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リサイクル企業を「晴れの舞台」に押し出したい! EEFA 佐々木 恵氏

 佐々木恵氏は、世界的な大手選別機メーカーであるトムラソーティング日本法人の社長として10年間活躍した経験があり業界ではつとに高名である。トムラ時代には現場で作業服を着用し手選別もいとわない現場主義の女、として生きてきた。2020年5月に退社後「EEFA 」(東京都港区)を設立し、SDGs環境アドバイザーとしてコンサルタント事業を開始した。

 

 佐々木氏を独立に駆り立てたのは、かねてから気になっていた日本の遅れ。欧米の廃棄物処理やリサイクルを見てきた同氏は、日本の優秀な人材が活かされない状況がもどかしくて残念で仕方ない。

 

 

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■発想を根本から変える

 現在取り組むのは、リサイクル関連企業の人材育成だ。これまでの豊富な経験からM&Aや事業継承にまつわる悩みにも対応する。

 

 佐々木氏は、日本でリサイクル業へのイメージを転換するのに次の2点をあげる。ひとつは、リサイクル品ではなく「二次原料」として認識すること。今後、サーキュラーエコノミー(循環経済)が浸透する世界では、バージン原料の代替に再生品を使うことが必須になるはずだ。原料生産という視点が重要だという。

 

 二つ目は、地方で2~3代目と続く地域を基盤とする企業への評価を高めること。かつて3Kと呼ばれたイメージを払拭することが人材集めに直結する。他業種と比べて比較的高かった給与だが今は大きな違いはない。人事戦略へ攻めの姿勢が必要だ。

 

 佐々木氏は「見た目もきれいにして、自信をもって産廃・リサイクル業を表現できること。本人はもちろん家族も誇りを持てるように、正しく発信していくことが大切」と力説する。

 

 

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■世界一勤勉な日本のリサイクル業界

 「日本のリサイクル業界はどの国より真面目に働いている」と、欧米との比較から佐々木氏は語る。社会貢献度が高いのに反して社会的な地位が低い現実を変えて行きたい。本業に追われ、SDGsを具体化できている所があまりない実情がある。

 

 「今のSDGs時代にアジャストさせることが企業の持続可能性を高めることにもなる。その結果、いい人材が集まり、さらにいい人を呼ぶ好循環が生まれる。

 

 これからはもっと、大学の環境学部で学んだ学生たちの就職先になるようであるべき。地方でリサイクルをマインド高く発信する企業は色々とある。スクラップや産廃をSDGsで横串にして関連づけて、メディアでも堂々とアピールしていけるようにしたい」と熱く語る。

 

 

■人材育成も今風に

 かつての昭和スタイルの「見て学べ」「石の上にも三年」のようなマインドでは、生産性が上がらない。勘やコツといった長期間かけて培う職人技も、数値化して見える化する必要がある。現場で当たり前に行われてきた習慣、例えば始業時間前の朝礼なども、本当に必要か考えるべき。社員が辞めると今は替わりの人材はいない時代なのだから。

 

 例えば、急成長して社長一族が回してきた会社の場合、組織作りが追いついていないケースが多い。そういった企業に佐々木氏は、研修を実施している。マネージャークラスを育成して、弱いマネジメント面を強化したいといった要望もある。中堅社員以外にも、新入社員、幹部クラスも対応しているという。

 

 未来に焦点を合わせて第3、第4世代の育成に取り組むことが、日本の環境リサイクルには重要だ。佐々木氏は、SDGsカードゲームの手法を取り入れるなど、今の時代に合うやり方で、要望に合わせて研修をすすめる。

 

 

■リサイクル意識は高いのに

 日本は、ゴミの分別など一般のリサイクルの意識は高いはずだが、業界となると遅れている感が否めない。処理優先という考えで今世紀まで来てしまったようだ。

 

 欧州では容器包装材はデザインする段階から2次利用が考えられている。リサイクルパレットに加工しやすいような仕様にしているのだ。アルミ缶スクラップを90%以上使うエバー缶の米国ノヴェリス社も二次原料に積極的に取り組む好事例だ。

 

 新品よりもリサイクル材の方を買うことが大事であるという消費者教育は小中高大を通して必要だ。例えば、リチウムイオン電池の入った電子たばこは、デポジット制にするのはどうだろう。といった発想が生まれる。そうした環境意識の底上げが製造業での材料選定にも影響していくはずだ。

 

 さらに、法整備の見直しも必要だ。約1兆円の預託金が使われぬままと言われる自動車リサイクル料金も、有効活用されていないのは何とも残念だ。

 

 これからは、人口減少の日本で右肩上がりの製造業というのは期待できないだろう。「一般製造業で10年働いても平社員のままだが、リサイクル業界で10年頑張ればプロフェッショナルになれる。そんな夢を研修でも伝えていきたい」と佐々木氏は意気込む。

 

 佐々木氏は元々、外資系の産業機械企業メーカーで様々なブランドの製造現場改善を達成してきた。根っからの技術系だ。やわらかで気さくな人柄と同時に、目的に向かって追及しつづける鋭さと忍耐強さを感じさせられる。そんな佐々木氏の意識改革のコンサルタント事業がリサイクル業界のイメージをガラッと変える日が楽しみだ。

 

 

(IRUNIVERSE FukuiN)

 

 

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