パキスタンのムガルスチールCEOに聞く その1 パキスタンでの鉄鋼需要について
パキスタンのムガル・アイアン・アンド・スチール・インダストリーズは鉄鋼生産量110万トンの製鋼大手で、鉄スクラップの輸入大手でもある。同国ではインフラ開発により今後、鉄鋼需要の伸びは2桁増となる。
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ムガル・スチールはそうした変化に対応すべく備えている。この動きを担う主要メンバーの一人がCEO のKhurram Javaid氏だ。これまで同社の生産と販売に大きな貢献を果たしてきたが今度は、新技術導入をけん引する。
Javaid氏はパキスタンのラホール・スクール・オブ・エコノミクスで理学士号を取得し、英国コベントリー大学でMBAを取得。人員計画、経営方針策定、研修等で多忙を極める中、フリーランス・ジャーナリストRuchira Singh女史との電話インタビューに応じた。以下は、IRuniverseと提携関係にあるインドメディアSteelMintによるインタビューの抜粋記事となる。
1.まず、パキスタンの鉄鋼需要をけん引しているのは何でしょうか?そして、今年の需要の伸びはどの程度になるのでしょうか?
需要増は複数のインフラプロジェクトによるもので、特に石炭をベースとした電力プロジェクトやダム計画が持ち上がっています。それから、中国パキスタン経済回廊(CPEC)やシルクロード(パキスタンのグワーダルから中国の新疆ウイグル自治区のカシュガルを結ぶ道路計画)も需要増に貢献すると思われます。
需要の伸びは前年比で25~30%増となる見込みです。需要のある製品は主にロングロール製品の鉄筋です。ですので、一人当たりの消費量は世界平均の約210キロに対し、現在の30~32キロから今後一年で40キロに増加すると見込まれています。パキスタンの鉄鋼セクターがこれまでに経験したこともない伸びが見込まれています。
2. 需要の伸びを下支えしている政策の変更にはどのようなものがありますか?
先ごろ中国産鉄鋼ビレットに対して24.4%のアンチ・ダンピング関税が掛けられたことで、パキスタンには資本的支出を可能にする環境が生まれつつあります。年初には中国からの輸入鉄鋼最終製品についても同様の関税が掛けられました。こうした政策がパキスタン国内での鉄鋼生産増を促しています。
政府は非関税障壁同様、関税賦課に関してはぬかりなく、輸入材の流入を防ぐのに役立っています。現在は電気も24時間利用可能なので、鉄鋼生産に関しても増産体制が以前に比べ整っています。電気料は数年前に値上げされ、現在は料金について特に問題はありません。 (その2に続く)
(Steelmint/Iruniverse O.Sasaki)
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