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パキスタンのムガルスチールCEOに聞く その2 ムガルスチールの増産計画&スクラップ市場見通し

パキスタンのムガルスチールCEOに聞く その1 パキスタンでの鉄鋼需要について」からの続き

 

 

3. ユーザーの間での直近のトレンドというのは?

 インフラの伸び以外にパキスタンでは小売市場が拡大しつつあります。2億人の人々が生活をし、結婚をして家族を養っていますので、そうした市場が今後も成長していくと思われます。インドでは人々を収容するためのビルが高層建築になっていますが、パキスタンも同様で、ビルは高層化が進んでいます。そのため需要があり、グレードのよい鉄鋼が求められるのです。この地域は地震が発生する地域ですので、弾性だけでなく非常に丈夫な鉄鋼製品を作らなければならないというプレッシャーもあります。品質の確保については政府が強く求めていることでもあります。

 

4. 大量の輸入スクラップを処理するための新たな生産設備はいつ頃追加導入される予定でしょうか?また、そのために利用できる資金は潤沢ですか?

 市場の拡大、政府による資本投資支援促進の公約や国内産業安定化のための規制措置、インフラプロジェクトへの国際資本の流入などにより、パキスタンの国内産業は変化に迅速に対応し、適応することができます。Primetals、NCO、三井物産などグローバル大手がすでに条鋼、板製品で優良なビジネスを手にし、溶融、精錬など川上業界だけが追随しています。資金に関しては、パキスタンの銀行による国内での調達に加え、公的輸出信用機関(ECA)、サプライヤーズ・クレジット(輸出に際して輸出業者(サプライヤー)が直接海外の輸入業者に信用供与を行うこと)、EXIMによる資金調達など、利用可能な手段がいくつもあります。

 

5. 中国が現在本格的にスクラップを売りだしていますが、今年のスクラップ市場の見通しをお聞かせください。

 中国という近場からスクラップをより安価で輸入できるとしたら、あなただったらどうでしょうか?これまでパキスタンは米国、豪州、欧州、中東からスクラップを調達していました。米国と豪州からが特に多かったですが。現在、欧州はトルコ需要に対応しています。鉄スクラップ価格は現在、運賃込でトン当たり300~310ドルですが、実際、我々は現在中国からもっといい価格を提示されています。トン当たり285~295ドルのレンジで。ですので、今後、状況はいくぶん変わっていくと思います。

 

6. ムガル・スチールの拡大計画は?

 当社は新たに南部に工場を建設する計画があり、来年の鋼材再生能力は約100万トンになる予定です。建設予定地は戦略的な観点から、港湾都市カラチを選択しました。弊社は自家発電を含め、川上のサプライチェーンのみならず川下にも注力し、垂直統合された鉄鋼メーカーを目指し、新たに完全自動のCCMプラント等を立ち上げる予定です。

 

7. 新設備は鉄鋼溶解設備、つまり高炉を新設するということでしょうか?

 まだ当社の事業開発部門から発表されてはいませんが、事業開発部門は港湾都市カラチで高炉を使用して製錬事業を展開することに関して基本的に確信を持っています。原材料や他のユーティリティの輸入管理が改善され、より効率的かつ競争力のある鉄鋼生産が可能となります。パキスタンには鉄鉱石もありますし、石炭も大量に利用することができます。

 

 国営のパキスタン・スチール・ミルズ社が拠点を置くカラチに、民間企業として高炉で進出すれば歴史的な成果と見なされるでしょう。残念ながら、パキスタン・スチール・ミルズは現在、正常に機能していませんが。先ほどお話ししましたように、本件は現在調査中で、高炉が動かなかった場合には、当社は別の鉄鋼溶解施設を現地に建設する予定です。

 

8. 新たな高炉で使用する鉄鉱石鉱山の入手の見通しは?

 現在、その件については政府と交渉中で、確定埋蔵量が約10億トンの天然の鉱床があり、少なくとも現在はほかに需要がないので、問題がないと思っています。

 

9. 高炉建設を決定する場合、それはジョイントベンチャーになるのでしょうか?

 当社には技術パートナーが必要だと思います。相手先としては、おそらく欧州企業を検討することになると思います。

 

10. もし、インドとパキスタンの間に地政学的緊張がなければ、両国間の間に鉄鋼取引で相乗効果があったと思いますか?もしあるとすれば、どのような?

 仮説を立てるのは難しいですが、大きな市場、例えば米国などを見ると、50州が一体化しています。EUは約30ヶ国に拡大しています。歴史的に常に存在し続けてきたインドとパキスタンにとって、課題というのは何でしょう?インドは、中国よりも大きな消費者市場です。インドがもたらす可能性のある課題や機会についてお答えするのには、より深い分析が必要になりますね。

 

 

(Steelmint/Iruniverse O.Sasaki)

 

 

 

 

 

 

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