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政府、国家備蓄原油放出、約850万キロリットル

2026/04/06 11:18
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政府、国家備蓄原油放出、約850万キロリットル

3月26日から始まった政府による国家備蓄原油の放出、約850万キロリットルに関してだが、大きな疑問はこれをどのようなタンカーで石油元売りに放出するのかということだ。マスコミもこの辺の詳しい映像は公開していないし、国家石油備蓄基地のサイトも一切の報道していない。

 

超大型タンカー(VLCC)で計算すると

現代の標準的な超大型タンカーである VLCC (Very Large Crude Carrier) 1隻の積載能力は、およそ 30万トン(約35万キロリットル)。850万キロリットルをVLCCを使用して石油元売りに輸送する場合は、単純計算でおよそ 24隻〜25隻が必要になる。

 

日本沿岸にそのようなVLCCが居るのか否かに関して船舶位置情報プラットフォームであるVessel Finderで調べてみたところ、以下の3隻の邦船社所有のVLCC に関してその去就がわかった。

 

共栄タンカー(東京)が所有するVLCCである天竜(Tenryu)は、目下、その航跡からして北九州市の白島備蓄基地に向かっており、到着予定日は4月7日。同所属の常盤(Tokiwa)は鹿児島県の志布志基地に向かっており、到着予定日は4月9日。 

 

商船三井(東京)が所有するVLCCであるEagle Traderは4月13日に千葉港着とのことだが、その航跡は九州南部に向かっている模様だ。

 

石油元売り

全国で放出される国家備蓄の量は国内消費の1ヶ月分に相当するおよそ850万キロリットルで、4つの石油元売り会社、ENEOS、出光興産、コスモ石油、太陽石油に対する売却総額は5400億円にのぼる見通し。

 

国家備蓄の放出はウクライナ情勢が悪化した2022年以来4年ぶりで、政府は石油製品の安定供給につなげたい考えだ。

 

放出基地は11か所に上り、以下となる。

 

  1.  苫小牧東部国家石油備蓄基地(北海道苫小牧市)
  2.  菊間国家石油備蓄基地(愛媛県今治市)
  3.  白島国家石油備蓄基地(北九州市)
  4.  上五島国家石油備蓄基地(長崎県新上五島町)
  5.  志布志国家石油備蓄基地(鹿児島県東串良町・肝付町)
  6.  北海道石油共同備蓄北海道事業所(苫小牧市)
  7.  鹿島石油鹿島原油タンクヤード(茨城県神栖市)
  8.  富士石油袖ケ浦製油所中袖基地(千葉県袖ケ浦市)
  9.  ENEOS喜入基地(鹿児島市)

10) 沖縄石油基地沖縄事務所(沖縄県うるま市)

11) 沖縄ターミナル沖縄ターミナル基地(同)。

 

愛媛県今治市にある菊間国家石油備蓄基地の公式サイトを見たところ、3月26日(木)、同市にある備蓄基地で全国のトップを切って始まっており、隣接する太陽石油の製油所にパイプラインで送られ、ガソリン等の石油関連製品として出荷される予定、とのことだった。

 

カボタージュ制度

邦船社が所有するVLCCはそう隻数も少ないので、残りの選択肢としては内航海運に使われている小型タンカーをかき集めるか、あるいは外航に従事する外国船社所有のVLCCを調達する以外に道はないようだ。但し、後者の場合は、内航用に転用する必要があり、海運会社には「沿岸特許輸送」の申請が必要になる。「沿岸特許輸送」は日本籍船以外の船舶が日本の各港の間で物品、旅客の輸送を行う際に船舶法に基づき国交相の許可を得る必要があり、安定的な国内海上輸送を確保するための国際慣行「カボタージュ制度」に対応する手続きでもある。

 

トランプ大統領も

3月に入って、イラン・イラク戦争の影響でガソリンとディーゼル燃料の価格が高騰したことを受け、トランプ大統領は「ジョーンズ法」を一時的に適用停止し、外国船による米国港湾間の原油・ガス輸送を許可した。この措置は、ガソリン価格の引き下げと軍事・国家安全保障活動に必要な物資の確保を目的として、米国の国内海事権益を保護するために制定された同法を60日間停止するものだ。

 

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

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