<世界最大級>中国・吉林省のグリーンアンモニア実証における水素製造でLONGiがシェア1位に
中国の太陽光発電メーカーLONGi(ロンジ)の関連会社LONGi Hydrogen Energy Technology は4月、吉林電力がすすめる「大安 風力・太陽光グリーン水素合成アンモニア統合実証プロジェクト」において、1,000Nm³/hのアルカリ水電解水素製造装置39セットのうち15セットを落札したと発表した。これにともない同社のプロジェクトにおけるシェアは39%となり、実質アルカリ水電解水素製造装置実証における世界シェア1位となった。
同社は昨年にも、中国石油化工(Sinopec)が実施した世界で初めての1万トン規模のグリーン精製・化学実証プロジェクトにおいて水素を出荷している。
大安プロジェクトは、吉林省大安市にあるクリーンエネルギー化学工業団地に建設される世界最大のグリーン合成アンモニアプロジェクトで、総投資額は63億3,200万元。
設備は、出力80万kWの太陽光・風力発電システム、220kVの昇圧変圧器、4万kW/8万kWhのエネルギー貯蔵設備、4万6,000Nm3/hのハイブリッド水素製造装置(PEM水素製造装置50セット、アルカリ水電解水素製造装置39セット)で構成され、6万Nm3の水素を貯蔵し、年間18万トンの合成アンモニアを生産できる。
グリーン合成アンモニアプロジェクトの完成予想図
一般的なアルカリ水電解システム
出所:日本化学工業会
一般的に「アルカリ水電解システム」は、装置の信頼性が高く、低コストで大量の水素を製造できる水電解法として知られる。
電解槽の各セルで発生したそれぞれの水素と酸素を電解液とともに別経路で取り出して気液分離タンクまで運び、電解液から分離後、水素と酸素を製造する仕組みで、分離された電解液は、消費した分の水を追加して、循環ラインから電解槽の各電解セルへ再び使用される。
今回ロンジが提供する設備は、システム水素製造能力4,000Nm3/hのフレキシブルアンモニア合成用の4対1水素製造システム3セットと、DCマイクログリッド用1対1電解水素製造システム3セット。4対1水素製造システムは、1,000Nm³/h電解槽4台に対して気液分離装置1台設置される。
技術面では、気液分離の枠組み最適化することで、高電流密度と高水素生成量の組み合わせを実現し、従来よりもコンパクトな構造にした。
また、大電流を制御する半導体スイッチング素子IGBTとサイリスタの両方に対応することで、電力調整速度を高め、大規模な水素製造を可能にした。
(IRUNIVERSE ISHIKAWA)
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