントロール)
・西側の精錬・還元能力不足
・スクラップを含む二次供給の弾力性の低さ
この結果、APT市場はすでに
「中国価格+プレミアム」構造へ移行。
輸出統計でも、
・仕向け地ごとの単価乖離(中国だけ突出高値)
・数量ではなく案件単位で価格が決まる
といった特徴が顕在化しており、
価格形成が“市場均衡”ではなく“供給制約+交渉力”に依存する段階に入っている。
■短期の変調(今回の統計と整合)
一方で、短期的な過熱修正も明確。
・中国鉱石価格はピークアウト
・酸化物・カーバイド・スクラップは横ばい圏
・下流は高値追随を回避
今回の輸出でも、
・数量は大幅減(119t→48t)
・特定国(中国)への集中
・スポット依存の極端な構成
といった形で、
需要側の慎重化と供給側の選別出荷が同時に進行している。
つまり、
「価格は上がるが、流れない」市場になりつつある。
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■今後のシナリオ
●短期(1〜3か月)
・高値警戒によるもみ合い+乱高下
・APTは高値圏維持も、振れ幅拡大
・輸出は今回同様、
数量は細りつつ、単価は案件次第で跳ねる展開
→統計上は「減少と急騰が同時に出る歪んだ動き」が続く
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●中期(半年〜1年)
・供給制約が続く限り基調は強気維持
・ただし上昇は直線ではなく
急騰→調整→再上昇(階段状)
輸出面では、
・特定国向けの断続的な大口
・仕向け地ミックスによる価格ブレ
が続き、
安定的な数量拡大にはつながりにくい構造が継続。
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●リスク要因
・中国の輸出政策転換
・投機資金の巻き戻し
・最終需要(特に民生)の減速
■総括
タングステン市場は現在、
「構造的逼迫による強気相場」から
「過熱修正を伴う高ボラティリティ相場」へ移行している。
輸出統計も、
・数量の不安定化
・単価の極端なスパイク
・仕向け地依存の拡大
という形でそれを裏付けている。
今後は、
“価格は強いが流動性は低い”という歪な市場構造が続き、
スクラップを含む関連市場も、
基調は強含みだが、統計上はむしろ荒れる
という展開がメインシナリオとなる。
(輸入分析・3月)
■数量では、
3月単月は170トンと、前月134トンから増加(前月比127%)し、2月の反落から再び拡大。前年同月比でも148%と大幅増を維持しており、高水準の輸入が継続している。
1月→2月で一服した後、再び数量が持ち直しており、水準自体は2025年以前から明確に切り上がった状態にある。
上位国別では、
・「その他」:117トン(前月比272%)
当月の増加の大半を占める主導要因。単一国依存ではなく、スポット的な複数ソースからの調達が集中した可能性が高い。
・ドイツ:37トン(同112%)
増加基調を維持。欧州系供給は引き続き安定しており、西側供給不足の中で相対的な重要性が継続。
・シンガポール:10トン(同28%)
前月の主力から一転して減少。中継拠点としての機能は維持しつつも、月次の振れが大きい。
・中国:ゼロ(前月7トン)
再び途絶。輸出制約の影響が一段と鮮明で、構造的な供給減少トレンドが継続。
このほか、
・台湾:4トン(同200%)と増加も小口
・インド:1トン(同13%)と縮小
・英国:1トン(同20%)と限定的
■構造的評価
総じて3月は、数量回復と同時に「分散調達の深化」が一段と明確化した月といえる。
・中国依存の実質的消失
・欧州+「その他」中心へのシフト
・スポット案件主導の供給構造
という流れがより強まっている。特に「その他」の急増は、特定国ではカバーしきれない供給不足を、多数の断片的ソースで補完している構図を示唆する。
これは、
・中国の輸出規制
・西側の精錬・供給能力不足
という構造的ボトルネックの継続と整合的であり、調達側が能動的に分散化を進めているというより、“分散せざるを得ない”局面にあるとみられる。
■市況との関係
3月はAPT価格が約2,400ドル/MTUへ加速上昇した局面にあたる。
通常であれば価格急騰は数量抑制要因となるが、
・2月→3月で数量は増加
・前年同月比でも大幅増維持
となっている点から、
・必要量確保を優先する「確保型輸入」
・供給逼迫による調達前倒し
・スポット案件の集中発生
が同時進行しているとみられる。
■累計動向
1〜3月累計は454トン(前年比185%)と大幅増。
数量ベースでは明確な回復・拡大局面にあるが、内実は
・特定国依存ではない
・月次の振れが大きい
・スポット案件依存
という不安定な構造が続いている。
■総括
3月は、
・数量:再拡大し高水準継続
・構造:中国消失・分散調達の深化
・背景:APT急騰下での確保型輸入
という三点で整理できる。
タングステン市場はその後、
2月(約1,900ドル)→3月(約2,400ドル)→4月(3,000ドル超)と急騰後、調整局面へ移行しており、これを踏まえると輸入は今後も
「数量は確保優先で振れやすい/供給は分散化/価格は高止まりかつ高ボラティリティ」
という構図が続く可能性が高い。(表―1、グラフ―1)。


