前回(vol.95)、2025年の貿易統計上の中古車輸出台数が過去最多を更新したことを言及した。その傾向は仕向地レベルでも同様と言えるだろうか。今回は全体が増加する中で、主要仕向地の動向を確認する。
図1は、過去3年間の中古車輸出台数について主要仕向地別に示したものである。主要仕向地とは、2025年の上位15か国である。これを見ると、アラブ首長国連邦はさらに数量を増加させ、25万台を超え、2年連続で最大の仕向地となっている。2位のロシアは2024年からさらに減少しているが、それでもなお、18万台を超える実績がある。
3位はタンザニアである。同国は2022年、2023年の4位がこれまでの最高であり、3位になるのは初めてである。量的にも前年から4.1万台増加しており、対前年比は153%である。全体の対前年比は109%であることから、タンザニアの市場が大きく拡大している様子は窺える。
アフリカは他にはケニア、南アフリカ、ウガンダが図1に示されており、いずれも前年を上回っている。図にはないが、2025年の仕向地の17位のナイジェリア、20位のガーナは大きく伸ばしており、対前年比は153%、254%である。
地域別に見ると、2025年のアフリカのシェアは27%であり、最大の仕向地となっている。アフリカは2019年から2023年まで最大の仕向地であったが、そのシェアは2020年の27%をピークに縮小傾向にあった。2024年のアフリカのシェアは23%となり、アジアに抜かれて2位となっていた。それが2025年に回復した形となる。
アジアの2025年のシェアは22%であり、前年(24%)よりも縮小している。それまで好調だったモンゴルが図にもあるように大幅に減少しており、順位も2024年の3位から7位に下がっている。その対前年比は60%である。
これに対して、スリランカの市場が急拡大している。2024年はわずか95台だったものが、2025年は6.2万台であり、対前年比は65616%である。2018年の同国向けは7万台程度だったが、その後3.3万台(2019年)、1.3万台(2020年)、千台(2021年)と減少し、2022年から2024年は年間100台前後だった。日本貿易振興機構の記事などで言及されているように(大井,2025)、2025年に同国の輸入政策が変化しており、その影響と考えられる。

図 1 日本の中古車輸出台数(主要仕向地別)
出典:財務省貿易統計より作成
注:バス、乗用車、貨物車の合計。主要仕向地は2025年の上位15か国。
参考文献
- 大井裕貴(2025)「スリランカ、約5年ぶりに自家用車・バイクの輸入も再開(スリランカ)」,日本貿易振興機構ビジネス短信2025年2月4日,https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/02/aa27b6775388f301.html,(参照26-02-01)
~関連記事~
2025年の中古車輸出(1):過去最多をさらに更新 Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.95
-----
阿部新(Arata Abe)
山口大学 国際総合科学部・教授
2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。
同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授
2020年より同大学国際総合科学部・教授