日鉄エンジニアリング 花王、トヨタ他と第2世代バイオエタノール生産設備着工
日鉄エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:石倭行人、本社:東京都品川区)は、次世代グリーンCO2燃料技術研究組合※1(理事長:中田浩一、本部所在地:福島県双葉郡大熊町、以下「研究組合」)より受注した第2世代バイオエタノール生産※2設備(2024年10月運転開始予定)を着工した。
研究組合は、バイオマスの利用、バイオエタノール生産時の水素・酸素・CO2を最適に循環させ、効率的に自動車用バイオエタノール燃料を製造する研究を通じカーボンニュートラル社会実現を目指している。バイオエタノール燃料は、カーボンニュートラル社会実現のための有力な選択肢だが、現状そのほとんどがトウモロコシやサトウキビなどの可食性バイオマスを原料として糖やでんぷんから直接エタノールをつくる「第1世代」製造技術によるものです。しかし、食料競合回避や安定調達の面から、農業残渣や非可食の植物といった非可食性バイオマスを原料とする「第2世代」製造技術の普及が求められている。
同社は、これまで自動車会社※3並びに消費財化学メーカー※4と共同で第2世代バイオエタノール製造プロセスの開発・最適化を行うとともに、フィリピンにおいて非可食性バイオマス製造実証事業を受託し、設備の建設・操業を通じて様々なノウハウを取得してきた。また、発酵工程で発生するバイオマス由来の高濃度CO2ならびにリグニンを含むプロセス残渣の利用技術の検討も推進している。今回、これらのノウハウ・技術が高く評価され、第2世代バイオエタノール一貫生産設備の設計・調達・建設の受注に至った。
※1 【次世代グリーンCO2燃料技術研究組合の概要】
・設立日:2022年7月1日
・組合員:ENEOS株式会社、スズキ株式会社、株式会社SUBARU、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、豊田通商株式会社、マツダ株式会社(五十音順)
・参考URL:「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」へのマツダ参画について
※2 第2世代バイオエタノール生産プロセスでは、セルロースやヘミセルロースなど分解困難な糖を主成分とする草本系の非可食性バイオマスを原料とするため、原料の前処理・糖化のプロセスが必要となる。第2世代バイオエタノール製造技術のプロセスは、大きく4つの工程に分けられる。
※3 非可食性バイオマス原料の前処理工程(図中①)では、同社はトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」)と様々な前処理手法の評価・開発を通じて最適な前処理方法を確立した。また、発酵工程(図中③)においては、トヨタが開発したTOYOTA XyloAceTMを採用することで、自然界の酵母では発酵が難しい「キシロース」を高効率に発酵させ、草本系非可食性バイオマス原料(セルロース)由来の糖のうち大部分をエタノールとして利用ができるようになった。
※4 糖化工程(図中②)では同社はこれまでに花王株式会社(以下「花王」)と非可食性バイオマスを効率的に分解できる酵素の生産菌を利用したオンサイト酵素生産技術を共同で開発するなどの協業を行ってきた。今回のバイオエタノール生産設備では、花王が開発した非可食性バイオマスを高効率で糖化することが可能な糖化酵素を使用する予定。
※3並びに※4の取組みにより、バイオエタノールの高収率化、製造コストの低減が期待されている。
(IR universe rr)
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