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世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム#3:世界市場から読み解く金属リサイクル産業の最新動向(後編)

2026/05/15 16:20
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世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム#3:世界市場から読み解く金属リサイクル産業の最新動向(後編)

世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム(主催:中国の金属市場調査会社Shanghai Metals Market (SMM))が、5月11〜12日に開幕した。本フォーラムにはIRuniverseもメディアパートナー企業として参加し、20の国と地域から集まった約600人の参加者が、アジアを中心とした持続可能な資源循環の未来について議論を交わした。

本報では世界リサイクル金属産業サミットフォーラム・電池リサイクルフォーラム#2:世界市場から読み解く金属リサイクル産業の最新動向(前編)に引き続き、11日午後に行われたリサイクルフォーラムの講演、およびパネルディスカッションの発表内容について報告する。

◼︎パネルディスカッション:二次鉛市場における資源争奪 - 再定義されるグローバルサプライチェーン

二次鉛市場をテーマとした本パネルディスカッションでは、鉛蓄電池由来のスクラップを巡る資源確保競争と、環境規制強化によるサプライチェーン変化について議論が行われた。登壇者らは「鉛スクラップは有害廃棄物に分類され、バーゼル条約によって国際移動が厳しく管理されているため、他の再生金属以上に政策リスクの影響を受けやすい」と指摘。

Malaysia Non-Ferrous Metals Association会長のEric Tang氏は、東南アジアでは既に鉛リサイクル能力が過剰状態にある一方、原料となる使用済み鉛蓄電池の供給不足が深刻化していると説明した。特に、マレーシアでは輸入規制によって鉛スクラップ輸入が事実上禁止されており、国内発生量だけでは既存設備を十分稼働できない状況だという。また、中国系バッテリーメーカーによる東南アジア進出が進み、域内で鉛需要が急増していることも需給逼迫を加速させていると述べた。

一方、Pondy Oxides and Chemicals LtdのPratik Gupta氏は、インド市場についてEPR(拡大生産者責任)制度やBattery Waste Management Rules(BWMR)によって、使用済み鉛蓄電池を回収・再資源化する「クローズドループ」が形成されつつあると説明した。インドでは非公式業者から正式リサイクラーへの移行が進んでおり、今後はより大規模で環境対応型の設備投資が増加するとの見方を示した。

登壇社らは世界の二次鉛市場について、欧米市場は今後横ばい、中国はリチウムイオン電池普及によって鉛需要が徐々に減少する一方、インドやマレーシアなど新興市場で能力増強が進むとの予測を共有。ただし、設備投資の前提条件として「原料供給の確保」が最重要であり、スクラップ発生地域と処理能力地域の地理的ミスマッチが今後の大きな課題になると指摘された。

さらに、中東情勢悪化による物流混乱や保険料上昇も二次鉛市場に影響を与えていると指摘された。特に、インド企業は調達地域の多角化やヘッジ取引によって物流リスクへの対応を進めているという。一方、バングラデシュなど新興国では鉛需要が急増しているものの、輸入規制が厳しく、現地投資判断は極めて難しいとの見方が示され、議論が締めくくられた。

 

◼︎パネルディスカッション:中国・米国・欧州・日本における再生銅政策の分析と、今後の原料獲得競争に向けた戦略

本パネルディスカッションの冒頭では、各国で強化される資源政策や輸出規制を背景に、世界的な銅スクラップ争奪戦が新たな局面へ入っているとの見方が示された。登壇者らは欧州のWSR(廃棄物輸送規則)や、米国で議論される高品質スクラップの国内優先政策、東南アジアで進む環境規制強化によって、従来型の国際スクラップ流通構造が大きく変化していると指摘した。

一方、「スクラップは水のようなもの。障壁があっても最終的には需要のある場所へ流れる」との意見も示された。中国が輸入規制を強化した際も、結果的には加工・選別工程を経由しながら流通量そのものは維持された経緯があり、短期的には混乱があっても、中長期的には需要地へ供給が集まる構造は変わらないとの見方である。

