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RSテクノロジーズ(3445)22/12期決算メモ 22/12期最高益大幅更新も23/12期不透明 

22/12期44.0%増収89.3%営利増は計画通り最高益で着地、23/12期は拡大一服見通し

株価3685円(2/16)   時価総額968億円      発行済株26278千株

PER(23/12DO予想:14.3X)PBR(2.06X)配当23/12DO予17.5円 配当利回り0.5%

 

要約

・22/12期44.0%増収893%営利増はほぼ計画線で着地、円安一服を考慮すると実質増額

・23/12期半導体生産伸び悩み、円安一巡で収益伸び鈍化見通しも24/12期の飛躍に期待

 

 

22/12期44.0%増収893%営利増はほぼ計画線で着地、円安一服を考慮すると実質増額

 

 22/12期決算が2/13に開示され、売上高498.64億円(12/8増額予想比4.36億円未達、44.0%増)、営業利益130.08億円(同0.18億円増額、89.3%増)、経常利益155億円(同7億円未達、75.5%増)、税引利益77.39億円(同2.39億円増額、2.3倍)と、ほぼ増額修正予想通りに着地した。実際は為替の円安一巡もあり、実質では若干の増額修正だったとみられる。

 

 セグメント別では再生ウエハが売上高178.91億円(40.7%増)営利73.13億円(54.5%増)とフル生産状況が続いている模様で大幅な収益拡大に。300mm再生ウエハ事業が繁忙また200mmもパワー半導体など活況な分野も多く、繁忙が続いていると見られる。また中国でのウエハ事業もパワー半導体中心に需要が旺盛で、能力増強効果寄与し、プライムシリコンウエハは売上高206.57億円(39.8%増)、営利59.96億円(2.36倍)と新工場の生産拡大、生産性向上などで利益率が大きく向上した。半導体関連装置。部材関連も売上高112.66億円(33.3%増)、営利9.15億円(2.4倍)と、東京エレクトロン向け等のエッチング装置関連部材の拡大などが寄与した模様。

 

 全体を通じ、半導体生産が下降局面も300mmウエハ不足状況に変化はなく、先端半導体など試作などでの検査ニーズの拡大等もあり300mm再生ウエハ需要は底堅く、プライムウエハではパワー半導体などの好調で収益性もアップ、全体として収益拡大を維持した。

 

 なお説明資料で中国、台湾の収益寄与が開示されていないが、RS単体では売上高165億円(26.1%増)、営利44.64億円(56.4%増)、プライムウエハ事業はほぼ中国事業で206.57億円(39.8%増)、営利59.96億円(2.36倍)となっており、何れも好調、また子会社公開したGRITEKについては売上高1175百万元(35.2%増)、営利429百万元(2.7倍)税引利益429百万元(2.3倍)、親会社帰属利益351百万元(2.4倍)となっている。

 

 四半期の推移ではQ4で前年同期比22.7%増収、30.9%総利益増、43.7%営利増、23.9%営利増となっている。売上総利益率では39.3%と同期比2.6ポイント向上し、過去最高の総利益率を記録している。なおQ3比較では9.0%減収、6.2%総利益減、13.0%営利減、経常利益は円安一巡もあり33.3%減となっており、さすがに半導体生産の一服を受けているとみられるが、総利益率では1.2ポイント向上しており、収益性の面では生産性向上効果が出ている模様。特に再生ウエハは営業利益率で42.9%まで上昇、300mmウエハの構成比比率アップ、加工賃の上昇も寄与している模様。プライムウエハはQ4に1.9%減収、16.4%営利増、Q3比で19.3%減収、31.1%営利減となっている。同事業は中国事業であり、Q4はコロナによる混乱が直撃したとみられる。しかしそれにもかかわらず同期比微減収に止まり、利益は新工場の生産性向上効果などが寄与して利益率が同期比4.2ポイント向上している。仮にコロナによる混乱がなければQ3比でも増収増益を維持していた可能性がある。

 

23/12期半導体生産伸び悩み、円安一巡で収益伸び鈍化見通しも24/12期の飛躍に期待

 

 22/12期は7月段階で既に新中計の25/12期予想の売上高450億円、営利100億円、経常利益116億円を凌駕する予想となり、結果として新中計を売上で48.6億円、営利では30.18億円の上振れ前倒し達成となった。また22/12期の設備投資では総額で約60億円の設備投資(内訳はウエハ再生で25億円、プライムウエハで20億円、半導体装置他14.6億円)がなされ、加えてプライムウエハ持分法適用会社への投資額32.5億円を合わせて92億円と投資額となっており、計画線に沿った投資がなされたと見られる。

 

 現状、再生ウエハ事業は半導体生産見通しの下方修正もあり、最大手ユーザーのTSMCも伸び率鈍化し、23/12期は再生ウエハ事業の伸び率鈍化は避けられない。また中国のプライムウエハ事業も、パワー半導体、アナログ半導体などの伸びは継続も全体として伸び率大幅鈍化が見込まれる。利益面では設備投資の拡大継続、人件費などのコストアップ、また為替も円安効果が剥落すると見られる。本決算発表時で23/12期予想が開示されなかったが、全体として経常減益が懸念され、本格的な収益拡大は24/12期となろう。

 

 

 なお2/27のWEB決算説明会では設備投資計画も含め、中期計画とともに何らかの方向性が示されると思われるが、昨今の半導体需要の停滞の中でもウエハ再生、中国プライムウエハ事業においてはエピウエハ供給が多く、依然として供給能力不足の状況となっている。中国で主に手掛けるプライムウエハはFZ法(フローティングゾーン:棒状多結晶シリコンの下に種結晶を付け誘導加熱で境界面を融解して単結晶を作る)でありMEMS、IGBT、RFデバイスなどに多用されている。同社では最近、8 インチの真性およびガスドープゾーン溶融シリコン単結晶の開発に成功、IGBTデバイスの幅広い用途に伴い、大口径ゾーン融合シリコン単結晶材料の需要が急速に伸びているが、8インチで供給能力を持つメーカーは世界でも数社に限られ、CZ方式での12インチウエハ量産に向けた設備投資を含め、引き続き高水準の設備増強が続くとみられる。また半導体装置関連部材ではドライエッチング装置向け部材市場で本格的なシェアアップが期待され、こちらも設備増強が図られると見られ、24/12期以降の収益大幅拡大に期待がかかる。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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