■金額では、
3月単月は21億31百万円と、前月14億61百万円から大幅増加(前月比146%)し、2月の小幅調整から再び急拡大。前年同月比でも385%と高い伸びを維持しており、金額ベースでは一段と過熱感が強まっている。
国別では、
・「その他」:16億51百万円(前月比424%)
突出した増加となり、当月の金額拡大の主因。数量面でも急増しており、多様な供給源からの高額案件が集中した可能性が高い。
・ドイツ:2億18百万円(同89%)
やや減少ながら引き続き高水準を維持。欧州系の安定供給は継続している。
・台湾:1億13百万円(同325%)
数量増とともに大幅増加。スポット的ながら存在感を回復。
・シンガポール:1億円(同26%)
数量減に連動して減少。前月までの主力から一服。
・英国:33百万円(同20%)
縮小しつつも一定規模を維持。
・インド:15百万円(同20%)
小口ながら継続。
・中国:ゼロ(前月1億74百万円)
再び途絶し、構造的な供給減少が一段と鮮明。
■累計動向
1〜3月累計は51億53百万円(前年比443%)と急拡大。
特に「その他」(25億70百万円)、シンガポール(7億96百万円)、ドイツ(7億17百万円)の寄与が大きく、中国も累計では6億24百万円と一定規模を維持している。
■総括
3月は、
・数量増(170トン)と連動した金額の急拡大
・「その他」への極端な集中
・中国の途絶継続と供給構造の歪み
という特徴で整理できる。
2月は「数量減・金額横ばい」に近い調整局面だったのに対し、3月は数量・金額ともに再加速する“第二波的な拡大局面”となった。特に金額は数量以上に伸びており、
・高単価案件の増加
・品位構成の上振れ
・APT上昇(~2,400ドル)を背景とした価格転嫁
が同時に進行しているとみられる。
総じて、タングステン輸入は
「数量は確保型で増減を繰り返しつつ、金額は市況上昇を反映して一段と拡大する局面」にあり、
統計上も供給分散と価格高騰が同時進行する典型的な逼迫相場の様相を強めている。(表―2、グラフ―2)。


■輸入CIF単価は、全体平均で2月10,902円/kgから3月12,535円/kgへ上昇し、3カ月連続で高値を更新した。3月の輸入CIF単価は続伸し、高値を更新した。2月までは円高環境下での上昇=市況要因が中心とみられていたが、3月は円安へ再転換しており、為替要因が単価上昇を増幅した局面に修正される。
すなわち3月は、
APT価格上昇(実勢)+円安(為替)+仕入先ミックス(構成)
の三重構造で単価が押し上げられた。
特に台湾・英国の高単価案件、ドイツなど中位単価の数量増といった構成変化が重なり、単価上昇は全面高というよりもミックス主導の側面を強く持つ。
従って、輸入単価は従来の「市況主導の上昇」から一歩進み、
「市況を為替が増幅する段階」へ移行した
と評価できる。
国別では、台湾が17,472円→28,373円/kgへ急騰し、小口ながら突出した高単価となった。英国も32,697円→33,074円/kgと高値圏を維持し、少量ながら平均単価を押し上げた。
一方、シンガポールは10,530円→10,045円/kgへ小幅低下、ドイツは7,439円→5,899円/kgへ下落した。ドイツは数量が37トンと比較的大きく、全体平均の上値を抑えた要因となった。
インドは9,350円→14,707円/kgへ上昇。中国は3月実績がなく、2月に見られた高単価中国品の寄与は消えた。
総じて3月は、台湾・英国・インドの高単価化が平均を押し上げる一方、数量の大きいドイツやシンガポールの相対的低単価が上昇幅を抑制した。つまり、単価上昇は全面高というより、品種・仕入先ミックスの影響を強く受けたものとみられる。
輸入単価は引き続き、円安+APT高騰の転嫁+高単価スポット案件+供給源ミックスに左右される高ボラティリティ局面にある。
(グラフ―3)。

主要税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(輸入)
タングステン輸入は、APT価格の急騰と高止まりを背景に、当面は高単価・低弾性の状態が続く公算が大きい。2026年2~4月にかけてAPTは$2000→$3000台へと急伸し、その後も高値圏で推移していることから、輸入単価は為替が円安方向に振れて上昇圧力を受け続ける構造にある。とりわけ中国市況が価格決定の基軸である以上、輸入価格は引き続き「中国APT+プレミアム」の形で上振れしやすい局面が続くとみられる。
一方で、足元では過熱感に伴う調整も一部で顕在化している。市場レポートでも指摘されている通り、4月以降は中国鉱石価格のピークアウトや、下流の買い控えによる様子見姿勢が広がっており、輸入においても高値忌避による数量抑制圧力がかかりやすい。結果として、短期的には「数量は伸び悩み、金額は高止まり」という構図がより鮮明になりやすい。
また、輸入構造の面では変化が続く。中国からの直接調達は依然として価格指標としての影響力を持つものの、実務上はシンガポールや欧州(ドイツ・英国)経由の比重が高まり、流通経路の多層化・間接化が進行している。これは中国の輸出制約や西側の精錬能力不足を背景とした構造的変化であり、輸入単価のばらつき(ミックス要因)を一段と拡大させる要因となる。
中期的には、中国鉱山の老朽化・資源制約という供給面の制約に加え、西側の精錬・還元能力不足というボトルネックが解消されない限り、需給は引き締まりやすい。軍需・エネルギー関連(太陽光向けワイヤー等)といった新規需要も底堅く、価格の下押し余地は限定的とみられる。
したがって、輸入市場は、
• 短期:高値警戒によるもみ合い・数量調整
• 中期:供給制約主導の強基調維持
• 構造:調達先多極化と価格ボラティリティ拡大
という三層構造で推移する可能性が高い。特に統計上は、仕向け先や経由地の変化による単価の振れが大きくなりやすく、実勢価格の把握には一層の注意が必要な局面に入っている。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)