サムコ(6387)22/7期上期WEB決算説明会メモ パワー半導体向け活況続き最高益
23/7期20.3%増収18.1%営利増予想で連続最高益更新、パワー半導体向け活況続く
株価(3/25):3685円、 時価総額289億円、 発行済株数8042千株
PER(23/7期DO予)21.9X PBR(2.8X)配当DO予40円 配当利回り1.1%
要約
・23/7上期は32.2%増収、84.3%営利増とパワー半導体向け好調で計画上振れで着地
・23/7期20.3%増収18.1%営利増に変更なく豊富な受注残抱え増額で連続最高益更新予想
・新中計経営計画で25/7期に売上高110億円、営利26億円目指す
・株価は会社予想増額見通しで、パワー半導体関連の主力企業としてややポジティブ
23/7上期は32.2%増収、84.3%営利増とパワー半導体向け好調で計画上振れで着地
特別な仕様、性能を必要とする化合物半導体、高周波電子部品向けCVD、エッチング製造装置に強みを持つ半導体製造装置メーカー。
23/7上期業績は売上高38.48億円(期初計画比0.48億円増額、32.2%増)、営業利益9.64億円(同1.34億円増額、84.3%増)、受注高45.26億円(12.5%増)、受注残高57.05億円(37.8%増)と好調に推移した。半期として収益、受注高、受注残高とも過去最高を更新している。
装置別ではCVD装置が売上7.97億円(47.0%増)、受注6.14億円(59.9%増)、受注残9.71億円(58.4%増)に。オプト分野でLD向けが拡大、電子部品で高周波デバイス向けが堅調。エッチング装置も同様な動きで売上高18.81億円(39.2%増)、受注25.69億円(21.6%増)、受注残33.65億円(39.5%増)と生産が追い付かない状況。洗浄装置は売上高3.67億円(2.4倍)、受注5.20億円(34.0%増)、受注残5.56億円(17.2%増)と表面改質向けが伸長した。部品・メンテナンスでは手が回らない状況もあり売上高8.04億円(6.8%減)、受注8.22億円(27.6%減)受注残8.14億円(1.6%増)となった。
用途別売上では生産用が17.04億円(2.0倍)と、クラスターツールシステム(真空搬送プラットフォームを中心に最大3つのエッチングプロセスモジュールを接続できるシステムで、化合物半導体の材料加工向けシステム)の初号機の出荷(22年12月)、前期の納入遅延分の上乗せもあり大幅増に。研究開発用は13.40億円(10.3%増)とLD,光センサ、パワーデバイス向けなど研究機関、大学官庁、メーカーの研究所向けに拡大した。
利益面では原材料価格上昇も原価低減や操業度効果が寄与、総利益率が50.7%と2.3ポイント向上し、50%を超えた。販管費は旅費などの増はあるものの増収効果が大きく販管費比率が低下し、営業利益が大幅伸長となった。
23/7期20.3%増収18.1%営利増に変更なく豊富な受注残抱え増額で連続最高益更新予想
23/7期会社予想に変更はなく、売上高77億円(20.3%増)、売上総利益36.1億円(13.2%増)、営利16.2億円(18.1%増)予想とした。3/10に半導体MEMSプラズマ加工装置の納期ずれ(受注額8.49億円、23/7Q3から24/7Q3に変更)を開示したものの、計画数字を変更しておらず、豊富な受注残高の消化でカバー可能で、全体としてすべての数字で過去最高を更新する予定を変更しなかったと判断する。
セグメント別予想の開示はないが、クラスターツールシステム、オプトデバイス分野でVCSEL(面発光レーザ)レーザーダイオード用用途向け、光学部品向けが堅調、電子部品分野ではパワーデバイス向け、化合物半導体センサ向けやマイクロLED、miniLED用エッチング措置などが拡大見通し。また新型ALD装置(Atomic Layer Deposition, 原子層堆積:基板上に原子層1層ずつを成膜する「AD-800LP」)を販売開始、ナノレベルの膜厚制御が可能で、先端量子デバイスの開発やSiCやGaNなどのゲート酸化膜形成用に受注拡大が見込まれる。
利益面ではヘルスケアなど新規事業の立上げによるコスト増などで総利益の伸びを低く見ているが、上期では総利益率が50.7%となり、下期に43.1%に大きく下落する要因はないと思われ、下期の総利益率の確保から、営業利益の増額が見込まれる。
新中計経営計画で25/7期に売上高110億円、営利26億円目指す
同社は中計計画として24/7期に売上高88億円、営利21.5億円を目指す。特に同社が強いパワー半導体は、国内外で大型設備投資計画が相次いで実行されている。またEV普及を踏まえ、日本でもSiC化合物半導体の大型設備投資が始まった状況にあり、化合物半導体では製法を含め、研究開発投資も活発化している。
上記のような状況から、会社中計見通しは好採算製品群の受注拡大で研究開発費等の増加があっても高水準の利益率を維持しよう。同社は量産向け装置を増産するというよりも、大学や研究施設、民間企業向けも研究所向けの指向が強い。例えば22年3月に開設したナノ薄膜開発センターではALD装置やミストCVD装置の開発などは、量産より最先端研究開発用という位置づけ。量産機への対応は慎重な姿勢とみられるが、EV普及、世界的なCO2削減に向けた光半導体を含めた次世代半導体デバイスの開発、さらにはメタバースなど仮想空間、ChatGPT、自動運転などではAIチップ開発等、研究所向け中心でも年率20%程度の成長は十分可能とみられる。採算面では高付加価値化が進み、中計予想は利益の上振れ達成も可能とみられるが、今後、量産向けでの展開如何ではさら成長が加速する可能性もある。
(H.Mirai)
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