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自動車業界動向2026#1 新車市場は雪解けならず

2026/01/09 15:57
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自動車業界動向2026#1 新車市場は雪解けならず

1月の新年を迎えたものの、2025年を振り返ってみれば日本における新車市場の勢いは吹き返す事がなく、まだまだ厳しい状況が続いている。一方で中古車市場の過熱ぶりと、輸出市場の好況は継続している状態だ。1月の動静について、特定非営利活動法人 自動車流通市場研究所のレポートで紐解いていく。

 

 

回復が期待された2025年の新車市場だったが、残念な結果に

 本来、25年は生産が正常化したことで、新車市場は販売、輸出、生産ともに回復すると期待されていた。しかしながら、終わってみれば好調だったのは輸入車販売だけで、自動車メーカーの認証不正問題によって低迷した24年と、ほぼ変わらぬ残念な結果となってしまった。今回はこうした25年の新車市場を改めて振り返ってみよう。

 

【消費者の新車購買意欲を低下させた25年の市場環境】

 25年の新車販売は年明けから4月までは、順調に回復を遂げていた。とは言え、前年(24年)の同時期は自動車メーカーによっては完全に生産を停止していた時期との比較であり、パンデミックから回復を遂げた23年と比較するといずれの月も大きく下回っているので、期待通りの回復とは言えない状況であった。そして5月になると勢いは鈍化し、さらに7月以降は連続して前年割れが継続。

 このように低迷した背景には、物価高騰や車両価格の値上げ、長納期化に加え、半導体供給問題や新型車投入不足などによって消費者の買い控えが生じていた事は明らかだ。また年後半にはジャパンモビリティショー2025が開催されたが、あくまでも未来志向の展示が中心で、むしろ購入を先送りする動きを促したようなものである。10月末には新政権が誕生したが、販売台数を浮揚するようなことはなく、逆に減少が続いている。

 



 

【25年の新車輸出はトランプ関税に翻弄された一年】

 25年の新車輸出は、輸出全体の3割強を占める米国向けでトランプ関税の影響を大きく受けた一年であった。台数こそ前年を辛うじて維持しそうだが、収益性は大きく悪化。追加関税分を現地販売価格に転嫁することができなかったため、それをコストとしてメーカーが自社で吸収し、利益率は大幅に低下している。ただ、円安により多少はマイナス分を補填できたかとは思われる。

 

 このように利益を削ってまで台数維持に走ったことから、決算上は「売上維持・利益減少」という構図となり短期的には評価しづらいが、長期的な戦略としては、米国市場は依然として日本メーカーにとって最大の収益源であり、台数を下げると販売網やブランド力が弱まり、将来の回復が難しくなるため「守りの戦略」としては合理的であったと評価できる。こうして存在感を維持したことで、市場ポジションを守り切ることはできた。

 

 

 

【輸入車新規登録台数は統計開始(07年)以来2番目の高水準】

 新車販売台数に含まれる輸入車の割合は近年確実にプラス成長を遂げている。25年は前年比110.9%の35万5853台が見込まれる。円安で価格的には不利だったにもかかわらず、輸入車販売が好調だった背景には、株価が上昇(日経平均が5万円突破)し、資産が拡大した富裕層の超高級車需要が高まりをみせ、またスズキの「ジムニーノマド」「フロンクス」、ホンダの「WR-V」など海外生産の逆輸入車が急増、さらに欧州メーカーがEV・PHEVを積極投入するなど複数の要因が重なったためと見られる。

 

 

【需要不足+供給制約の二重苦に見舞われた25年の自動車生産】

 これまで述べてきたように、25年は物価高、値上げ、長納期化で需要が鈍化し国内販売は停滞。輸出はトランプ関税によって採算悪化。さらに国内外ともに量販モデルの新型投入が少なく、販売刺激が弱かったこと。また半導体や部品供給の不安定さが続き、フル稼働できない工場も発生するなど、総じて工場稼働率も上がらなかった。要するに、需要不足+供給制約の二重苦に見舞われてしまい、自動車生産にとっては厳しい一年となったのである。

 

 

中古車相場が異次元の高騰をさらに超えた25年の中古車流通

 25年は何度となく中古車相場の高騰について伝えてきたが、改めて振り返ってみると、25年はこれまで過去数年続いた相場高騰の延長線上にありながら、それまでの水準をも遥かに凌駕し、市場構造そのものが変質したのではと思わせるほどの強烈な一年であった。今回は、中古車登録&届出台数とオークション各指標の25年見込と24年実績を比較し、振り返っていこう。

 

【表面的な統計では見えにくいが、国内小売が大きく低迷した一年】

 中古車登録&届出台数を24年と比較してみると、25年は登録車、軽自動車ともにわずかに下回ってはいるが、それほど大きく変化したとは言いきれない数値だ。しかしながら実情は大きく変化した。どのように変化したかと言えば、小売台数が大幅に減少している。小売台数は明確な数値は発表されてなく、唯一、リクルート自動車総研が発表している中古車購入実態調査で伺い知ることができるが、それによれば24年は約310万台であった。しかし25年は、多くの中古車事業者に話を聞くと一気に220万台を割り込むのではと言うのが大方の予想だ。

 

 このように小売が低迷した背景には、新車同様、物価高騰による消費者の購買意欲が低下したことを

前提に、中古車相場があまりも高騰しすぎて、圧倒的多数を占める中小の販売店にとっては、仕入れに

関して資金負担が重くのし掛かり、思うような品揃えができず、販売機会を逃してしまうケースが増えたと見られる。こうした背景もあり、ある調査機関によると、25年中古車販売店の倒産件数は過去最多に迫るペースとの報道もある。一方、豊富な資金力を持つ大型店は確実に業績を伸ばしている。こうして2極化が鮮明になった一年であったが、総じて台数は大きく減少している。

