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アフリカのバッテリー金属ブームは、ドライバルク市場の転換を示唆

2025/12/08 13:53
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アフリカのバッテリー金属ブームは、ドライバルク市場の転換を示唆

ギリシャの船舶ブローカーであるXclusiv Shipbrokersの最新の市場解説によると、中国がアフリカのバッテリー金属を確保することが、長距離ドライバルク貿易の流れが一変する可能性があるとのことだ。

 

中国のアフリカでのバッテリー金属確保

中国がアフリカのバッテリー金属確保を急いでいるのは、EVや地政学的な理由だけではなく、ドライバルク貿易を静かに再編する可能性を秘めている。アフリカは世界の鉱物資源の約30%を保有しており、バッテリー分野では圧倒的な存在感を示している。コンゴ民主共和国は既にコバルトの採掘量の70%以上を供給しており、世界の埋蔵量の約半分を保有している。

 

さらに、南アフリカ、ガボン、ガーナはマンガン生産量の60%以上を占めており、ジンバブエ、コンゴ民主共和国、マリはリチウムの新興生産国であり、モザンビークとマダガスカルは天然グラファイトの急成長産地になっている。中国のアフリカへの投資の約22%は現在、鉱業および関連インフラに結びついており、鉄道、道路、港湾が銅ベルト、カラハリマンガン鉱床、あるいはジンバブエのリチウムベルトと中国の製錬所を直接結んでいる。

 

2024年には、中国はコバルトとマンガン鉱石の輸入量の80%以上をアフリカから調達しており、この回廊が北京のエネルギー転換戦略においていかに重要な位置を占めているかを示している。海上に至っては、ニッチながらも急成長しているバルク取引において、この傾向が既に顕著になっている。

 

ギニアのボーキサイト輸出量は2025年上半期に約1億トンに達し、前年比36%増となり、そのうち60%以上を中国系鉱山会社が占めている。ジンバブエは2025年1月から9月の間に約100万トンのスポジュメン精鉱を輸出した。これは、リチウム価格の下落にもかかわらず、主に中国の需要増によるもので、前年比で約27~30%増加している。

 

モザンビークとマダガスカルは既に合計で年間約15万トンの天然グラファイトを生産しており、中国が支援する新たなプロジェクトにより、精鉱の積載能力が年間約26万トン増加する可能性があると言われている。これらはすべて、ハンディサイズからパナマックスサイズのドライバルク船 注)におさまる量だ。

注)ドライバルク船は 鉄鉱石などの重い貨物を効率的に輸送するために設計された、最も大きなタイプのバルク船で、パナマックス船は 長さ約274m、幅約32m以内のサイズで、パナマ運河を通過できるように設計されており、ハンディ船は パナマックスより小型で、比較的小型の港に入出港できる便利な船型。

 

2024年には56億トン以上を輸送した世界のドライバルク市場と比較すると、これらの輸送量はまだ小さいものの、成長と輸送距離という2つの理由で重要。石炭や鉄鉱石といった伝統的な柱は成熟しており、脱炭素政策による制約が強まっている一方、リチウム、コバルト、マンガン、グラファイトはエネルギー転換の中核を担っている。

 

拡大するアフリカバルク輸送

ナカラ、ベイラ、マタディ、ロビトから中国北部への航海は本質的に長距離で、将来、欧州や米国の巨大工場への多様化が進めば、トンマイルはさらに長くなることが予想される。ジンバブエの未加工リチウム輸出禁止により、中国の投資家は鉱山現場の選鉱工場、そして場合によっては化学工場への融資を余儀なくされ、好機を捉えた輸送を安定した産業貨物の流れへと転換させた。ギニアは鉱山会社に国産アルミナの利用を促し、南アフリカはマンガン合金の生産拡大を奨励している。これらの動きは、長距離輸送に加え、沿岸部およびアフリカ域内のバルク輸送の拡大を支えている。

 

一方、世界有数の金融サービス会社であるS&Pグローバルは、新規プロジェクト後でも2035年までにリチウムと銅の供給が構造的に大幅に不足すると予想しており、中国はグラファイトなどの特定の加工原料の輸出を制限し始めている。この組み合わせは、アフリカの鉱業投資の増加を保証し、これまで中国に流れていた供給量をめぐって欧米と日本のバイヤーが競争することになるであろう。契約が東西に分散し始めれば、輸送ルートの効率性が低下し、トンマイル数が当然のことながら増加する。

 

結論

ドライバルク船主にとって、アフリカにおけるバッテリーメタルの生産拡大は鉄鉱石や石炭に取って代わるものではないが、ハンディ/スープラ型や小型パナマックス型に集中する、構造的に成長する「グリーン志向」の需要層を生み出す可能性がある。従来の貨物が循環的かつ政治的な影響を受けやすい市場において、これらの新たな鉱石輸送ルートは、2030年代において需要の回復力に優れたルートの一つとなる可能性を秘めているというのが、Xclusiv Shipbrokersの結論だ。

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

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