茶の湯とお菓子と、自然を愛でる心~京の都でSDGsを考える~
先日機会をいただき京都を訪れました。
秋も徐々に深まり、紅葉の美しい季節も近づいて参りました。
9月の中秋の名月も各地で美しく、鑑賞できたところが多いようで幸せな気持ちになりました。
今年の十三夜は10月18日(月)ですので、十五夜をご覧になれなかった方はぜひ夜空を見上げてみてくださいね。
いつもは海外での取り組みが気になり、取り上げさせていただくことが多いのですが、今回は私たちのルーツである日本文化からSDGsを考えてみました。
古くからの日本の家屋は、自然に囲まれているものが多く、家のつくりも、夏は涼しく、冬はあたたかくなるように工夫がされています。
通風を活かした商家の座敷(日本民家園)(出所:自然エネルギー政策研究所より)
日本の家屋の特長は、太陽の光と風の取り入れ方にあるそうです。
特に湿度の高い日本では、夏涼しく過ごす工夫が数多く見られ、強い夏の日差しを遮るため、分厚い茅葺きの屋根を採用しています。また、母屋の裏側に森を配置するのは、風よけだけでなく夏場に涼しい風を屋内に取込む工夫のようです。日本の民家は風を上下左右に入れたり、防いだりすることで、温度や湿度の調整をするようにし、快適に過ごせるように工夫していました。
清水寺
寺院や神社はこれだけが理由ではないかもしれませんが、同じように自然に囲まれていますね。
私が幼い頃から親しんできた『茶の湯』の世界でも、季節に応じて、夏は涼やかに、冬はあたたかみが伝わるように、様々な工夫がされていたように感じます。
例えば、お釜(お湯を沸かすもの)と水差し(お水をくむ器)の位置は冬と夏では変わってきます。お客様からみて、夏には涼しげ映るように水差しが手前に、冬は暖かい湯気が少しでも近くなるようにお釜が手前に来るように、場所が変わります。
夏の季節
冬の季節
実際の体感も大切ですが、目で見て感じるものへの配慮が感じられます。これは日本独特のものかもしれません。
また、茶の湯のお席では、お茶を頂く前にお菓子が振る舞われます。このお菓子は材料が同じものでも、春夏秋冬、季節により色使いや形が変わりそれが季節を感じさせるものになります。
伊織のもみじ(出所:京菓子 笹屋伊織より)
日本の古くからの文化には、自然を楽しみ、自然と共存して生活を営んでいくということが常であったのかもしれません。持続可能な社会を目指す上で、自然、環境を守るのは大切なこと。
それに加えて「自然を愛でる」という意識も取り入れてみたら、さらに楽しみも加わって素敵かもしれないと思いました。
現代のように電気等で快適に過ごすことも最近の気象状況では必要なことと思いますが、家の中に1つ、2つ季節のものを取り入れると、また気分も変わるかもしれませんね。
<参考情報>
・日本の伝統的な家屋におけるエコな仕組み | 代表と研究員のブログ | 自然エネルギー政策研究所(リニューアボー) (renewable-e.net)
・表千家不審菴:茶の湯 こころと美 Chanoyu Omotesenke Fushin'an
・伊織のもみじ | 京菓子 笹屋伊織 (sasayaiori.com)
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星野月子(Tsukiko Hoshino)
元公務員、現在はパラリーガル、モデル、アーティスト。それぞれ1人1人がどうありたいのか、ありのままのその人を大切にしたいと感じながら活動中。
ウィンナーワルツ(社交ダンス)や絵を描くこと、茶道、YouTube など表現することが好き。
今この瞬間に心に芽生えたもの、感じたことを大切にして、身体中に染み渡るその感覚に浸って、常に新しいことにも触れていたい。
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