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工作機械工業会12月受注確報 12 月0.9%増1405億円、歴年は14.2%増1兆7596億円

12月受注0.9%増1405億円と23ヶ月連続1000億円超、暦年14.2%増1兆7596億円

 

 1/26の15時に日本工作機械工業会の12月工作機械受注確報が開示された。12月受注は1405億円(0.9%増)と3カ月ぶりにプラスに転じ2ヶ月ぶり1400億円超、23ヶ月連続1000億円超に。12月としては2017年の1659億円、2014年の1442億円に次ぐ過去3番目の数字。これで2022年受注額は2年連続で増加し1兆7596億円(前年比14.2%増)、9月に上方修正した工業会暦年修正予想1兆7500億円をクリアした。

 

 

外需は11.6%増983億円と2カ月ぶり950億円超、12月として2017年1025億円に次ぐ

 

 外需は983億円(11.6%増)と2カ月ぶりの950億円超、12月としては2017年の1025億円に次ぐ高水準。但し5月以来1000億円超えはなく、この間で円安進行している事を考えると実質は高原状況から減速方向にあるとも見える。主要4業種では同月比で「電気・精密」を除き増加、一般機械は285億円(10.6%増)と3ヶ月連続280億円超と高水準持続。自動車は262億円(24.6%増)とインドの大口受注、北米増などで7ヶ月ぶりに260億円超に。航空・造船・輸送機械は85億円(51.4%増)と北米の大型受注が寄与。一方、電気・精密は115億円(16.5%減)と5ヶ月ぶり120億円割れに。

 

 主要3極別では北米向けが298.5億円(7.9%増)で3カ月ぶりに増加、アメリカが266億円(6.0%増)となっているが、航空機向け大型受注が寄与し航空・造船・輸送機械が56.9億円(44.8%増)も、一般機械11.2%減、自動車10.6%減、電気・精密7.9%減と実は需要減退方向にある。アジアは471.3億円(14.4%増)と3ヶ月ぶりに450億円超に。国別では中国297.1億円(1.3%増)と5カ月連続増加、中国の業種では自動車93.1億円(5.4%増)とEV投資や大型バス投資が継続、一般機械が119.4億円(41.4%増)と月間で本年最高額となる。

 

 一方、電気・精密が57.5億円(31.0%減)と急減継続。その他ではインド76.0億円(2.8倍)は初めて70億円を突破(従来2017年6月59.4億円が最高)、自動車向け大型受注が寄与している。

 またタイも22.7億円(57.4%増)、金額は小さいながらシンガポール3.7倍などが目立つ。欧州は192.9億円(10.3%増)と2ヶ月連続増加。フランス2.9倍、トルコ95.6%増、スイス71.3%増など目立つ。一方、欧州最大のドイツは44.6億円(25.0%減)となっているが4ヶ月連続40億円超は高水準。業種別で電気・精密が26.3億円(77.5%増)、自動車も32.3億円(2.9%増)と堅調で生産不振とは連動しない動きが続いている。但し一般機械は46.0億円(7.2%減)と3ヶ月ぶり50億円割れに。

 

 

内需は同月比17.4%減の423億円は4ヶ月連続減でJIMTOF2022後の商談も空振り

 

 内需は423億円(17.4%減)と4ヶ月連続で前年同月比減、3ヶ月連続の500億円割れ、1月の442億円を下回り2022年最低の数字となった。主要4業種は同月比で全て減少。自動車は100.3億円(8.7%減)と2カ月連続減少、半導体不足が長引く中で設備投資が一服している。一般機械は157.9億円(23.5%減)と補助金効果が反動減となり4ヶ月連続マイナス、19ヶ月ぶりの160億円割れに。電気・精密も63.4億円(14.2%減)と4ヶ月連続減少、半導体関連一服が影響している。全体として半導体関連の減退、中国のコロナ影響、金利上昇などで投資マインドが減退している模様。

 

 

 12月販売は19.5%増1540億円と9月1631億円以来の数字で受注残高は8968億円に

 

