インドネシア重機のUT、豪ニッケル企業を一部買収 採掘に本腰へ
インドネシアの重機大手で石炭採掘などを手掛けるユナイテッド・トラクターズ(UT)は6月9日、同社ホームページ上で、オーストラリアのニッケル採掘企業であるニッケル・インダストリーズ(NIC)の発行済み株式のうち19.9%を取得することで合意したと発表した。UTはかねてニッケル採掘に意欲を示しており、本格的に事業展開する構えだ。
買収総額は9億4300万豪ドル。NICは上場するオーストラリア株式市場(ASX)で、1株当たり1.10豪ドルで8億5700万株を新規発行し、UTに割り当てる。買収価格はNICの6月8日終値(0.8649豪ドル)に比べ27%高い水準。両社はNICが目指している電気自動車(EV)向け需要を見込んだ電気炉の改良計画についても、拘束力のない協調契約を交わした。
UTはインドネシアの複合企業であるアストラ・インターナショナル傘下の重機大手。コマツの建機を同国で販売することで知られる。建設関連が主業だが、石炭の採掘や採掘機器の生産なども手掛け、2022年の純利益は前年に比べ倍増していた。なお、アストラには東インド会社に起源をもつシンガポール拠点のジャーディン・マセソン・グループが出資している。
一方のNICはインドネシアのスラウェシ島などでニッケル採掘事業を展開し、同島のインドネシア系企業の大株主でもある。
インドネシアは、ジョコ・ウィドド大統領が5月の主要7カ国(G7)首脳会議でニッケルのカルテル組織の設立を提案するなど、EV需要の拡大を見据えたニッケルの生産・加工の拡大路線を採る。UTのフランス・ケスマ社長は発表資料中で、「今回の買収は当社にとって、EV供給網(サプライチェーン)上での存在感を高める効果がある」と述べた。
(IR Universe Kure)
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