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【年末企画 エネルギー】脱炭素電源推進が明確になるも太陽光パネルリサイクルに暗雲

2025/12/24 23:38
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【年末企画 エネルギー】脱炭素電源推進が明確になるも太陽光パネルリサイクルに暗雲

金属やプラスチック分野などと同様に、エネルギー分野の2025年も第7次エネルギー基本計画の閣議決定を皮切りに大きな変化が生じた都市となった。MIRUで取り上げたトピックスを中心に出来事を振り返っていきたい。脱炭素電源推進が明確になるも、太陽光パネルリサイクル義務化が後退したという残念なトピックスもあった1年となった。

 

 

第7次エネルギー基本計画を閣議決定

 

2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの推進方針が改めて明確になったほか、原子力も脱炭素電源の一つとして「最大限活用」されることが明確となった。

 

2021年に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験から、「原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」と明記されていたが、次期基本計画の素案ではその記載は削除され、「原子力発電維持」の姿勢が明確となった。

 

その姿勢は高市早苗政権でも引き継がれている。赤澤亮正経済産業大臣は12月28日の閣議後記者会見で、北海道の鈴木直道知事が泊原子力発電所3号機(泊村)の再稼働を容認したことに対し、「泊発電所3号機の再稼働は、エネルギー安全保障の確保や脱炭素の同時実現に寄与する観点から重要」と見解を示した。国内経済発展の観点からデータセンターなどの新設を促し、その運用に必要な膨大な電力を原子力や再エネで賄う構想も示している。

 

24日には東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働予定日を2026年1月20日、営業運転の開始予定日を2月26日とする書類を、原子力規制委員会へ提出したことが明らかになった。これらのほかにも複数の原発の再稼働が見込まれる2026年。最大に課題となる安全管理をどのように徹底し、原子力由来の電力をもとにどう経済を発展させていくのか、新政権の手腕に期待したい。

 

【参考記事】

原子力を含む脱炭素電源を「最大限活用」―エネルギー基本計画素案

北海道泊発電所3号機の再稼働はエネルギー安全保障の確保に「重要」―赤澤経産大臣が見解示す

 

 

熱気高まる蓄電池市場

 

再生可能エネルギーの導入拡大に伴う変動電力吸収需要に対応するエネルギー蓄電設備の需要が急増し、同市場の熱気が高まっている。

 

12月19日にはパワーエックス(岡山県玉野市、伊藤正裕社長)が東京証券取引所グロース市場への新規上場を果たした。2021年3⽉の設立から5年を待たずしての上場はかなり順調すぎる滑り出しといえる。上場初日は当然のようにストップ高で取引を終了。業界内外の関心の高さがうかがえる。

 

金融関係者によれば、蓄電池事業を投資対象として有望視する層も多く、一刻も早い上場を狙う国内の蓄電池事業者も少なくないという。

 

なお、IRuniverseが9月25日に開催した第12回 Battery Summit in TOKYOでも、ダイヘンやテスラなどが登壇。系統用地区電気事業の最新動向や展望を紹介し、注目を集めた。

 

【参考記事】

パワーエックス、12月19日に東証グロース市場に新規上場

株式会社パワーエックス、東証グロース市場上場を祝う

9月25日(木) 第12回 Battery Summit in TOKYO アーカイブ

 

 

太陽光パネルサイクル、前進そして後退

 

昨年に続き、太陽光パネル再資源化の義務化に向けた検討が環境省と経済産業省合同で行われてきたが、2025年は前進したものの結果的に後退した1年となった。

 

リサイクルの義務化の肝となる再資源化費用については製造業者や輸入販売業者が負担する案が2024年から多数派となり25年もその方向性のまま議論を重ねてきたが、同年8月には使用済み太陽光パネルのリサイクル義務化に向けた検討を一旦中止とする方針を決定。リサイクル実施状況の報告義務化などの代替案を立てる方向に舵を切った。

 

国内で導入されている太陽光パネルの製造業者は海外事業者の割合が極めて高いため、実質的に輸入販売事業者が再資源化費用のほとんどを負担する見込みとなっていたが、当事者や関係団体からの反発が強かったとみられる。

 

とはいえ、世界情勢を踏まえると太陽光パネル再資源化の義務化は避けられない運命だろう。政府は現在も制度内容の練り直しを行っており、一部報道によれば、再資源化を所有者の努力義務とする案を2026年の通常国会へ提出することを目指しているというが、「強制力はなく根本的な解決にならない」という関係者の声も多い

 

【参考記事】

太陽光パネルの再資源化費用は輸入販売業者が負担濃厚―経産省・環境省小委員会(2024年)

太陽光パネル再利用の義務化検討を中止-再資源化費用の負担が争点に

 

 

ペロブスカイト太陽電池、実証や導入支援が本格化

 

ペロブスカイト太陽電池に関連する実証や導入支援が2025年になって本格化してきた。同太陽電池は、原料の要といえるヨウ素が国内調達可能なことや、高い汎用性や量産性を持つことから太陽光発電設備市場を中国から奪還する切り札として、早期の社会実装が期待されている。

 

直近では、東京ガスとマクニカが、住宅施設の壁面やバルコニーを対象としたフィルム型ペロブスカイト太陽電池「Airソーラー」の施工性・発電性能を評価する実証が東京都の「Airソーラー社会実装推進事業」に採択されたと公表した。

 

第7次エネルギー基本計画においても、「『次世代型太陽電池戦略』に基づき、軽量・柔軟等の特徴を兼ね備えるペロブスカイト太陽電池の早期の社会実装を進めていく」と明記されており、具体的には、25年中に20円/kWh、30年までに14円/kWh、40年までに10~14円/kWh以下の水準を目指して技術開発を進めるとしている。26年にはペロブスカイト太陽電池の最大の課題とされる耐久性を克服する糸口は見つかるだろうか。

 

【参考記事】

パナHD『ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証』に着手

三菱ガス化学 ペロブスカイト走行の小型モビリティデモンストレーターに、高機能ポリマー部材提供

 

 

(IRuniverse K.Kuribara)

 

 

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