中国産業経済情報ネットワークの報告によると、2025年のポリシリコン(多結晶シリコン)先物価格は、コスト割れの低迷期から政策主導による安定期へと移行し、上半期と下半期で対照的な動きを見せた。
2025年末時点で、N型シリコン材の平均取引価格は5.39万元/トンに達し、業界のコスト範囲とされる4.03万〜4.29万元/トンを大きく上回った。しかし、太陽光発電産業チェーンの最上流に位置するこの「黒いダイヤモンド」にとって、真の試練はまだ始まったばかりである。
1. 2025年の市場総括:二段階の変遷
2025年の市場動向は明確に二つの局面に分かれた。
- 第一段階(市場主導の低迷):
- 第二段階(政策主導の安定):
年初は市場の悲観論が支配し、価格は下落の一途をたどった。価格が主要企業の現金コストライン(Cash Cost)に接近すると、企業の生産意欲減退による供給縮小が辛うじて価格を支えるという、純粋な需給論理で動いていた。
転換点は2025年2月の『分散型太陽光発電開発建設管理弁法』等の政策実施だった。「新旧区分」メカニズムによる駆け込み需要が発生。さらに決定打となったのは7月、工業情報化省による「高品質発展座談会」である。「コストを下回る価格で販売しない」という法規要件を遵守するため、主要企業は価格を総合コストライン以上に引き上げた。
この政策介入により、**通威股份(Tongwei)などの業界大手は約4.2万元/トンという総合コストラインを確保し、第3四半期には大全能源(Daqo New Energy)**も大幅なコストダウンを実現した。現在、価格はコストを上回って推移しており、主要企業は利益回復を果たしている。
2. 2026年の市場展望:供給縮小と需要の横ばい
2026年、ポリシリコン市場は前例のない構造調整に直面する。需給データは慎重な見通しを示唆している。
- 需要サイド:
- 供給サイド:
世界の太陽光発電新規導入量は約550GWで横ばいと予測され、これに対応するポリシリコン総需要は約114.35万トンと見込まれる。より慎重なシナリオに基づく予測では、総需要は102万〜118万トンの範囲に収まり、120万トンを超える可能性は低いとされる。
2025年の予想生産量は約132万トン(2024年比26.37%減)と縮小傾向にあるものの、依然として約17.65万トンの供給過剰状態にある。現在の総生産能力は329.30万トンに達しており、設備過剰の問題は深刻だ。
3. 構造的な課題:在庫とグリッド接続
単純な生産調整だけでなく、産業全体を取り巻く環境も変化している。
- 在庫の重石:
- 系統連系の制約:
現在、市場には約40万トンものポリシリコン在庫(社会在庫)が滞留している。需要が多少回復しても、この在庫が消化されるまでは価格の急騰は抑制される見込みだ。
2025年第3四半期までの風力・太陽光発電の利用率は過去最低水準を記録しており、電力網への受け入れ(吸収)能力が限界に近づいている。政府の指導意見も、単純な導入量拡大から「高品質な吸収・調整」へと重点を移しており、爆発的な需要増は期待しにくい。
4. 結論:レンジ相場の継続と高品質発展へ
今後のポリシリコン価格は、4万元〜6万元/トンの範囲内で変動する「レンジ相場」が続く公算が大きい。
その理由は以下の3点に集約される。
- 成長の鈍化: 世界的な導入ペースが安定成長期に入ったこと。
- 底値の形成: コストラインが強力な支持線となり、これ以下の価格では供給が絞られること。
- 政策の役割: アンチ・ダンピング等の政策が、無秩序な競争を排除し、緩やかな構造調整を促していること。
2026年以降、太陽光発電産業は「量の拡大」から「質の向上」へとシフトする。シリコン材からモジュールに至るサプライチェーン全体が、カーボンニュートラルという目標の下、需給の動的均衡を保ちながら再編を進めていくことになるだろう。
(趙 嘉瑋 編集IRUNIVERSE)