 

 ただ冷静に判断すると、前項でも記述しているが、25年の新車販売は低迷したことで下取車(中古

車)の発生(供給)は少なく、国内需要は低下しているのだから、ある意味需給のバランスを保たれてい

る。これならば本来、相場は落ち着く方向に向かうはずなのだが、実際には需給のバランスを大きく崩すほどの強烈な需要が発生している。

 

【輸出需要が国内需給を飲み込み、異常な価格形成を主導】

 次項でも総括しているが、このバランスの変調は中古車輸出の記録的な需要によるものだ。その視点でオークション各指標の25年見込と24年実績の比較を見ていくが、出品台数はさほど変化は無かったのである。実はこの出品台数は前述の登録台数も同様だが、再出品や名義変更などで1台の車が複数回カウントされる傾向があるので、そういった意味では実需があまり反映されていない。その点、成約台数はより実需に近く、そこに注目をしていくと、台数は増加している。しかし、実需のうち国内小売は大きく減少しているわけなので、もう一方の実需である輸出が大きく押し上げたことを示している。

 

 さらに象徴的なのは、平均落札価格があくまでも予測値であるが、90万を超えることだ。代替サイクル(新車ユーザーが次の新車に乗り換えるまでの期間)が長期化し、発生する中古車の高齢化が進んでいる中で、国内需給だけであれば本来下がっていくべきものが、ここまで高額になったと言うことは、いかに輸出需要が強烈であったかを物語っている。

 

2025年の中古車輸出を総括

 近年、飛躍的な拡大を遂げている中古車輸出だが、25年はその勢いがさらに加速した一年となった。最終的な実績値は今月末発表の財務省貿易統計を待たなければならないが、確実に3年連続で過去最高記録を更新する見込みだ。今回のレポートでは、このように絶好調だった25年の中古車輸出を改めて総括してみよう。

 

 

【3年連続で過去最高を更新。輸出総額は1兆7500億円に】

 自流研が算出した25年通年の中古車輸出台数は、前年比10%増の173万4374台と見込まれる。またFOB価格平均も史上初めて100万円を超え、輸出総額は1兆7500億円に達し、前年を2000億円ほど押し上げると見ている。この算出方法としては、10月までの実績に加え、残り2ケ月の予測として、24年実績と25年の各仕向国の動向、さらに輸出事業者や船会社、港湾関係者などから最新の情報について聞き取りを行い算出している。

 

 仕向国トップは、2年連続でアラブ首長国連邦(UAE)となることが確実視されている。24年は表向きのトップであった。と言うのも、前年2位のロシアが直接台数にカウントされない第三国経由の規制対象車が5万台近くもあったからだが、25年はその規制車を含めても大きく引き離し、名実ともにUAEがトップとなるだろう。なお、同国についても、あくまでも中継国であり、国内に登録される車両はほとんどなく、ほぼすべて再輸出されるが、日本から輸入された約26万台の中古車のうち、8割にあたる21万台はアフリカ地域に集中して再輸出されたようだ。

 

 2位のロシアは長期化するウクライナ侵攻によって、明らかに経済は困窮し、規制車、非規制車ともに減少した。3位には、タンザニアが入りそうだ。アフリカ勢としては、初の10万台超えで、またトップ3にランクインするのも史上初の快挙となる。4位には復調したチリが4年振りにこの位置に返り咲きしそうだ。復調の要因としては、同国の8割がコンテナ輸送だが、RO-ROも含め、24年には悪化していた海上輸送の環境が、25年は改善したことが大きいと言える。

 

【アフリカ地域には直接、間接含め71万台が輸出され全体の4割を占める】

 4位とわずかな差で5位に予想しているのがケニアだが、ここも過去最高を更新する確率が高そうだ。ここで特筆すべきは、3位のタンザニアを含め、アフリカ地域の勢いが凄く、地域全体では直接、日本から輸出された中古車は50万台にも上ることだ(24年は35万台)。さらに前述したようにUAEを経由して同地域に間接的に輸出された台数は凡そ21万台もある。それを合算すると71万台にも上り、輸出全体の4割を占めるまでになっている。

 

 同地域への輸出が、これほどまで急拡大している背景としては、地域全体が豊富な天然資源、鉱物資源に恵まれ、近年、急ピッチで開発が進み、それに比例して労働人口も増え、国民一人当たりの所得が増加したことで、日本からの中古車需要が高まっている事にある。この傾向は以前から伺えたが、25年はそれが顕著に表れた一年だと言える。

 

 他に25年の中古車輸出を牽引した国として、2月から5年振りに復活したスリランカの存在がある。同国は事実上5年間も鎖国状態にあったため、まさに“堰を切った”勢いで輸出が再開され、7月には単月で過去最高となる1万1531台を記録。また同国の人気車種である1000~1500CCクラスの相場が高騰し

たことから、その代替として新たに軽自動車の中古車需要が高まり、これが全体にも波及し、中古車輸出に新たな局面を生み出している。

 

 

 25年は上位25ケ国中、前年比で二桁成長を遂げている国が14ケ国(24年は7ケ国)、過去最高を更新している国が10ケ国(24年は7ケ国)と多くの国が絶好調であった。総じて、今後この勢いが弱まる気配が一切見当たらない。以前から30年に中古車輸出は200万台に到達すると予想されており、近年の勢いから、さらに前倒しするのではないかと見ていたが、それを確信させる一年になったと言える。

 

 

 

 (IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

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