日本の銅製錬業60年小名浜共同銅製錬のBz仕組みの終焉
昨年9月9日福島県小名浜市の小名浜製錬所の最大株主の三菱マテリアル㈱(MMC)はDOWAメタルマイン㈱(DOWA)と古河メタルリソース㈱から株式を買い取り2023年3月31日に完全子会社とすると発表した。
共同製錬の仕組みは、参加する株主が所有する株式比率に応じて銅精鉱など原料を持ち込み、持ち込まれた銅原料の製錬費用を支払い、回収率に応じた銅地金を受け取る方式である。
昔筆者が子供の頃に近所には粉屋さんがあり、そこに豆を持っていくと、その場で“きな粉”にして呉れる仕組みがあった。粉屋さんは豆の重量の何割かを貰う形式であった。粉屋さんは米なども米粉にして呉れるので、近所の住民には非常に有難い仕組みであると子供ながらに感じた。
しかしその後きな粉が近所の他の店で販売し始めた結果、いつしか粉屋さんは営業をやめてしまった。
三菱マテリアルが発表した共同製錬の仕組みの解消の説明がなされていた。
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完全子会社化の理由
当社は、「環境親和型製錬ビジネスのリーダー」になるべく、2030年度末までのE-Scrap処理年間20万トン体制の確立、及び当社グループが有する多様な拠点間のマテリアルフローを最適化し、EScrap中に含まれる多様な金属元素の分離・回収、製品化を促進させるための管理・開発(マテリアルグリッド)の強化等を進めております。小名浜社を完全子会社とすることで、同社小名浜製錬所※において新たにリサイクル原料の前処理施設の建設計画を推し進めることなどにより、これらの取り組みを更に促進させてまいります。また、小名浜社の機動的・効率的な意思決定体制を確立し、電力料や燃料費をはじめとする外部要因による操業コストの高騰等、厳しい経済情勢の局面を乗り越えてまいります。
当社は、今後もグループ間の連携を継続的に強化することで、企業価値向上を図ってまいります。
※ 小名浜製錬所は、東日本唯一の銅製錬所であり、銅素材・銅合金を安定的に供給するとともに、廃自動車から発生するシュレッダーダスト(ASR)(国内発生量の約15%を処理、国内トップシェア)やE-Scrapの処理等、自動車・家電リサイクルの重要拠点としての役割も果たしています。
今後小名浜製錬所がどの様な原料を処理するかは、上記の発表内容から明確に示されている。
反射炉を保有する小名浜製錬は、60年間反射炉を操業してきた事で、埋め立てが問題となった自動車シュレッダーダストを有償で受け入れる産業廃棄物処理施設の役割を負ってきた。
筆者は28年前に自動車シュレッダーダストの無害化試験を行った経験がある。二重管式のロータリーキルンで酸素を遮断してシュレッダーダストを乾留した結果、炉から出てきたのは、炭化した炭の粉に交じって、綺麗な色の銅線があった。
これを見た自動車リサイクル業界の幹部はこれまで銅線を多量に埋め立ててきた事を明確に知る事となった。現在自動車リサイクル施設では、銅線だけでなくプラスチックの回収も行って、シュレッダーダストの排出量の削減を行って、産業廃棄物の削減を必死に実行している。産業廃棄物の処理費はリサイクル企業には既に大きな出費となっている。更にプラスチック廃棄物を使って焼却発電施設を建設する動きもヤマダ電機なども計画している。
既に、リサイクル業は相当の進化を果たし産業廃棄物を発生する時代では無くなったと認識される。
今後小名浜製錬の副原料の主役がシュレッダーダストからe-Scrapへ変化すると思われる。e-Scrapも多くのプラスチックを含有する為、反射炉内へ直接投入する前にプラスチックを乾溜し、代替燃料ガスを取り出してから金属成分を炉内へ投入すると思われる。その為には大型のロータリーキルンで乾溜する形式が想定される。キルンで回収したガスも反射炉の補助燃料となる。
(IRuniverse Katagiri)
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