米国市場については、年間約200万トンの銅スクラップが発生する一方、国内製錬・精製能力は約100万トン規模に留まっており、依然として大量の余剰スクラップが輸出されているという。登壇者らは、仮に輸出規制を導入すれば、国内価格下落やスクラップヤードの資金繰り悪化、回収率低下を招く可能性が高いと指摘し、短中期的には米国が主要供給国であり続けるとの見通しを示した。

中国系企業の登壇社らは、銅価格上昇や米中関税問題によって原料調達コストが急増している現状が共有された。中国では米国依存を減らして日本や欧州からの調達を拡大するとともに、インドネシアや中国国内など世界各地に新工場を建設し、供給網の分散化を進めているという。

日本市場については、循環型経済の先進地域として注目が集まった。登壇した平田機工株式会社の主任の桑田俊介氏、和光金属の専務取締役の村上良道氏は、日本では依然として手選別工程が多いものの、人手不足や人件費上昇を背景に、AI選別や自動化設備導入が今後加速すると説明。また、JX金属やパナソニックなど大手企業が、電子廃棄物由来スクラップの循環利用や、メーカー間連携によるクローズドループ構築を進めている事例も紹介された。

最後に、登壇者らは今後3〜5年の競争力として「グローバル調達網の多角化」「コンプライアンス対応力」「品質管理」「迅速な市場適応力」が重要になると強調。特に、AIを活用したデータ分析や長期的な信頼関係を前提としたサプライチェーン構築が、今後の再生銅市場で不可欠になるとの見方を示し、議論を締め括った。

 

◼︎日本における鉛蓄電池の現状:IRuniverse株式会社 CEO、棚町祐次氏

本フォーラム最後の登壇社は弊社CEOの棚町祐次氏で、日本国内の鉛蓄電池スクラップ供給が急速に逼迫している現状について説明した。日本では国内新車販売減少によるELV(使用済み自動車)発生減少に加え、中古車輸出増加によって、日本国内に残る使用済み鉛蓄電池そのものが減少している。その結果、国内では鉛蓄電池のスクラップ争奪戦が激化しており、さらに中国系を中心とした海外資本系の二次鉛製錬事業者が日本市場へ進出していることも需給逼迫を加速させていると指摘した。

国内の鉛蓄電池のスクラップ価格は中国市場と比較して依然割安であり、これが中国系企業の日本進出を後押ししているという。過去には日本から鉛蓄電池スクラップ自体が輸出されていたが、輸出規制強化によって輸出量は大幅に減少した。一方、日本国内でスクラップを処理して生産される粗鉛の輸出は増加しており、特にインド向け輸出が拡大していると説明した。

さらに、銅や亜鉛と同様に、鉛鉱石の品位低下や供給制約によって、一次製錬メーカーでもリサイクル原料使用比率が上昇している。そのため、日本国内ではリサイクル原料を「戦略資源」として位置付ける動きが強まりつつあり、今後は鉄スクラップだけでなく、非鉄スクラップや鉛ブリオンに対しても追加輸出規制が導入される可能性があるとの見方を示した。

日本政府は近年、スクラップヤード規制や許認可制度強化を進めており、参入障壁が高まりつつある。特に、中国系ヤード事業者は日本国内で7000〜1万社規模に達するとされるが、規制強化や市場環境変化によって、今後はM&Aや事業統合、ヤード縮小が進む可能性があるという。棚町氏は、日本のリサイクル市場は「単なる自由競争市場」から、「戦略資源管理市場」へ移行しつつあると総括し、今後もアジア市場へ向けて正確な情報発信を続けていく方針を示し、発表を締め括った。

【関連記事】アーカイブ/Archive:SMM Global Renewable Metal Industry Summit 世界リサイクル金属産業サミットフォーラム

 

(IRuniverse Midori Fushimi)

Midori Fushimi

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