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日本電産(6594)23/3Q3決算WEB説明会メモ 構造改革費で大ナタもぶれない成長戦略

21/3期1.0%増収42.8%営利増に増額修正、戦略製品の伸びでさらなる成長が見える

株価7551円(1/24) 時価総額45025億円  発行済株596284千株 

PER23/3期DO予(72X)PBR(2.86X)配当70円  配当利回り0.9%

 

要約

・23/3Q3累計業績は20.8%増収も材料高、構造改革費増で6.8%営利減、但し円安で最高益

・23/3期、環境悪化、膿出しの抜本的収益改造断行し営利1000億円減額し35%営利減予想

・今期の構造費用は一過性で24/3期以降、ビジョン2025の達成に向けぶれない成長戦略

 

23/3Q3累計業績は20.8%増収も材料高、構造改革費増で6.8%営利減、但し円安で最高益

 

 23/3Q3WEB決算説明会が1/24に開催された。23/3Q3累計業績は売上高1兆7000億円(20.8%増)、営業利益1244億円(6.8%減)、税前利益1419億円(9.7%増)当期利益1041億円(4.8%増)と、売上、税前、税引利益で過去最高額更新し着地した。

 但し四半期推移では23/3Q3はQ2比較で3.6%減収、45.8%営利減と、構造改革費用の110億円を除いても24.6%営利減となっており、足許で市場環境悪化の影響が出ている。

 

 セグメント別では精密小型モータが3338億円(3.9%増、為替円安効果除くと12.9%減)、営利289億円(22.1%減、同33%減)と実質減収減益に。HDD用が610億円(20.5%減、同44%減)、その他小型モータが電動化製品化、ブラシレスモータへの置き換え等も景気減速で実質では減収で2727億円(11.6%増、同3.0%減)に止まった。

 

 利益はHDD用の大幅減からMIX悪化で実質44%営利減に。車載製品は売上高3945億円(31.0%増、同18.8%増)ながら営業損失25.6億円(134億円悪化し赤字転落、同159億円悪化)に。トラクションモータシステムの拡大による増収効果が大きいが、半導体や部材不足による自動車生産の生産調整の影響が大きく受けた。利益面では原価高騰に対し売価反映を実行、トラクションモータの収益改善が進んだものの、事業環境の変化に対応、欧州等で構造改革費用137億円を計上したため大幅赤字転落となった。このため構造改革費用控除前では111億円(2.9%増)と増益となるが、為替影響を除くと21%減益に止まる。家電・商業・産業用は売上高6813億円(18.3%増、同1.5%減)、営利589億円(1.7%増、同20.9%減)。増収は発電機事業の増収があったものの、家電などが伸び悩み、MIX悪化、原価高騰などで実質減益に。機器装置は売上高2229億円(44.5%増、同36%増)、営利385億円(28.2%増、同25%増)と、5G関連向けに需要好調な半導体製造装置、工作機械メーカー買収効果も加わり、大幅収益拡大に。電子・光学部門は売上高641億円(23.3%増、同16%増)、営利123億円(67.1%増、同68%増)と固定費改善から大幅増益に。

 

 全体では景気減退影響を受けてQ3に収益が大幅悪化、車載事業での構造改善費用計上もあり、収益の伸び悩みが顕著に。

 

23/3期、環境悪化、膿出しの抜本的収益改造断行し営利1000億円減額し35%営利減予想

 

 23/3業績予想について足許の市場環境の悪化、さらには欧州での車載事業の抜本的な構造改革の断行を決断、23/3期会社予想を売上高2兆2000億円(期初計画比1000億円増額、14.7%増)、営業利益1100億円(同1000億円減額、35.4%減)、税前利益1200億円(同860億円減額、29.4%減)、当期利益600億円(同1050億円減額、55.8%減)予想と利益の大幅減額を断行した。

 

 基本的に「創業から50年たち、小さな垢がたまっており、これを一掃する」とした。前社長の欧州での車載事業について抜本的な構造改革が必要と判断、パワーステアリング用などの車載モータ中心にQ4で500億円の構造改革費用(リコールリスクも含む)を計上する。なお売上では1000億円増額しており、売上面での拡大は順調に推移、為替前提は1$=110円、1€=125円を変更しておらず、現在の1$=130円推移では売上で500億円、営業利益で20億円程度の上振れはあり得る。

 

今期の構造費用は一過性で24/3期以降、ビジョン2025の達成に向けぶれない成長戦略

 

 同社は2022年4月に中期戦略目標としてビジョン2025を掲げ、26/3期売上高4兆円、成長の柱となる車載売上高1兆円~1.3兆円を目標とした。

 

 

 今回、抜本的な構造改革「WPR-X」を発動、車載事業での収益重視を打ち出し、トラクションモータの24/3期黒字化必達、営業利益率20%も視野に高収益体制を構築するとした。今回の1000億円減額は一過性の費用と考え、24/3期は営業利益の復元に加え、E-アクスルの収益化を実現し「ビジョン2025」の達成に向かい邁進するとした。

 原動力となる車載向けの拡大について、量的拡大から収益重視に舵取りを変更、第1世代の早期退出、第2世代の量産(2月に100kWの量産、その後150KWも早期量産化)を急ぎ、EVの新規ユーザー獲得でMIX良化を図り、第3世代ではコスト半減で収益力を20%以上まで高めるとしている。足許の販売状況は好調で暦年ベース175%増となっている。

 

 加えて、精密小型モータについては、様々な家電、現在エンジン駆動している様々な機器で電動化、省エネ化、またコードレス駆動化が進展、パラダイムシフトが急速に進展、事業ポートフォーリオ転換を加速する。さらにその他製品グループでは日本電産シンポでの機械事業グループでM&Aを含め、26/3期に事業規模5000億円、31/3期には1兆円事業に拡大させるとしている。

 上記の他にも様々な分野で変革を実行する方向で、ビジョン2025の達成に向けぶれない成長戦略が語られ、2030年度の売上高10兆円の実現に向けてもブレがない発言となった。失敗ではなく経験を活かし、日本経済に明るい未来を示す企業としての活躍を期待したい。

 

 

 

(H.Mirai)
 

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