銅スクラップ市況 足許上げ一服――LME銅相場を動かす材料が目白押し
10月に入って小刻みに上げてきた銅スクラップ相場は、LME銅相場が上下動を繰り返しながらも概ね1トン7500∼7700ドルの水準で推移する中、足元弱含み気配を見せながら上げ一服場面を迎えている。ただ、公表が延期されていた中国の7∼9月期GDPが24日発表になり流動的要素が一つ減ったものの、直近の相場波乱要因となったLMEの露産金属の取扱禁止問題の決着や、追加利上げがテーマになりそうな米のFOMC(連邦公開市場委員会)も目先控えており、その決定次第では再び上げ基調に転じることになりそう。
指標となるLME銅(現物)は先週、週央19日に一時1トン7420ドルまで下げる場面もあったが、それ以上値を消すことはなく、結局、21日には値を戻して1トン7545ドル(17日比170ドル安)で取引を終えた。ただ、世界景気の減速懸念などが重しとなって上値は重く、小幅なレンジでの値動きが続いてきている。国内の銅建値もLME相場の動きに合わせて20日に1ドル117万円まで下げたが、週明けの24日には119万円と先週初めの水準に戻った。
銅スクラップ相場は10月に入って上げ基調を示していたが、そうした川上の相場展開を映して足元、一服気配から弱含む気配も見える。1号ピカ線で1㎏1080-1085円、雑ナゲットで同1020-1055円、被覆銅線で同360-370円となっている。
ただ、市場関係者の話を聞くと、相場形成の裏付けとなる市場の需給関係について、ルート別で若干の認識の違いがでた。メーカー系が「需給のバランスが良い状態が続いている」とする一方で、ディーラー系は引き続き「品薄状態」としており、年内の相場予測も「弱含み」と「もちあい」に予想が分かれている。
24日に発表された中国の7-9月期のGDPは実質で前年同期比3.9%増だった。中国政府が目標に掲げる5.5%前後の年間成長率の達成はこれで難しくなったとの見方が大勢だが、事前予想にあった3%台前半の伸びは上回っており、これをLME銅相場がどう織り込んでいくのか。今週のポイントになりそう。
また、LMEが露産金属の取扱について市場関係者から意見募集している問題も早晩結論がでる見込みだ。海外メディアの報道で、この問題が最初に明らかになった9月下旬には相場は大きく上昇した。結論次第で相場の波乱要因になりそう。また11月1~2日には追加利上げがテーマになりそうな米のFOMC(連邦公開市場委員会)もある。LME銅相場を動かす材料は目白押しで、その影響が波及する銅スクラップ相場の先行きからも目が離せそうにない。
(IRuniverse G・Mochizuki)
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