欧米の重要鉱物確保の動きが加速している。米ブルームバーグ通信は2月3日、「欧州連合(EU)は米国との重要鉱物での協力体制について、3か月以内の覚書締結を目指している」と伝えた。一方の米国は2月2日、「120億ドル(約1兆9000億円)を投じ、重要鉱物の民間向け備蓄を始める」と発表した。西側諸国の脱中国依存ネットワーク作りが進む。
■米EU、「領土の尊重」がカギか

報道によると、EUの覚書草案は現地時間の2月4日に発表される予定。生産や供給、研究開発面で協力や、輸出制限を互いに免除することなどが盛り込まれた。備蓄や輸出制限に対する協力は第三国にも適用されるとする。両者は今後30日以内に交渉を完了することを目指しているという。
報道では、互いの領土を尊重することも草案に盛り込まれたと伝わった。グリーンランドなどの所有を主張する米国が最終的に合意するかは不透明だ。
■米国は初の民間向け備蓄開始

一方、ホワイトハウスは2月2日、ホームページ上で、「『プロジェクト・ヴォールト(Project Vault)』」の開始を確認した」とのトランプ米大統領のビデオメッセージを発表した。
備蓄対象はガリウムやコバルトなどのレアメタルが中心で、民間向けの重要鉱物備蓄は同国では初めて。ゼネラル・モーターズ(GM)やステランティス、ボーイングといった民間企業が取引先企業として加盟した。備蓄する鉱物はマーキュリア・エナジー・グループをはじめとする商品取引会社が調達する。プロジェクトは16億700万ドルの民間資本と米国輸出入銀行からの100億ドルの融資を組み合わせて運営する。
■脱中国依存は共通課題
欧米は2025年の中国のレアアース輸出制限で自動車などの一部産業が停止に追い込まれた経緯もあり、脱中国依存での重要鉱物調達を共通の課題として認識する。国際エネルギー機関(IEA)も1月20日、2025年版の世界のエネルギー見通しである「world energy outlook 2025」を発表し、「最も目立つのは重要鉱物のサ プライチェーンにおける脆弱性だ」としてレアアース・レアメタルの過度な中国依存に警鐘を鳴らしていた。
プレスリリース(日本語版):WEO 2025_ Executive summary_Japanese
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(IR Universe Kure)