E scrap市場近況#2020秋 非鉄製錬需要旺盛続く
コロナパンデミックでも唯一、その需要が落ちていないのはE scrapだけである。買い手である銅製錬メーカーの需要は旺盛、金相場は高水準維持でES(E scrap)サプライヤーにとっても好環境。ということでスクラップ市場のなかで売り手買い手双方の思惑が一致し、かつともに利を上げることのできる唯一のスクラップアイテムといぅて過言ではない。いや、もはやESはスクラップではなく、貴金属のひとつといっても良い。銅製錬メーカーでは実際、ESは換金性のある金(最終的には)とみており、他の銅スクラップなどとは違う需給性格をもっている。金の需要があろうがなかろうが製錬メーカーは買う。この点かES独特の市場性でありユニークなところ。
金建値の推移グラフ(円/グラム) 3ヶ月
HDD基板スクラップ相場の推移グラフ(円/キロ)3ヶ月
さて、そのESは国内銅製錬各社ともに欲しい、の一言だが、各社とも共通しているのは高品位系が欲しい、ということ。いまの高品位基板というのはトン中200g以上あれば高品位といえるのだが、こうしたものはそう滅多には出ない。ゆえにESサプライヤーはブレンド技術を駆使して(低品位に高品位を混ぜるだけだが。。)一定の貴金属評価が出るようにしている。あるいは物量多目にしてTCを下げるなどの工夫を行なっている。
実際世の中に流通するESの8割は低品位系。残り2割が高品位だ。基板メーカーの技術革新により高い材料は少なくして安い材料を多くして、かつ性能も向上させている。ゆえに10年前からすると基板にあける貴金属含有量は平均して1/5程度にまで落ちていると聞く。かわって銅、アルミが増えている。言うまでもなくアルミは銅製錬にとって避けるべき金属。
DOWAは高品位基板の供給は欧米からの輸入でカバーしている。月間平均650〜800トンの輸入量。三井金属も高品位系を欲しがっている。
JX金属も輸入は3000トン以上は輸入しているのだが、大口のマレーシアからがロックダウンなどで減っていることで現在は国内ソースからの集荷を強化している。日立は入り過ぎて過剰在庫。佐賀関送りが増えている。
海外輸入は貿易統計でも減少していることがわかる。
→(関連記事)2020年8月 E-SCRAP輸入統計分析 2017年2月以来の1万トン割れ
米国からの輸入も落ちているのは米国ロックダウンと経済活動低下の影響が顕著に現れている。北米にはグレンコアのホーン製錬所があるが、こちらへのESの入りもやや落ちているようである。しかし3年前のように買いにくい状況ではないようだ。ホーンもESの増処理を図っている。
そして日本の三菱マテリアルは年間14万トンのES扱いで世界一!を達成し、さらに20万トン処理を目指しているのだが、なかなか今度は不純物増などの影響もあり難しいのてめはないかと予想。しかし輸入、国内購入ともに旺盛変わらず。輸入サプライヤーはOUSEI商事、阪和興業がメイン。月間5000〜7000トンの輸入量。
(IRuniverse)
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