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ノルウェーからの風#2 ノルウェーEV(電気自動車)市場

 ノルウェー議会は2025年までに新車販売を100%ゼロエミッション車(走行中のCO2排出量がゼロ)にすることを目指すとしている。自家用車だけでなく街中を走るバスに至るまでEVを目にし、日本から移住したばかりの頃は驚いたものだったが今や当たり前の光景となっている。ノルウェーはなぜこんなにもEV普及率が高いのだろうか。ノルウェーが導入している制度や人々の利用状況、また昨今の電気代高騰との関連も最後に触れてみたいと思う。

 

 ノルウェーのEV普及率が上がった要因として考えられるのは自動車価格、減税、そして安価な電気代である。日本でもエコカー減税などガソリン車を購入するより特典があるようだが、ノルウェーははるかに多くのメリットがあるようだ。以下に1990年以降導入されてきた制度や待遇を見ていただきたい。

 

 

表

 

 

 以上にあげたものは全国的に実施されているものであり、このほかにも都市ごとに優遇措置が存在している。

 

 「さぁ、これから新車を買うぞ!」と思って調べたときにこれだけEVが優遇されていたら、むしろEV以外を買おうという人はよっぽどのマニアかEVを買うだけの資金がなくて中古で安いガソリン車を購入せざる負えない理由がある場合だけで、大体の人達がEVを選択するのは当然なことなのかもしれない。そして実は、ノルウェーはガソリン価格が周辺北欧、ヨーロッパ諸国と比較しても高いためランニングコストを考えた場合にもEVの方が魅力的である。

 

 以下の表は2022年8月29日のヨーロッパと周辺各国のガソリン料金である。

 

 

図

 

 

写真 ノルウェーは原油産出国だが、ガソリンやディーゼル燃料の価格が周辺国と比べても高いのが特徴だ。実際に、2022年3月時点で48万台以上がすでにEV車となっており、2011年に3000カ所しかなかったチャージングステーションも今や17000カ所に増えたという(その内3300カ所以上が急速充電可能なステーション)。もちろん家庭用の充電ケーブルからも充電が可能だが、時間がかかることもあり、多くの人が急速充電を利用しているようだ。急速充電が可能なチャージングステーションはというと主要道路では50kmおきに設置されるなどインフラも整備されているため、充電におけるストレスもなさそうである。

 

 

写真

 

 

写真 ただ、少し気になるのは現在電気代が高騰している(特に南部)地域での充電事情はどうなっているかということである。CloudChargeというアプリで確認してみたところ、それぞれのステーションや出力kW数に応じて価格は異なるようで、1kWあたり2クローナのところや1分あたりで料金設定されているとこをもあった。1kWあたり2クローナというとニッサンLeaf(62kWh)をフル充電すると124クローナ、(1クローナ=14.39円で計算)1784円(小数点以下切り捨)。

 

 では、ガソリン車でニッサンLeafと同等のパワーを持つトヨタクラウンアスリート 3.5Lを比較例に出して計算してみよう。60リットルで約600km走行可能とあるので、ガソリン1L=23.10クローナという先ほど挙げたデータを基にすると23.10クローナ×60L =1386クローナ、19944円(小数点以下切り捨て)。単純計算してみるだけでも、料金には10倍ほどの差があるのがわかる。もちろん燃費のよいガソリン車やハイブリッド車などもある上、車種のデザイン性など、燃費だけが車を購入する際の理由ではないのはわかる。しかしながら、少なくともノルウェーにおいてはEVへの様々な優遇政策で得られるメリットと、Green Tax(排出されるCO2の量によって税率が変動する制度)でガソリン車に課される高額な税金というデメリットを合わせて考えると、やはりEVのほうがコストパフォーマンス的に良いように思える。

 

 オスロではワイヤレスのEV充電システムも試験的に導入されているというニュースも報道されており、ノルウェーのEV市場と技術革新は拡大していくと思うが、電気代高騰が続くと日々の出費はかなり見込まれるのでこれからどうなっていくのかは注目していきたいところである。

 

(※文中の写真はすべて筆者が撮影)

 

 

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N. Anzai

 ノルウェー在住。大学では国際政治を専攻。日本語、英語、韓国語(ノルウェー語は現在勉強中)。平和主義がモットー。時事ネタから伝統文化、旅行、アニメ、アイドル等々、興味のあるものはいくらでも語れる。友禅職人をしていたこともあり布や美術・工芸も大好物。

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