 12月販売は1540億円(19.5%増)と、9月の1631億円以来の数字。BBレシオが受注減少で0.91となったが、受注残高は8968億円(同期比27.9%増)と2022年10月、11月、8月に次ぐ4番目の受注残高で、依然として高水準の残高を抱えている。

 

 

主要7社12月受注は1.1%増443億円と25ヶ月連続増、暦年では21.6%増5353億円

 

 日刊工業新聞がまとめる主要工作機械7社の12月受注実績は443億円(1.0%増)と25ヶ月連続プラスとなった。内訳は輸出300億円(6.5%増)と堅調、国内は143億円(8.7%減)と2ヶ月連続で減少した。12月は工業会とほぼ同じ状況となっている。7社中牧野フライスだけが内外ともに増加しているが、海外子会社が計上する受注は減少、ニデックOKK、芝浦機械、日本電産マシンツールが内外ともマイナス、ツガミは輸出が4ヶ月連続増などまだら模様。

 なお22年暦年では5353億円(21.6%増)と工業会の伸び率を上回る。内訳は輸出3444億円(19.5%増)、国内1909億円(25.7%増)と、内外ともに工業会伸び率を上回る。企業別では芝浦機械を除く6社が内外ともに増加した。企業別にツガミ、牧野フライスが暦年で最高受注額を記録、輸出では牧野フライス、オークマが過去最高額となっている。

 

 

22年受注14.2%増1兆7596億円で外需最高額、23年工業会予測9.1%減1兆6000億円

 

 2022年暦年の工作機械受注額は1兆7596億円(14.2%増)。9月に工業会が増額修正した1兆7500億円に対し、ほぼ予想通りの数字で、2018年の1兆8158億円に次ぐ受注額を記録した。また販売額は1兆1564億円(22.2%増)で2年連続増、過去2番目の金額に。

 

 受注内訳は外需が1兆1564億円(12.1%増)、内需が6032億円(18.2%増)と、工業会予測の外需1兆1500億円、内需6000億円に対してもほぼ計画線。外需は2018年の1兆654億円を抜いて過去最高額を更新。一方、内需はピーク時2018年の7503億円に対し8割水準で過去6番目の金額ながら4年ぶりに6000億円を超えた。

 

 外需は主要3極全て前年比増。中国はEMS特需剥落もEV関連、自動化ニーズで2年連続過去最高額を更新、アジア全体でもインド、台湾、マレーシア向け等過去最高を更新。北米も幅広く需要が拡大し、円安寄与も有り過去最高額を更新、欧州はウクライナ問題などあるも2年連続増加で過去4番目の受注額となった。

 

 

 内需も主要4業種全てで増加。2000年以降で電気機械、金属製品、その他製造向けが最高受注額となったが、自動車は18年の54%、一般機械82%、航空・造船・輸送機械も70%水準に止まる。

 

 2022年の実績を踏まえ、工業会は2023年の工作機械受注を前年比9.1%減の1兆6000億円に減退する予測を示した。内訳は外需が9500億円(17.8%減)、内需は6500億円(7.7%増)。世界景気減速見通しで外需が2ケタ減少、国内は半導体産業強化や自動車産業の電動化対応投資など、引き続き補助金による設備更新促進策等の後押しで増加するとした。米国は金利上昇影響などが鍵となる見通しも、自動車のEV投資関連、省エネ、高効率化で日本の高精度の工作機械への需要の高まりなどで2ケタ減までは減少しないと見られる。また欧州も暖冬のおかげでエネルギー危機が回避されたこともあり、思いのほか需要が堅調、中国についてコロナ影響が想定より軽微に止まる見通しなど、リスク要因の一部が発生しない可能性がある。一方、国内については4ヶ月連続で同月比減の推移から、様々なリスクを考慮し経営者の設備投資マインドが消極的となっている可能性があり、楽観視は禁物とみられる。全体として円安是正があるものの、外需は10%減程度の減少に止まるとみられ、工業会予測を若干上回る1兆6500億円程度の受注が見込まれる。

 

 

(H.Mirai)

 

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